Phalaenopsis amboinensis

 Ambonおよびスラウエシ島に生息するPhal. amboinensisの花は白色をペースのセパル・ペタルに、赤茶色の棒状斑点が同心円状に並んでいます。10年ほど前まではこのフォームが一般種としてマーケットを占め、Phal. amboinensis yellowとされる黄色ペースは自然界では希少株であり高価でした。しかし実生化されて以来状況が反転し、現在は白ペースがむしろ入手難です。今日マーケットにあるほとんどのPhal. amboinensis yellowは実生です。画像検索でも黄色フォームが多く、白色と黄色の交配株も見られます。特に黄色フォームは最も早くから実生化やハイブリッド交配の対象とされた胡蝶蘭原種の一つです。

 昨年来、白色ベースを打診していたのですがようやく先月のマレーシア訪問にて入手できました。下写真はその一部です。白色フォームはセパル・ペタルの先端部に僅かに薄い緑色が入るものと全体が白色の2タイプあります。今回入手の株は後者と思われますが半年程開花を待って確認できると思います。

Phal. amboinensis common form
Phal. amboinensis common form
Phal. amboinensis common form

Phalaenopsis floresensisとCoelogyne odoardi

 在庫が無くなっていたPhal. floresensisをマレーシアにて20株程入手しました。写真1がそれらです。写真からは、大きさが揃っており実生のように見えるかも知れませんが、すべて野生栽培株です。最近あるサイトに、葉が左右水平に開いたPhal. schillerianaのポットへの立ち植え画像があり野生と書かれていました。Phalaenopsis節の野生株は下垂しており、台湾からの実生のような姿をした野生株はこれまで見たことがなく、はて?と思った次第です。実生か野生かの判断は2014年8月の胡蝶蘭原種サイトに取り上げましたが、少し整理して再度別ページに記載しました。

 写真2はボルネオ島生息種のCoel. odoardiです。昨年8月の歳月記にも取り上げました。人気が高くラン展に毎回出品しますが2-3日で売り切れるセロジネの一つです。濃緑色の葉にオレンジレッド色の、数m先からも分かる良い香りがします。今回は大サイズを20株、中サイズを10株入手しました。大サイズには全て新芽が付いています。

写真1 Phal. flowresensis
写真2 Coel. odoardi

Phalaenopsis schillerianaとcorningiana

 今回のフィリピンとマレーシア訪問で胡蝶蘭原種を相当種入手しました。下写真のPhal. schillerianaPhal. corningianaはその内の2種です。Phal. schiillerinaは昨年春から入荷と販売を止めており今回の入荷は1年半ぶりとなります。AGITESTによる現地での検証を経てクリーンなPhal. schillerianaを得る新たなルートと現地での体制作りの準備に1年以上を要しました。写真1と写真2は2つの異なる生息域種で写真1は本日7日、写真2は5日の撮影です。両者を合わせて今回30株を入手しました。写真はその一部です。Longタイプは45cmです。来年サンシャインラン展までに200株を入荷する計画です。

 一方、写真3はPhal corningianaです。本種はボルネオ島原産で入手は難しくありません。しかし問題は、野生栽培株は多様な花フォームを持ち、販売する上で花写真を掲載する場合、同一株による花フォームの再現性はあるものの、果たしてそのフォームと同じフォームがそれぞれの株で出現する可能は全くありません。その意味で本種のサイトで15種のフォームを参考用として掲載しています。

写真1 Phal. schilleriana
写真2 Phal. schilleriana long leaf form
写真3 Phal. corningiana

フィリピン訪問

 マレーシアの帰国から僅か1週間後にフィリピンに出かけました。マレーシアへ出発する8月24日は朝便であり、台風20号の影響で新幹線の早朝の遅れを心配し、前日に成田に1泊、今度のフィリピン訪問では4日に成田までは帰国は出来たものの台風21号で新幹線が不通となり浜松には帰れず、こちらも成田のホテルに1泊せざるを得ず5日の帰宅となりました。また7月はパスポート残存期間問題でマレーシアに入国できずと、このところの海外訪問は散々です。しかしこうした、余り経験することが無いトラブルに出会うほど臨機応変な判断と行動が必要で、得るところもまた大きく良い勉強になります。

 こうした状況の中でも海外訪問による収穫はまずまずで、問題は膨大な株の植え付けを如何に早く終わらせるかです。仮植えとは言え、種にも寄りますが1か月程度が限度であり、これを超え始めると歩留まりとの戦いとなります。マレーシアから持ち帰った株はまだ2割程度しか植付けが終わっていません。本植えでなければ細菌性の病気になる可能性の高い順に優先順位をつけて処理するのですが、今回は綱渡りのような状況になりそうです。今月末までには何とか終了したいと考えており、取り付けが終わった株から順次公開していく予定です。ただ今回は直近の発見種が含まれ、サプライヤーからしばらくの間の未公開要請があり、これらは本サイトに会員登録した方、あるいは温室訪問の方のみへの公開となります。無論CITESおよび検疫ドキュメントは入手済みです。来年1月のサンシャインラン展には出品する予定です。

 通常植物検疫は、ラン園が検疫所に植物を持ち込み検査を受けPhytosanitary Certificate(植物検疫証明書)を得ます。当方は帰国前日に、これを箱詰めされた植物と共にホテルなどで受け取ります。過去10年間で延べ30回近くフィリピンを訪問してきましたが、検疫現場に興味があり今回初めてフィリピン農林水産省農産局の植物防疫所(Plant Protection Division Agriculture Production Bureau Ministory of Aguriculture, Forestry and Fisheries)に伺いました。農産局では門や建物のそれぞれに警備員が配置され物々しい感じです。当方は滞在中のPan-Pacific Hotelから、ラン園は農園のあるCavite地区からそれぞれ別々に向かったため、Hotelに近い防疫所に当方はすぐに着きましたが、ラン園はいつも通りのメトロマニラのひどい交通渋滞で1時間半も遅れての到着となりました。所内の壁のあちこちには組織図、検疫規定、業務図などが貼られており、ランが到着するまでの待ち時間が余りに長く退屈でしたので、これらをカメラで撮影してラン仲間に見せたいのだが良いか伺ったところ、一瞬困った顔をされましたが問題ないとのことで撮影しました。所内の撮影を要求する訪問者は珍しいのか、当方が何者か同伴のドライバーに聞いているようでした。タガログ語らしく詳細は分かりません。

 検疫は薬品散布場にランを運び消毒した後、30分程自然乾燥させてから種毎に10株程の単位で紙で包み、紙の表面に種名と個数を明記し、順次段ボール箱に詰めます。こうした梱包は当方があらかじめラン園に指示した方法であり、検査官の立会いのもとラン園のスタッフが行います。この方法は種それぞれにタグを付けなくても良いことと、種名と数量が梱包紙に書かれているため急いで持ち帰る場合に便利で、また成田での書類と実体との照合検査も敏速にでき、マレーシアでも同じように行います。検査が数百株ともなると梱包方法は極めて重要です。箱詰め作業が終わると段ボール箱にはテープが貼られ検疫責任者の封印(サイン)が行われます。メガネザル事件以前は、書類申請だけで立合い封印は無かったそうです。その後、日本円で3,000円ほどの検疫代金を支払い所定の証明書を受け取ります。薬品散布は検疫申請時には行う場合と行わない場合があるとのことです。今回はカメラを持った外国人である当方も立ち会ったためか、しっかりと処理をしていることを示す意味もあったのかも知れません。結局検査そのものは1時間程で済みましたが、3時間近くオフィスにいたせいか少なくとも3-4人とは親しい雰囲気となり、防疫所から去るときは検査官や事務官を含め皆笑顔で送ってくれました。成田もフィリピンも検査官と言えば、何かしら上から目線で愛想が悪いのでは思われがちですが礼儀正しく、こちらからの問いには皆親切に対応してくれます。

新入荷Bulbophyllumの4点

 今回のマレーシア訪問で入手したバルボフィラムは25種ほどあり、その内18種程がニューギニア生息種とされます。下写真は取り敢えず園主からの画像4種です。種名はそれぞれ調査中です。下段左はBulb. cornutum flavaと思われます。
(後記: 掲載していた画像4点はIOSPの画像に類似との情報を頂き、画像に版権がある可能性を考慮し削除しました。4点のバルボフィラムは植え付け後、株の写真を掲載します。また花に付いてはリンク形式とする予定です。)

Dendrobium odoardiとDendrobium stockelbuschii

 Spatulata節のDen. odoardiDen. stockelbuschiiです。後者は1月の本ページでも取り上げた2016年登録の新種であり、前者はorchidspecies.comにも記載が無く詳細が不明です。いずれもニューギニア生息種とされます。下写真1で右奥の背の高い4株がDen. odoardiで、手前の背の低い7株がDen. stockelbuschiiです。写真2は園主からのDen. odoardiの花画像です。これでラン園にあった全株です。いずれもマーケット情報はありません。

写真1 Den. odoardiDen. stockelbuschii
写真2 Den. odoardi

Bulbophyllum sp Sulawesii

 下写真は今回マレーシアにて入手したスラウエシ島生息のBulb. spです。画像で該当する種がないかネット検索しているのですが、今の所、見つかっていません。フィリピンによく見られるBulb. trigonosepalumBulb. papulosumの近縁種と考えられます。リップ中央弁形状が特徴で中心部に腺状突起があります。花画像は園主から、右の株画像は浜松にての撮影です。10株入手しました。

Bulb. sp Sulawesii
Bulb. sp Sulawesii
Bulb. sp Sulawesii

Paraphalaenosis serpentilingua

 ボルネオ島固有種であるParaphal. deneveiに次いで高価なパラファレである本種ですが、現在は実生が市場に出て安価に入手が可能になっています。それでも40cmを超えるサイズともなれば10,000円を超える価格となります。シンガポールラン園Asiatic greenでは2cm – 30cm葉長で5,000円程です。下写真1はマレーシアで入手した本種で30㎝ – 43cmの葉長です。一方、写真2は15㎝から35㎝のサイズをそれぞれ示すものです。写真2の左から右端までそれぞれ葉長に合わせ段階的に2,500から10,000円の範囲となります。すなわち葉長が5-7cmほど長くなるに連れて1,000円づつ高くなるというものです。それだけ成長が遅いことを意味します。

写真1 Paraphalaenosis serpentilingua
写真2 Paraphalaenosis serpentilingua

Vanda hindsiiとVanda limbata

 オーストラリア・クイーンズランドとパプアニューギニアに分布する東南アジア最南のVandaとしての興味からVanda hindsiiを持ち帰りました。同時にインドネシアとボルネオ島生息のVanda hastiferaも多数ありました。Vanda hindsiiは高温タイプである一方、Vanda hastiferaは中温タイプであることからかマレーシアラン園の高温下では可なり弱っておりVanda hastiferaについては今回入手を止めました。伺ったところVanda hastiferaは容易に入荷できるそうです。これに対しVanda hindsiiは稀とのことです。写真1の右トレーは植え付け前のVanda hindsiiです。

 一方、写真1の左のトレーはVanda perplexaとして入荷した野生栽培株です。この株には入荷時に蕾があり、浜松にて開花したところミスラベルでVanda limbataでした。どうやらインドネシアのサプライヤーはVanda perplexalimbataの区別が分からないまま各国の第2業者に卸しているようです。Vanda perplexaは現在知られている生息域はインドネシアコモド島国立公園内であり、この地域からの野生株は違法採取となります。昨年12月の本サイトで紹介の株は実生株です。今回Lombok島生息株というコモド島から300Km程離れた島とのことで疑わしいとは思っていましたがやはりVanda perplexaではありませんでした。花は一回りperplexaに比べ小さく、写真2にあるようなセパル・ペタル外周の白い縁取りが特徴です。この花写真は30日に浜松にての撮影です。花フォームは焦げ茶から赤色まで個体差があるようで、写真2のカラーフォームであればVanda limbataでも良いかと株サイズで2,500円から3,000円の価格を予定しています。

写真1
写真2

Coelogyne Palawan

 7月初旬にフィリピン訪問で持ち帰ったPalawan生息のセロジネの掲載を忘れていました。下写真1および写真2はCoel. palawanenseの花と株で、右の写真3と写真4は7月入荷の名称不明種です。リップ側弁内側にラインがあるのは左のCoel. palawanenseと似ているものの側弁形状とリップ中央弁の先端部形状が異なり、当初撮影の角度による違いかとも思いましたが、葉とバルブ形状がそれぞれ大きく異なります。互いに近縁種であることは推測できますがこのspはラン園主も始めて見るものとのことで新種の可能性があります。根張りの形状から右の株は現在炭化コルクに取り付け、中温室にて順化中です。一方、今回マレーシアから持ち帰りのセロジネはCoel. odoardii, radioferens, rhobdobulbonおよび不明種3種の合計6種です。 順次このサイトに掲載予定です。

写真1 Coel. palawanense
写真2 Coel. palawanense
写真3 Coel. sp Palawan
写真4 Coel. sp Palawan