Flickingeria (Dendrobium) sp

 マレーシア・キャメロンハイランドの露天商で入手したFlickingeriaを、2017年3月の歳月記に種名不詳種として取り上げました。昨年この株を3株に分け栽培していましたが、その株のうち2株が本日(25日)開花しました。1日花で且つ毎年1-2度だけ開花する故の印象か、美景です。その後、種名について調べているものの今だによく分かりません。Malesian Orchid Journal 2013 Vol.11の表紙画像にあるFlickingeria aureilobaと思われる花に似ていますが、orchidspecies.comにはその花がJavaとスマトラ島生息種とされ、キャメロンハイランドすなわちマレー半島の記載はありません。 写真はマレーシア発行のジャーナルなので新たにマレーシアでも生息が確認されたのかも知れませんが。(後述: 知人より前記ジャーナルのコピーを送って頂き、本種はマレーシアで2009年に新たに生息が確認されたFlickingeria aureilobumであることが分かりました。aureilobumaureilobaとはシノニム(異名同一種)の関係とされています。確認された生息地はマレー半島北部 Kelantan Stong Forestとのことです。またジャーナルではリップ中央弁に赤い斑点がありますが、下写真のように斑点の無いフォームもあるとのことです。キャメロンハイランドとKelantan Stong Forestとは180kmの距離がありますが、その間を繋ぐ山々には本種が生息しているものと考えられます)

 下写真は今朝(25日)撮影のFlickingeria spです。香りも良く美景とは言え、わずか一日花で数輪見ているだけでは物足りないので、数百輪の同時開花を見てみたいと今回交配を行いました。2年後にはフラスコ内に20-30苗を植え付けたフラスコ単位て販売する計画で、これだけの数であれば購入される方も、寄せ植えで大株にしその香りと花を楽しむことが出来るのではと思います。なおFlickingeriaは栽培が至って容易な種です。

写真1 Flickingeria (Dendrobium) sp Cameron Highlands
写真2 Flickingeria (Dendrobium) sp Cameron Highlands
写真3 Flickingeria (Dendrobium) sp Cameron Highlands

Bulbophyllum monosepalum (deuterodischorense)

 ヒョウ柄模様の花と、霜降り模様の葉をもったBulb. monosepalumが現在、開花中です。2016年の入荷以来初めての開花です。10株程入手しこれまでその半数以上をネットやサンシャインラン展などで販売しました。orchidspecies.com等でニューギニア標高1,300mのクールタイプとの情報から、クール温室にて3年間ほど栽培をしてきましたが成長することも、かと言って枯れることもなく、いわば株としてはじり貧状態が続きました。昨年、栽培環境に問題ありと判断し、夏に植え替えを行うと共に、中温室の中でもやや明るい高温よりの場所に移し、根は常に湿らせた栽培で様子を見ることにしました。すると秋から小さくなった2株に新芽が現れ、現在も成長中で、また残る中サイズの1株からは花芽が今年に入り発生しました。下写真1は1昨日開花した6cmサイズの花です。どうやら入荷した株はクールタイプではなく中温タイプのようです。

写真1 Bulbophyllum monosepalum (deuterodischorense)
写真2 Bulbophyllum monosepalum (deuterodischorense)
写真3 Bulbophyllum monosepalum (deuterodischorense)

Dendrobium floresianum

 インドネシア・フローレス島生息のDen. floresianumが開花しています。本種は花色が一般フォームから黄緑や緑色のカラーフォームなどがあり、多輪花のため人気のあるデンドロビウムです。ネットからマーケット情報を見ると、10,000円以上が見られますが当サイトでは野生栽培株の一般フォームで2,500円です。写真1が一般フォーム、写真2がflavaフォームでいずれも木製バスケット植えでの栽培です。右画像は本日22日の撮影です。

写真1 Den. floresianum Common form Flores Isd.
写真2 Den. floresianum flava form Flores Isd

現在開花中のDendrobium Distichophyllae節 Palawan

 下写真は現在開花中の、フィリピンPalawan生息種として2018年に入手したDistichophyllae節デンドロビウムです。写真1はセパル・ペタルおよびリップ中央弁が白色、側弁の一部が淡いオレンジ色です。一方、写真2はセパル・ペタルは白色でリップ全体がオレンジ色です。側弁が特徴ある形状となっていることから、これらは別種と思われます。似た種としてDen. ellipsophyllumDen. revolutumが知られていますが、下写真種はそれらと比較して葉形状がやや細長い線形で、葉と葉の間隔が広く、またDen. ellipsophyllumおよびDen. revolutumいずれもPalawan諸島生息とされる情報は見られません。

写真1 Dendrobium Distichophyllae節 Palawan
写真2 Dendrobium Distichophyllae節 Palawan

現在開花中のDendrobiumとPaphiopedilum

 下写真は現在開花中のDen. aurantiflammeumPaph. sanderianumです。写真1のDen. aurantiflammeumの花は一株での開花です。これから開花する蕾を含めると40輪程の同時開花になります。本種は木製バスケットにミズゴケでの植え付けで3年目を迎えます。2月の開花は早咲きで通常は4-5月が最花期です。また写真2はPaph. sanderianamで入手してから今年で丁度20年となります。間もなくPaph. gigantifloiumも開花予定です。22日の撮影です。

写真1 Den. aurantiflammeum Borneo
写真2 Paph. sanderianum Borneo

Bulbophyllum echinochilum

 2018年9月の歳月記で取り上げたBulb. echinochilumが開花しており、35mmマクロレンズを今年入手したことから再度花画像を撮影しました。本種は前記ページにも記載しましたが、orchidspecies.comによると100年近く前にフィリピンで記録され、その後は見つからず絶滅したと思われていたそうですが、最近になりインドネシア領スラウエシ島の標高900-1,000mのコケ林で本種が撮影されたとあります。一方、J. Cootes氏著Philippine Native Orchids speciesではルソン島BataanとNueva Vizcayaに生息と記載されています。しかしorchidspecies.comの花画像を見るとリップ形状は似て非なる様態です。下写真は22日撮影のBulb. echinochilumです。 拡大写真で見ると、ラテラルセパル全体に細毛があり、またペタルは小さくその外縁が茶褐色で、蕊柱の先端部にも細毛があります。リップ中央弁と髭が前記orchidspecies.comの画像に見られるBulb. lasioglossumのような形状とは異なります。またバルブ形状も写真3は円錐形ですが、orchidspecies.comのPlant in situ in Sulawesiに見られるバルブ形状は球体です。おそらくスラエシ生息とされる株はフィリピン生息とは異なる種と思われます。

写真1 Bulb. echinochilum
写真2 Bulb. echinochilum
写真3 Bulb. echinochilum

最近の当温室での交配

 下写真は昨年末から先月にかけて交配したDen. tobaense、Vanda roblingiana f. flavaおよびBulb. nymphopolitanumです。Den. tabaenseはNS12cm同士のSibling Cross(同種間交配)です。デンドロビウムは自家交配の不合和性がみられ、開花サイズが12cmを超える2株以上の野生株の同時開花を長年待っていましたが昨年末に得られたため交配を行いました。またVanda roblingiana f. flavaはフィリピンラン園より預かった株で希少性が高く、世界初の交配と思います。こちらはself Cross(自家交配)です。さらにBulb. nymphopolitanumはネットで検索するとCootes氏著Philippine Native Orchids species掲載の種とはorchidspecies.comを始め異なる画像Bulb. basisetumがほとんどで、こちらも本物は希少と考えられるため、今回、同種同士のシブリングクロスをしたものです。いずれも第一段階の受粉は行われたようで、写真に見られるようにさく果が形成されつつあり、10月頃にフラスコへのタネ撒きを予定しています。

写真1 Den. tobaense
写真2 Vanda roeblingiana flava
写真3 Bulb. nymphpolitanum

開花中のPhalaenopsis節

 間もなく胡蝶蘭Phalaenopsis節のPhal. amabilis, aprodite, philippinensis, schilleriana, stuartianaが、やや遅れてPhal. sanderianaの開花期を迎えます。 Phal. amabilis, philippinensisおよびshillerianaは開花が始まったところです。Phal. aproditestuartianaは今月末頃からとなります。下写真は現在開花中のPhalaenopsis節のそれぞれで、撮影は16日です。写真の下部はそれぞれのリップ形状です。

 しばしば趣味家の方から、ネット等で購入した株が開花したが、はたして原種か交雑種かとの問い合わせを頂きます。結果はこれまで半数以上が交雑種でした。原種か交雑種かの判断には、僅かな色違いや斑点等の模様は個体差の範囲もあり、同定に用いることは困難です。胡蝶蘭原種に関してはリップやカルス形状が種を判定する主な要素となります。例えば左のPhal. amabilisでは中央弁が細長く、先端から基部方向に向かう巻髭、またリップ中央弁の基部は左右に3角突起があり、さらにその中央弁の先端にも小さな突起があります。リップ中央弁形状はPhal. amabilisが長い3角形、Phal. philippinensisは台形、Phal. schillerianaは円形で、こうしたそれぞれの特徴がPhall. amabilisphilippinensisschillerianaに一つでも入れ替わっている場合、その株は交配種と見做されます。これら固有の形状も他種に見られることはありません。特にマーケットにおいて胡蝶蘭原種とされる株の多くに交雑種が多いことは、これまでしばしば取り上げてきましたが、こうした背景から当サイトの胡蝶蘭原種のページでは、それぞれの原種のリップやカルス形状画像を掲載しており、花を得たものの疑問のある場合はご参考下さい。

写真1 Phal. amabilis Borneo Sabah
写真2 Phal. philippinesis Philippines Luzon
写真3 Phal. schillieriana Philippines Luzon

今季初開花のDendrobium deleonii

 フィリピンMindanao島Bukidnon標高1,300m生息Den. deleoniiが今週に入り開花しました。形状はDen. sanderae var. majorに近く、リップ側弁がやや小さく、中央弁はやや幅広で水平方向に伸びていることが相違点とされているものの、この程度の形状の違いで別種に分類すべきか疑問で、Den. sanderae を含め、これまでその変種とされるluzonicummajorおよびparviflorumのそれぞれがルソン島生息種で地域的には独立していることから、当サイトでは分類的にはDen. sanderaeとは他と同様の変種あるいは亜種の関係と考えています。

 栽培は中温室のやや高温寄りで、ミズゴケ・クリプトモスミックスにスリット入りプラスチック深鉢と炭化コルク付けの2種類の植え付けをしており、今回開花の株は炭化コルク付けで始まりました。写真3がそれで、写真4はポット植です。どちらの栽培も昨年開花後に新芽が出て、現在はほぼ古い茎と同じサイズに伸長しています。花は葉が僅かに残る2-3年前の古い茎に付きます。これまで30株程栽培していますが1株も枯れは無く丈夫な種です。

写真1 Den. deleonii Mindanao Bukidnon
写真2 Den. deleonii Mindanao Bukidnon
写真3 Den. deleonii Mindanao Bukidnon
写真4 Den. deleonii Mindanao Bukidnon