40株程あるAerides leeanaeの開花が始まりました。昨年2月にフィリピンにて入手したSamar生息株です。写真中央の花序は45輪です。凡そ1つの花茎に平均して30輪程で、株のサイズにより輪花数が10輪程変わります。本種はVanda sanderianaと同じように根が空気に触れていることが必要で、ポット植えは適しません。Aerides属の中では現在Calayan諸島のAerides magnificaと並んで野生栽培株は極めて入手難とされます。



40株程あるAerides leeanaeの開花が始まりました。昨年2月にフィリピンにて入手したSamar生息株です。写真中央の花序は45輪です。凡そ1つの花茎に平均して30輪程で、株のサイズにより輪花数が10輪程変わります。本種はVanda sanderianaと同じように根が空気に触れていることが必要で、ポット植えは適しません。Aerides属の中では現在Calayan諸島のAerides magnificaと並んで野生栽培株は極めて入手難とされます。



昨年5月に入荷したParaphal. labukensisの一部が開花を始めました。本種はボルネオ島生息種で、下垂する2m程に伸長する葉で知られています。昨年6月の歳月記で取り上げ 「5月のサンシャインラン展では葉長1.5mサイズを12,000円としました。この種は葉長の長さで価格は大きく変わり、海外マーケットにおいて60cmで3,000円ほどですが1mとなると10,000円以上になり、1m以上はほとんど見かけません。1.5m以上のサイズがマーケットに纏まって出るのは初めてではないか…」と解説しました。本種の花色は下写真1-3に見られるように辛子色から栗色やチョコレート色まで株によって変化があります。葉長の長さと共に、趣味家の多くは濃い栗色を好むようです。しかし写真3の濃い花色は稀で、これまで扱った40株程のうちで1株だけで、写真3の株は2年ほど前に販売しました。多くは中央の色合いとなります。
写真4は昨年5月入荷のロットを炭化コルクに取り付けた15株です。写真5および写真6はこのロットで開花した花です。すでに販売した株は分かりませんが、現在在庫している株からはこのような色合いが続いており、このロットの多くはどうやら写真3のチョコレート色に近いか、それ以上に濃色ではないかと考えられます。セパル・ペタルの縁取りが白色のためチョコレート色とのコントラストがマッチしています。本種は乾燥を嫌う性質ため、これまでの栽培で最も成長が良いのは木製バスケットの斜め吊りであったことから、花色を確認し濃色フォームを順次バスケットに植え替え予定です。






本種は先月の歳月記にも記載しましたが、フィリピンとスラウエシ島生息(J. Cootes, Philippine Native Orchids Speciesではフィリピン固有種)とされているバルボフィラムで、その花序はバルブ基部から花軸先端まで20cmで先端部8cmの紡錘形花軸部分に花が20輪程開花するとされます。ところが、知人からBulb. echinochilumの写真をメールして頂き、その画像に驚きました。それが下写真です。花序の長さは写真1に見られるように、一般サイズの5倍以上の1.04mで、バルブ基から紡錘形となる位置までの長さ(バルブに最も近い開花位置まで)が27cmとなっています。写真3はその株の花です。写真4は一般の形状を示す画像で花序は35cmで立ち性ですが、写真1の株の花序は下垂しており、これまでの本種に関する情報や実体とは大きく異なります。
ランにおいて花軸が一般的サイズより異常に長くなる形態の当サイトでの実体験としてはPhal. equestris MindanaoやPhal. aphroditeの1m近い伸長や、Coel. usitanaが半年ほど1輪毎に開花を続け、花軸が80cmほどになったケースがありますが、バルボフィラムでは初めて見る様態で、しかもこの株の長い花軸は1本ではなく、それぞれのバルブから合わせて12本発生し下写真は8本になった時点での撮影で、その内2本が1m超え、他は80cmとのことです。こうした様態は栽培環境と共に、その株に何らかの生理的な異常が起こったものと考えられます。その理由は、先の胡蝶蘭やセロジネで、同一ロット(生息場所が同じ)の多数の株を同じ環境で栽培しているにも拘らず、その1株だけに見られたことと、毎年その株の花序が同じような長さには伸長してはいないことからです。もしこの株が次回の開花期に同じ様態を示すとすれば、突然変異体か変種(フォーム)の可能性もあり、希少性が極めて高くなります。




下写真2は現在植え替え中のDen. aurantiflammeiumです。入荷してから2年を過ぎたロットで、現在30株程栽培する一部です。当サイトでは今回の植え替えから全株、木製バスケットに100%ミズゴケで植え付けています。これまでブロックバークやポット植えなど、いろいろ試してきましたが、本種は、根は常に湿った状態を保つことが好ましく、気相と伴に保水性を得ることができる木製バスケットとミズゴケの組み合わせが最も良く成長しています。今年は定期的に肥料を与え、特に購入希望者の多い濃赤色の花フォームの株を大きくし、秋には株分けをしたいと考えています。本種の輪花数は疑似バルブ基部の太さに比例し、写真1に見られるような40輪程の開花数を得るには、バルブ数以上にその太さがより重要です。開花開始から散るまでに1.5ヶ月程の花寿命をもつことと、花サイズが4-6cmと大きいため展示会等への出品に適した種の一つです。orchidspecies.comでは花サイズが僅か0.6インチの1.5cmと記載されており、何かの間違いと思います。これまで4ロット50株ほど栽培した中でそれほど小さな花は見たことがありません。写真左の花サイズは5.0-5.5cmです。これまでの花の最大長は8cmで2018年3月の歳月記に画像を掲載しました。 栽培環境は通年で夜間平均温度が15℃以上でPaph. sanderianum, rothschildianumと同じ高温室です。形状が酷似するDen. cinnabarinumの中温環境とは異なります。また本種は比較的明るい場所を好むようです。


Den. boosiiがぽつり々と開花しています。年に2回程開花が見られます。orchidspecies.comの本種花画像は2011年のLeyte島生息株と思われますが、 リップが赤、黄、白の3色でペタルとドーサルセパルに淡い赤紫のラインが入りカラフルです。しかし現在、Leyte島からの入荷はなくミンダナオ島からです。この地域差のためか、その多くはセパル・ペタルは白色で、リップ色は僅かにオレンジや黄味のあるフォームが見られるものの、サーモン色で単調です。今回開花した花はやや赤みの強いことと、ペタルに薄紫のラインがあることで撮影しました。本種は環境により色合いが変化する特性があるかも知れません。



例年より2ヶ月程早くVanda javieraeの開花が始まりました。本種はフィリピンPangasinan標高1,200mの生息種で、中温タイプです。現在フィリピン生息のVandaでは最も希少とされ、市場の多くは実生と云われています。当サイトでは現在100株ほどVanda javieraeの野生栽培株を育てていますが、その半数近くは当サイトでの分け株です。似た種にVanda barnesiiが知られています。違いはVanda javieraeはリップ側弁の内側が淡い緑色に対してVanda barnesiiは赤茶色の網目模様が見られます。現地の話では、生息域がそれぞれに異なりコロニーがあるようです。当サイトでもVanda barnesiiを20株ほど栽培していますが、希少性はVanda javieraeが遥かに高く現在は入手難です。下写真は今年早咲きのVanda javieraeの初花で2日の撮影です。
本種は2月頃から新根が発生し、活発に伸長します。夜間平均温度は通年で20℃以下が好ましく、1日の昼夜の温度差が10℃ほどになると花芽が現れ、1ヶ月程で開花します。国内栽培では通常5-6月が最花期となり、夏期に入り温度が上がると根の動きが止まります。ラン園の多いフィリピン・標高600mの避暑地Tagaytay地区では、夜間平均気温が20℃以下となるのは1-2月の2ヶ月間程で、気温が高すぎて開花は滅多に見られないそうです。


昨年8月の歳月記に、現地で葉が薄くなり皺が入るほど弱って、枯れを待つばかりの、これまで見たことがない葉長40cmを超えるPhal. hieroglyphicaを持ち帰ったことを取り上げました。環境の良い場所で適切なかん水や病害虫防除をすることで生気を取り戻し、先月末から開花が始まりました。蕾を入れると40輪程の開花になると思います。白色ベースのNS6cm程の大きな花で、開花は現在3割程ですが、期待通りの大輪花となりそうです。


Phal. hieroglyphicaの花サイズについてJ. Cootes著Philippine Native Orchid Speciesによれば4cmとされます。一方2007年、本種の生息地であるフィピンではなくマレーシアラン園にて、台湾から輸入されたPhal. hieroglyphicaがベンチに並べられており、その花サイズの大きさに驚き入手したことがあります。この株の花サイズは8cm前後で、2017年7月の歳月記に取り上げました。orchidspecies.comでは本種の花サイズは最大8.75cmと記載されています。おそらくこのサイズは台湾で生産された4倍体のメリクロン株と思われます。交配を数回試みましたが受粉は成功しませんでした。そのため当時は野生栽培株は花サイズに関わらず3,500円でしたが、この特大サイズ株は量産品として2,500円で販売しました。現在当サイトではフィリピン生息のPhalaenopsis属amboinenses節の実生やメリクロン株は販売しておらず野生栽培株のみです。
予想より2-3週間早くPhal. schillerianaの開花が始まりました。現在100株ほど栽培しており、下写真はそのうち5株での開花で、本日(1日)の撮影です。野生栽培株のため花フォームが微妙にそれぞれ異なっています。





これまで3回Bulb. williamsiiに端を発するBulb. spを取り上げてきました。今回Bulb. sp. aff. fenixiiの入荷ロットからも類似する種が含まれていることが分かり、振り返って整理してみました。写真1はBulb. williamsii、写真2および写真3は種名不詳種で、写真1-3の下部はそれぞれのバルブです。Bulb. williamsiiは同定できますが、写真2 sp1はBulb. willamsiiのロットに混在していた種です。一方、2016年はBulb. williamsiiとBulb. woelfliaeとを同時に注文しており、Bulb. woelfliaeとして下写真のsp1が入荷していました。このsp1は明らかにミスラベルであるものの、現地での出荷時のラベリングで、ミンダナオ島のBulb. williamsiiに、ルソン島北部生息とされるBulb. woelfliae名のsp1が混ざったものと考えられます。第一の疑問は、Bulb. woelfliaeではないとするとsp1は何種かです。
次に2017年に、Bulb. elassoglossumの発注でsp2が入荷しました。これもBulb. elassoglossumとは異なるミスラベルでした。ここでそれぞれの花とバルブ形状を比較するとBulb. williamsiiとsp1とはドーサル・ラテラルセパルの長さが後者は1/2で、バルブ間のリゾームの長さもほぼ1/2です。一方、Bulb. williamsiiやsp1とsp2とを比較するとペタルの形状がsp2は細長く、リップ前端が黄色であることと、バルブ形状もリゾーム長も異なり別種であろうと思われます。Bulb. wiiliamsiiのラテラルセパルは4cm、sp1およびsp2は2cmです。
さらに今回、2017年入荷のBulb. fenixiiの30株程のロットから写真4のsp3が開花しました。このBulb. fenixiiのロットではこれまでBulb. sp. aff. fenixiiがほとんどで、現在Bulb. fenixiiは2株確認しているのみです。このロットにはこれまで3割程、花サイズや半分閉じた状態の色合いも似ているBulb. ocellatumが混在していると思いつつ栽培していましたが、今回の植え替えで開花している花をよく見たところ、Bulb. ocellatumではなく、sp3であることが分かり、その画像を26日に撮影しました。このsp3のバルブはsp2と同じような形状でリゾームは短くバルブもBulb. williamsiiやsp1と比較して小型です。ここで第二の疑問がでてきました。このsp3は、sp2と花フォームは酷似しているのですが、写真5に見られるようにサイズが1/2です。たまたま1株がそうであったのではなく、Bulb. fenixiiのロットのsp3は全てこのサイズであり、一方Bulb. elassoglossumとされたロットのsp2は左のサイズです。同一種であって、これほどのサイズの違いがあることは考えにくいものの、両者とも同じルソン島Nueva Vicaya生息種であることから標高差あるいは排他的な生息コロニーによる個体差とも考えられないことはありません。結果としてBulb. woelfliaeからsp1が、Bulb. elassoglossumからsp2が、さらにBulb. fenixiiからはsp3が現れたことになります。不思議なことはsp1-sp3それぞれが異なる種名のミスラベルで入荷した訳ですが、それらが互いに似て非なる特徴をもっていることです。
話は変わりますが、常に新しく、珍しいものを現地に求める限り、こうしたミスラベルが頻繁に起こります。これをその都度サプライヤーを咎めていては現地の人たちは注文を受ける意欲を失くします。痛しかゆしですが、そうした中でも、このような不明種と出会うこともあり、ミスラベルもこれはこれで面白いと思っています。





Cootes氏著Philippine Native Orchid Speciesによると、フィリピン・ルソン島中央部標高1,200m生息のBulb. pardalotumは中温タイプで、明るい場所に見られるとされます。一方、orchidspecies.comでは標高1,500m以上の低輝度な場所に生息しクールタイプとされ、ここでも情報が異なります。当サイトでは現在100株以上の本種を栽培しています。入荷当初は1,200mとの情報からほぼ全株を中温室にて栽培していましたが、その後、高温室でも問題ないことが分かり、現在8割は高温室に、2割が中温室の栽培となっています。胡蝶蘭Phalaenopsis節と同じ環境で3年経過しましたが成長に何ら問題はありません。標高1,200mという雲霧林に見られる性質か、開花は午前中で、10時を過ぎると、お辞儀をするような姿勢で閉じます。当サイトでは比較的明るい場所での栽培です。
写真1が一般フォーム(25日撮影)で写真2がSemi-aureaフォームです。写真1は高温室にて筒状支持材で栽培しているクラスター株で、当初50バルブ程でしたが3年間で200バルブ以上になっています。写真2のsemi-aurea種は3年ほど前に100株以上の中から見つかったもので、花色は黄色と云うよりは黄金色でまさにaureaカラーです。この株を2株に株分けし、昨年のサンシャインランや東京ドームらん展に出品したのですが、価格が当サイトでは一般フォームが1,500円に対し、8,000円としたのが高価過ぎたのか購入される方はいませんでした。現在は非買品として株を大きく育てているところです。


