Bulb. echinochilumに見る特異性

 本種は先月の歳月記にも記載しましたが、フィリピンとスラウエシ島生息(J. Cootes, Philippine Native Orchids Speciesではフィリピン固有種)とされているバルボフィラムで、その花序はバルブ基部から花軸先端まで20cmで先端部8cmの紡錘形花軸部分に花が20輪程開花するとされます。ところが、知人からBulb. echinochilumの写真をメールして頂き、その画像に驚きました。それが下写真です。花序の長さは写真1に見られるように、一般サイズの5倍以上の1.04mで、バルブ基から紡錘形となる位置までの長さ(バルブに最も近い開花位置まで)が27cmとなっています。写真3はその株の花です。写真4は一般の形状を示す画像で花序は35cmで立ち性ですが、写真1の株の花序は下垂しており、これまでの本種に関する情報や実体とは大きく異なります。

 ランにおいて花軸が一般的サイズより異常に長くなる形態の当サイトでの実体験としてはPhal. equestris MindanaoやPhal. aphroditeの1m近い伸長や、Coel. usitanaが半年ほど1輪毎に開花を続け、花軸が80cmほどになったケースがありますが、バルボフィラムでは初めて見る様態で、しかもこの株の長い花軸は1本ではなく、それぞれのバルブから合わせて12本発生し下写真は8本になった時点での撮影で、その内2本が1m超え、他は80cmとのことです。こうした様態は栽培環境と共に、その株に何らかの生理的な異常が起こったものと考えられます。その理由は、先の胡蝶蘭やセロジネで、同一ロット(生息場所が同じ)の多数の株を同じ環境で栽培しているにも拘らず、その1株だけに見られたことと、毎年その株の花序が同じような長さには伸長してはいないことからです。もしこの株が次回の開花期に同じ様態を示すとすれば、突然変異体か変種(フォーム)の可能性もあり、希少性が極めて高くなります。

写真1 Bulb. echinochilum Unbelievable length of inflorescences: 1.04m
写真2 Bulb. echinochilum
写真3 Bulb. echinochilum
写真4 Bulb. echinochilum Normal length 35cm