フィリピン訪問

 マレーシアの帰国から僅か1週間後にフィリピンに出かけました。マレーシアへ出発する8月24日は朝便であり、台風20号の影響で新幹線の早朝の遅れを心配し、前日に成田に1泊、今度のフィリピン訪問では4日に成田までは帰国は出来たものの台風21号で新幹線が不通となり浜松には帰れず、こちらも成田のホテルに1泊せざるを得ず5日の帰宅となりました。また7月はパスポート残存期間問題でマレーシアに入国できずと、このところの海外訪問は散々です。しかしこうした、余り経験することが無いトラブルに出会うほど臨機応変な判断と行動が必要で、得るところもまた大きく良い勉強になります。

 こうした状況の中でも海外訪問による収穫はまずまずで、問題は膨大な株の植え付けを如何に早く終わらせるかです。仮植えとは言え、種にも寄りますが1か月程度が限度であり、これを超え始めると歩留まりとの戦いとなります。マレーシアから持ち帰った株はまだ2割程度しか植付けが終わっていません。本植えでなければ細菌性の病気になる可能性の高い順に優先順位をつけて処理するのですが、今回は綱渡りのような状況になりそうです。今月末までには何とか終了したいと考えており、取り付けが終わった株から順次公開していく予定です。ただ今回は直近の発見種が含まれ、サプライヤーからしばらくの間の未公開要請があり、これらは本サイトに会員登録した方、あるいは温室訪問の方のみへの公開となります。無論CITESおよび検疫ドキュメントは入手済みです。来年1月のサンシャインラン展には出品する予定です。

 通常植物検疫は、ラン園が検疫所に植物を持ち込み検査を受けPhytosanitary Certificate(植物検疫証明書)を得ます。当方は帰国前日に、これを箱詰めされた植物と共にホテルなどで受け取ります。過去10年間で延べ30回近くフィリピンを訪問してきましたが、検疫現場に興味があり今回初めてフィリピン農林水産省農産局の植物防疫所(Plant Protection Division Agriculture Production Bureau Ministory of Aguriculture, Forestry and Fisheries)に伺いました。農産局では門や建物のそれぞれに警備員が配置され物々しい感じです。当方は滞在中のPan-Pacific Hotelから、ラン園は農園のあるCavite地区からそれぞれ別々に向かったため、Hotelに近い防疫所に当方はすぐに着きましたが、ラン園はいつも通りのメトロマニラのひどい交通渋滞で1時間半も遅れての到着となりました。所内の壁のあちこちには組織図、検疫規定、業務図などが貼られており、ランが到着するまでの待ち時間が余りに長く退屈でしたので、これらをカメラで撮影してラン仲間に見せたいのだが良いか伺ったところ、一瞬困った顔をされましたが問題ないとのことで撮影しました。所内の撮影を要求する訪問者は珍しいのか、当方が何者か同伴のドライバーに聞いているようでした。タガログ語らしく詳細は分かりません。

 検疫は薬品散布場にランを運び消毒した後、30分程自然乾燥させてから種毎に10株程の単位で紙で包み、紙の表面に種名と個数を明記し、順次段ボール箱に詰めます。こうした梱包は当方があらかじめラン園に指示した方法であり、検査官の立会いのもとラン園のスタッフが行います。この方法は種それぞれにタグを付けなくても良いことと、種名と数量が梱包紙に書かれているため急いで持ち帰る場合に便利で、また成田での書類と実体との照合検査も敏速にでき、マレーシアでも同じように行います。検査が数百株ともなると梱包方法は極めて重要です。箱詰め作業が終わると段ボール箱にはテープが貼られ検疫責任者の封印(サイン)が行われます。メガネザル事件以前は、書類申請だけで立合い封印は無かったそうです。その後、日本円で3,000円ほどの検疫代金を支払い所定の証明書を受け取ります。薬品散布は検疫申請時には行う場合と行わない場合があるとのことです。今回はカメラを持った外国人である当方も立ち会ったためか、しっかりと処理をしていることを示す意味もあったのかも知れません。結局検査そのものは1時間程で済みましたが、3時間近くオフィスにいたせいか少なくとも3-4人とは親しい雰囲気となり、防疫所から去るときは検査官や事務官を含め皆笑顔で送ってくれました。成田もフィリピンも検査官と言えば、何かしら上から目線で愛想が悪いのでは思われがちですが礼儀正しく、こちらからの問いには皆親切に対応してくれます。