Phal. schilleriana2020年の初開花です。


Phal. schilleriana2020年の初開花です。


昨年から時間のある限り、植替えや植付けをしています。下写真は今週行った植付けです。写真1のDen. monatumはJava標高1,400-2,000m雲霧林生息域のデンドロビウムです。1昨年同じJava島の標高1,200 – 1,500m生息のDen. nudumと共に入荷したものの生息地や標高が近いことからか、両者が正しく分類されておらず、Den. monatumラベル名の株からDen. nudumが開花し、販売を止めていました。今回開花で確認済みのDen. nudumと比較して、Den. monatumは疑似バルブが細く長いため、これらを選んで植え付けを行ったところです。写真2はパプアニューギニア生息のDen. subclausumです。本種は高芽が良く発生し且つ成長も早いため、高芽を外し植付けを行ったものです。一方、写真3はBorneo島生息のDen. paathiiです。この株はセパル・ペタルが一般フォームの白色と異なり薄いピンクです。このピンク色の濃度は環境によって変わるようです。半立ち性で茎が1m以上の長さとなり垂れておりバスケットから炭化コルクに植え替えを行いました。前者2種は中温室、Den. paathiiは高温温室にての栽培です。いずれも国内マーケット情報は当サイト以外ほとんど見られません。



デンドロビウムCalcarifera節のCymbicallum類似種が現在開花中です。下写真1-3は現在開花中の3種を示し、それぞれの花、Spur(距)およびリップを表示したものです。また写真4は別種の花とSpurを、また写真5は現在空白ですが間もなく入荷予定のDen. roseatumを表示するスペースです。写真6も入荷予定の別種で花画像はサプライヤーからです。このDen. sp2はDen. sp1 Sumatraのペース色が白色化したようなフォームで生息地は同じSumatra島です。






昨年2月に花の付いた本種の入荷があり、4月にはこれらを炭化コルク付けにした新しい栽培法を本サイトで取り上げました。入荷から1年が経ち、現在の状況は下写真に見られるように凡そ40株のほぼ9割の株で花茎が1株当たり2-4本(写真2)伸びており、また花茎当たり30輪程が同時開花となるため来月末頃には一面クリムゾン・ピンク色になると思います。J. Cootes氏著Philippine Native Orchid Speciesでは、本種は他のAeridesと異なり、かなり低輝度で上手く成長と開花が見られる(grow and flower successfully in quite shaded situations)とされていますが、当サイトでの栽培では下写真に見られるような段階的配置で、温室天井に近く輝度の高い上段にある株の方が、輝度の低い下段の株に比べ成長が活発で、花茎の発生数も多い傾向が見られます。


今月に入り多数のDen. rindjanienseで花芽が出始めており、3月末頃が開花の最盛期になると思われます。高輝度を好み昨年春から夏にかけて発生した新芽は現在も伸長を続けています。花芽は落葉した茎に発生する性質から、新しい茎での開花は発芽から2年後となるようです。本種は、なぜかポット植えは適さず、ヘゴ板、ブロックバークや炭化コルク付けが良い結果となっています。下写真は全て8日の撮影で、写真2の葉のついた茎のほとんどは昨年発生したもので、一部はすでに60cmを超える(炭化コルクの長さは35cm)伸長をしています。この写真に見られるように本種は半立ち性です。写真3-5は落葉した古い茎に発生し始めた花芽様態です。





Phal. philippinensisの開花が始まりました。本種は葉がPhal. schillerianaやPhal. stuartianaと同じような大理石模様のため、花の無い株形状だけでは同定が困難です。Phal. stuartianaはレイテ島とミンダナオ島、他はLuzon島の生息であることから、生息地が分かれば、Phal. schillerianaとPhal. philippinensisのいずれかとなります。またPhal. philippinensisは1,200mの高地生息種のため、標高を含めた詳細な地域情報があれば、これらも区別できますが、現地ラン園でも標高までは曖昧で、しばしばPhal. philippinensis名の株の中にはPhal. schilleiranaが混在していることがあります。その逆はこれまで経験がありません。昨年入荷した本種のロットにも夏期に1株Phal. schilllerianaが開花しました。現地ではPhal. schillerianaと同時入荷であったため、取り扱い過程で混入したものと思われます。そうした背景から昨年は開花確認まではと、このロットの販売を中止していました。下写真1, 2が今回開花した花でIsabela地域生息です。
通常本種のセパル・ペタルは全体が白色で、ラテラルセパル基部に赤い斑点が入ります。下写真では白色ベースのセパルペタルの基部に淡いピンク色が乗り、黄色の側弁とも調和して優雅さがあり美景です。下写真の花を見ると、本種をPhilippinensisと国名をつけた理由も分かるような気がします。 往々にしてこうしたピンクが混じる場合、台湾などで作られたPhal. schillerianaとの交雑種ではないかと疑うのですが、リップや側弁形状に、Phal. schillerianaの要素が見られず、純正のPhal. philippinensisであることを確認しました。
写真3はPhal. philippinensisの株それぞれで、全ての株で花茎が伸びており、今月末から来月にかけてが開花最盛期となります。葉のテキスチャーがそれぞれ異なるのは野生栽培株の特徴です。写真4の右端の株の葉は大理石模様が隠れた、本種としては極めて稀な紫檀色のソリッドタイプ、一方、写真3の右端の株の葉は濃緑色のソリッドタイプです。葉色の変化はPhal. sanderianaによく見られますが、花色と関わることがあり開花が待たれます。




orchidspecies.comでは栽培温度を冷(cold)、低(cool)、中(warm)、高温(hot)の4つに区分し、それぞれの区分の夜間平均温度を冷温では10-15℃(標高 >2,500m生息域相当)、低温14-18℃(標高 1,800-2,500m)、中温18-24℃(標高 1,000-1,800m)、高温24-30℃(<1,000m)と定義しています。一方、当サイトでは夜間平均温度を低温13-15℃、中温15-20℃、高温18℃の3区分としています。
多くのランはこれらの1つの区分温度内あるいは2つの区分に跨っての温度で栽培可能ですが、3区分全範囲においての、順化と年間を通しての生息(成長)可能な原種はほとんどいません。同一種で生息標高域が異なり、その環境に適応進化した種は僅かに見られるものの、同一株あるいは同一地域に生息する株が、いずれの区分の温度下に置かれても成長を続けられることは異例です。この例外種の一つがDen. trichostomumです。この種は低温(Den. vexillariousやDraculaなどの生息適応区)から高温(Phal. schilleriana、Vanda sanderianaの生息区)いずれの環境であっても、正しいかん水頻度や昼夜の適度な温度差があれば、新芽の発生や開花が見られ、栽培温度に起因するような成長障害や枯れる様態が見られません。いわゆる極めて温度に強い種と云うことになります。orchidspecies.comによると本種の生息域はニューギニア標高500-900mの丘陵林とされ、ニューギニアでのこの標高は高温で低温域ではありません。
当サイトでは本種を2015年スマトラ島からDen. spとして入手しました。これがスマトラ島か、ニューギニア生息種(ニューギニア種もスマトラ島サプライヤーを経由することがある)かは未確認です。入手時は種名不詳であったため、当初は低温室と中温室に置いて栽培をしており、いずれの環境においても成長に差が無く、ここ2年間ほどは本種のマーケット需要が減少したことで大半をバスケットの寄せ植えで高温室にて様態を見てきました。しかしこの環境でも問題は見られず、さらに不思議なのは低温室と高温室のいずれの株も開花期が一致することです。花寿命が1か月以上と長いこともあり、開花はズレているものの開花期間が重複して、そのように見えるのかも知れませんが年に1-2回の開花を考えると、年間平均栽培温度が大きく異なる環境でのこの一致性はやはり不可解です。ちなみに開花期は主に冬季で、この時期の低・高温室の夜間平均温度はそれぞれ13℃と18℃です。
ネット検索する限り、マーケットに見られる本種は全て実生(x selfやx sib)のようです。当サイトは全てが野生栽培株です。今回バスケットでの寄せ植えでは販売に適さないこともあり、また本種は半立ち性(新芽は上方に向かって伸長するものの、やがて茎が長くなるに従って垂れてくる性質))でポットの立植えは株が大きくなるとやがて茎を無理やり立たせる支持棒ばかりが目立ち、不自然となるため炭化コルクに植え替えを行いました。低温室の株はこれまでもヘゴ板付けとなっていたのでそのままです。写真1, 2は現在開花中の花で黄色と橙色が見られます。一見、Den. tiongiiに似た花序ですが、リップ中央弁の外周に細毛があるのが本種の特徴です。写真4は今回植え替えを行った一部を昨日(5日)撮影したものです。




下写真は現在(4日)開花中の花です。


















昨年9月末頃から開花が始まり現在までの5ヵ月間近くDen. igneoniveumが咲き続けています。一向に開花期が終わる様子は無く、蕾を付けた茎が今だ多数の株で見られます。下写真はいずれも本日(2日)撮影したもので、1本の花軸に8輪が同時開花している株が2株あり、写真1はその一つです。花軸当たり8輪がこれまでで最も多い輪花数で、平均値は6輪です。ミズゴケを厚く敷いた炭化コルク付けで、濃緑色の葉色から当初低輝度が良いのではと思いましたが、現在は温室内の比較的輝度の高い場所での栽培です。 今期は植え付け後の初の開花期間であり、次期の開花期(今年の10月以降)には多くの株で1株当たり複数の疑似バルブからそれぞれ8輪の開花を期待しています。価格は3,500-4,000円としており引き合いが多いのでそれまで残っていればですが。


Bulb. tenuifoliumはタイ、マレー半島(キャメロンハイランド)、スマトラ島、ボルネオ島など広く分布しています。下写真はフィリピンルソン島Aurora州の生息株です。花サイズがラテラルセパル左右のスパンNS(自然状態)サイズで8mmの小さな花ですが、左右ペタルの先端部に2つの斑点があり美形です。開花は午前中で午後は花を閉じます。orchidspecies.comには花サイズが1.8mmと記載されており、これは誤りです。最近はorchidspecies.comの記載ミスを指摘することが多く、あまり気分の良いものではありません。写真は本日(2日)撮影、株は昨年2月入手したもので初花となります。フィリピン生息種は標高500m以下とされ、高温のフィリピン現地でも開花していたことからも中温から高温タイプと思われます。写真の株はAeridesやVandaを栽培する高温室での栽培です。ネットでの国内マーケット情報は見られません。


