仮植えと植付け後の胡蝶蘭原種

 写真1は7月10日撮影の仮植え状態の胡蝶蘭Phal. lueddemanniana Mindanao等で、写真2は8月2日撮影の炭化コルク植え付け後の画像です。現在温室内は70%寒冷紗下において、午前10時頃からは37-8℃となり午後1時ごろには40℃まで上昇します。このため11時と14時に、地下120mの井戸水(16℃)で散水を行い35℃以上の温度上昇を抑えると共に微風を24時間当てています。いつまで続くか分からない猛暑ですが盛夏の植付け栽培は重労働です。暑さにヘタる種や、古い葉が黄化する種が僅かながら見られ、こうした種は直ちに中温室に移動させています。このため中温室はこれまでにない混雑ぶりで、株間が左右前後30㎝もない密集状態となっています。写真右は高温室での順化中の風景です。

 外気温が35℃ともなる状況での宅配便等による発送はリスクが高く、特に浜松から1日半から2日を要する広島以南や福島以北は、株の取り付け材に含まれる湿気で箱内が蒸せ、葉へのダメージが避けられません。このため9月末ごろまでは温室から直接持ち帰られる人のみへの販売で発送を止め、予約で対応しています。しかし温室に来られてもこの猛暑が続く限り、散水で幾分温度を低下させているとは言え、温室内が温度35℃・湿度70%程ともなると10分と居られません。来年からはミスト冷房とか、低温の地下水を利用した冷房を考えざるを得ない事態になってきました。

写真1
写真2

Dendrobium ramosii

 先月、Dendrobium sp Palawanとしてフィリピン現地より持ち帰ったDen. fairchildiaeに似た株が1週間ほど前から複数の株で同時に花芽をつけ開花を始めました。確認したところDen. ramosiiでした。Den. ramosiiはルソン島生息種でPalawanでの生息は知られていませんので初めての確認かも知れません。植え付け後しばらくして詳細に株をDen. fairchildiaeと比較したところ、Den. ramosiiの茎は先端に向かってスリムなのに対し、Den. fairchildiaeは茎上部の節間でやや膨らみが見られる点と、前者の茎は赤味が強い違いが見られます。葉形状での区別はほとんど不可能でした。本種は2,500円での販売となります。

 フィリピンからのデンドロビウムやバルボフィラムの種名ミスは特に2 – 3年ほど前からひどく、バルボフィラムに至っては50%以上のミスで、売買商品としての体を成していません。これは10年以上前の全盛時代のように属毎に栽培担当者が居て、それなりに管理されていたものが徐々に景気が低迷しスタッフ削減が余儀なくされたことが原因と考えられます。こうした状況から、1昨年より分からない株を販売する場合は思いつきの名前を付けるのではなくspとして販売するようにと依頼しています。それでも昨年はDen. guerreroiDen. ionopusであったり、Bulb. giganteumBulb. mearnsiiであったりと散々です。最近のミンダナオ島ルートからのランはspと名付けた種は別として、何とか株とラベルに付いた種名が一致しつつあると言ったところです。これは特に新種とされる株についてはサプライヤーあるいはラン園で撮影した花画像が無いと購入しない方針としたためです。

Den. ramosii
Den. ramosii

Pteroceras (Brachypeza)unguiculata

 先月初めにフィリピンから持ち帰りの株の中にPteroceras spがあり、サプライヤーからの花画像を調べたところPteroceras unguiculataと分かりました。本種は昨年1月の歳月記にも取り上げました。サンシャインラン展でPurificacion Orchidsに数株が残り、これを5月のラン展まで預かりとし一部を販売し残りを戻しました。今回はミンダナオ島Lanao地域の生息種として入荷したものです。ミンダナオ島ではSurigao生息は知られていますがLanaoは初めて聞きます。

 J. Cootes氏著書Philippine Native Orchid Speciesによるとマレーシア、ボルネオ島、スラウエシ島など広く分布しているようですが、フィリピン生息記録は最近とされます。本種に関するマーケット情報はほとんどなく、同書によると見つけることが難しい(seldom found above 500m)とのことです。orchidspecies.comのPlant and Flowerで4-5㎝サイズの花が8輪程同時開花している画像が見られます。美景です。非常に甘い香り(very sweet perfumed)があるそうです。前回の歳月記でも指摘しましたがマーケット情報が見当たらない最も大きな理由は、見つけにくいこともあるかも知れませんが、短命花であるため市場性が低いのではないかと考えています。前書によると1日花どころか6時間(lasting barely 6 hours)と書かれています。これ程の短命種は他に知りませんが、6時間では栽培者ですら開花タイミングによっては花を見るチャンスを逃してしまうかも知れません。全く展示には向かないランとなります。

 しかし見方を変えればこれも考えようで、それ程の短命であれば世界中のほとんどの人が写真以外に実際の花を見ていない筈で、故にその香りも知らないことになります。周りの誰もが実体観賞のないその花と、ほとんど使われない”very sweet”と敢えて形容される程のその香りを得ることが出来るのは、栽培をする者の特権でこれはこれで幻の花の如き魅力を感じます。下写真は入荷してから1か月近く経ちましたが植付けが終わった本種です。コルク付けでサイズにより2,500円から4,000円を予定しています。

Pteroceras (Brachypeza)unguiculata

マレーシア不滞在顛末記

 27日にマレーシアクアラルンプールに出かけました。ところがクアラルンプール入国審査ゲートにて、パスポートの残存有効期間が不足とのことで、入国ができず成田に翌日の28日に戻りました。パスポートの有効期限には2種類あり、一つはパスポートに書かれた期限と、もう一つパスポートには書かれていない国別の、帰国予定日からのパスポートの残存有効期限があります。すなわち旅行終了日から起算して所定の日数分以上パスポートの有効期間が残っていなければならないというルールです。東南アジアの多くの国でこの期間は極めて長く6か月とされます。10年間延べ50回以上フィリピン、マレーシアを訪問しているものの全くこの残存有効期間という規定に気が付きませんでした。アメリカやイギリスのようにパスポートに記載の有効期間内の渡航ならば良いと考えていたためです。さらにパスポート有効期間をチェックした上で発行される航空券や成田での審査を得ての出国ですから、そのままクアラルンプールに向かい、クアラルンプールの入国審査で初めて問題に気付いた訳です。日本大使館やマレーシア入管と話をした結果として帰国以外なく、では帰国のため新たに航空券を入手するには一度出国して航空会社のチェックインカウンターに行かなければならないがどうすればよいのかと入国管理事務官に尋ねたところ、帰国の航空予約券があるのならば帰国予定日まで、このターミナルビル内にはレストランや長椅子は沢山あるので、ビル内で過ごしたらどうかと言われました。一瞬トム・ハンクスの「ターミナル」が頭を過りましたが、そうもいかず、いろいろな部署で調べてもらったところ成田行きマレーシア航空便が幸いに4時間後にあることが分かり、やっとのことでこれに搭乗し、翌日早朝の成田着で帰ることが出来ました。航空会社のチェックインカウンターがないコントロールエリアから出られない状況下で、どのようにして航空券を得ることができたか(すなわちこの治外法権のエリア内にいる人はすでに航空券をもち出国審査が終わって搭乗を待つ人と、到着してマレーシアへの入国審査を待つ人たちだけ)の経緯は旅行者に参考にとその顛末話もありますが、長くなるので別の機会とします。これまで10年間、日本での震災や、上記のような個人的なトラブルがあるたびに感じてきたのは現地の人たちの親切さと、彼らの日本人に対する敬意から得る誇りですが、今回もまたこうした事態の中にも強く感じることができました。

 帰国して、ネットで調べたところ、フィリピンや台湾は有効期間内で問題がないものの、タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナムなどほとんどのラン主要生息国である東南アジアの国々では現在パスポートの残存有効期間が6か月となっていますので2018年度末までの有効期限のパスポートを持っている人は、海外滞在期間がパスポート有効期間内であっても、更新しない限りこうした国には最早行けませんので注意してください。持ち帰り予定のランは、できるだけ早くラン園の2代目に成田まで持ってきてもらうように現地ラン園主と日取りの打ち合わせをしているところです。

Dendrobium moschatumによる大株造り

 Den. moshcatumはインド、ネパール、タイ、ミャンマー、中国、ベトナムと広範囲に生息し最大2m程の背丈をもつ大型のデンドロビウムです。じゃ香の香りがする9cm程の比較的大きな黄色の花が一つの花茎に9-12輪同時開花します。国内市場では1m以下のサイズの株が1,000 – 2,000円と安価に販売されているようです。今回本サイトではこのDen. moschatumを20株入手しました。1株当たり平均5本の茎から成り、その長さはそれぞれ1.5mから2mほどの長さです。これを例えば1株1,500円で販売しようとすれば、茎の長さが収納できる箱のサイズから株代と宅配便費とはほぼ同等で、その手間を考えれば販売メリットはほとんどありません。

 ではどうして今回本種を入手したかと言えば、一抱えある程の大株仕立てが目的です。1株2m近い平均5茎の株を大型バスケットに9-10株ほどを寄せ植えし、50茎からなる株に仕立て、しっかりと肥料を与えて、これを開花させた場合の景色がどうなるかに興味を持ったからです。50茎の大きなクランプであっても価格は精々15,000円ほどの一方で、栽培を上手く行えば数百輪の華麗な開花が見られるかもしれません。展示用仕立てです。これだけのサイズの株を収納し栽培できる温室をもった趣味家は全国でも少ないと思いますが、こうした商品も一興ではと思います。今回20株を得たことでクランプ仕立てを2組作る予定です。写真1は植付け待ちの仮植えで、吊り下げられていますが本種は半立ち性であり植え付けの際には立った姿勢となります。写真2は本種の花です。

写真1 Dendrobium moschatum
写真2 Dendrobium moschatum

5月入荷のDendrobium christyanum

 Den. christyanumの8割が現在開花中です。Den. tobaenseDen. toppiorumと同じ中温栽培のFormosae節です。花芽も無い状態の入荷株の植え付けから僅か2ヶ月で一斉に開花をしたところを見ると、栽培環境が余程気に入ったのか至って丈夫な種のようです

Dendrobium christyanum
Dendrobium christyanum

現在開花中の7月入荷株

 入荷時に蕾があり植え付け後に浜松温室にて開花中の花を3点それぞれ撮影しました。順化栽培中の開花のため花色や花数は順化後と異なるかも知れませんが大方予想した通りです。左のCoel. longirachisは赤銅色からダークオレンジ色までの色変化があります。これが個体差なのか環境(栽培温度)変化によるものかは不明で、今回の入手株で調べる予定です。写真はオレンジレッド色です。中央のAppendicula malindangensisは花数は順化中のため少ないものの期待通りの濃青色です。右はミャンマー、タイ生息のDen. venustumでリップの形状が特徴です。

Coel. longirachis
Appendicula malindangensis
Den. venustum

酷暑のラン栽培

 国内では豪雨の次は酷暑と例年にない異常気象が続いています。本サイトの温室がある浜名湖寄りの浜松西区は名古屋や岐阜と比べて3 – 4℃程気温は低いものの寒冷紗、換気扇および天窓のみの高温対策では、午前10時で38℃、午後2時ともなれば40℃を越えます。このため10時頃には全ての温室に、また一部には午後にも散水が必要で極力35℃を超えないように努めています。 しかしこの異常気象下では夜間であっても温室内は30℃を下回ることがありません。一方、クール温室は通常夜間温度を16℃、日中で25℃としているもののこの猛暑でそれぞれ2度程上昇しています。

 温室内の高温対策として自動散水やエアコンでの対応があります。しかし扱う原種がサイズも形状も多様で、特に吊り下げ型の多いレイアウトの中での散水は被水量にムラができ、また送風のための扇風機等の電気機器が株の配置に応じて随所に設置されていることから、こうした機器類には水がかからないようにしなければならないなど環境が複雑です。一方でエアコンは温室空間が小さければ問題がないのですが、15m x 6mほどの温室ともなると70%寒冷紗を用いてもかなりのハイパワーのエアコンでなければ太陽光による熱射には敵いません。最近は水を超微粒子にし送風する濡れないミスト冷却があるそうで温室に適用可能か調べているところです。いずれにしても現状では午前10時から午後4時ごろまではクール温室以外、高温と高湿度のため30分と居られない状況です。

 環境変化の異なる多様な品種を栽培しようとすれば高・中・低温対応の環境を用意しなくてはなりません。一つの温室の中でも春秋のような外気温であれば暖房とエアコンまた間仕切りの工夫でそれなりの環境が造れます。しかし今回の猛暑のような中にあっては、それぞれのランにとっての適温を維持するのは至難の業です。この結果として高・中・低温タイプのランを栽培している場合、わずかでも対応ができないと低温タイプは溶け始め、中温タイプは葉が黄化し、高温タイプですら生気を失くします。驚くのは、こうした猛暑を喜んでいる種が居ない訳でもありません。Spatulata節デンドロビウム、胡蝶蘭ではPhal. giganteasumatrana、バルボフィラムでは高輝度は嫌いますがBulb. kubahenseviolaceolabellumなどは40℃近い気温の中、新芽を発生、伸長しています。

  さて本題ですが猛暑にランを購入することはそれなりの準備や覚悟が必要です。どのような栽培環境であっても高湿度の維持は通年必要で、冷房によって温度を下げれば湿度も低下します。であれば自動散水となりますが前記した問題があります。一方、同じ温室内で1年以上栽培を経た株は温度や湿度に対して短期間であればそれなりの許容力を持つものの、新たに入荷した株は、その環境の変化に慣れるまでの期間はその種にとっての順化のための環境が必要です。猛暑を越えて記録的酷暑と言われるこの時期に、こうした環境を温室内に造り上げるのは容易ではありません。

 今年はいつ温室内の日中温度が35℃を下回り、熱帯夜が無くなるのか予測できませんが、この時期に購入するには原則、植え替え直後の株ではなく、同じ鉢や支持材で1年以上栽培された株、すなわち根がしっかりと活着し安定した株を買うことが安全な買い物となります。ラン園やオークションを問わず購入される方はこの点を確認することを勧めます。

 猛暑時に株分けや傷んだ根を整理し、植え替えを行うことは避けるべきことは殆んどの趣味家は周知と思います。まして長期の酷暑の中で行うのは「狂気の沙汰」と言われかねません。そうした中で本サイトでは現在新入荷株の植え込みと順化栽培に追われています。海外から入荷する株は繰り返し説明していますが、見た目が良さそうでも株は相当傷んでいます。ひどいものでは生きた根がほとんどありません。しかし業者にとっては、それが希少性の高い種であったり新種とされる場合は国内への入荷時期を選ぶことができません。歩留まりの問題があってもこうしたリスクを採らざるを得ないのです。これを可能にするのは10年以上に及ぶダメージのある株を含め順化経験の蓄積と、高・中・低温環境があっての技です。

 難しいのは、spや新種と言われる株の管理です。その多くは生息環境(雲霧林とかオープンフォレストなど)や標高は分っていても、ハッキリしない種も多数あります。これは植え込んだ後の株の状態を朝夕にきめ細かく、その葉の変化を中心に観察することが求められます。張りが出ているとか、色合いが良くなっているとか、現状が維持されているとかを見ます。特に入荷時に小さな新芽のある株があれば一つの有効なバロメーターとなり、この新芽の変化を特に注視します。これがヘタってくれば環境が合わない、現状維持ならばそのまま栽培を続ける等です。より勢いが出てくれば環境が合うことだけでなく順化期間も短いことが読み取れます。悪いとなれば高・中・低温室のいずれかに移動することが必要で、この判断は即決即断が必須です。今回のように1,000株近い数があるとこうした株の変化を観察するだけでも結構な作業です。新入荷株だけでなく全ての株に対して観察し、毎朝ダコニールとアグレプト・ストレプトマイシン液剤を混ぜた農薬とそれを傷んだ部位に塗る筆を片手に見回ります。

 販売する側はこうした作業を日々繰り返している訳です。果たして植え付け間もない株を購入すべきかどうかは、購入者側の栽培経験に委ねられます。言い換えれば上記の環境や作業を購入者にも同じように求められます。順化栽培はどの時期であっても必要ですが、猛暑下にあっては経験を積んださらなる技術が必要となります。

 本サイトでは例年、順化中の株の購入は避けるべきとアドバイスをしています。しかし趣味家の中には本サイト以上に豊富な経験と栽培技術を持っている方もいます。また多くの趣味家にとって、それまで何もしないで待つことも無理があります。特に新種や希少種であればなおさらです。すなわち前記したように買うか待つかは趣味家の判断に委ねられます。そこで本サイトでは温室に来た方には株の予約を可能とし、選んだ株には出荷可能な時期まで予約タグを入れてもらい、適期が来た段階で引き渡しを行うことを続けています。このための予約費用も前払いもありません。こうしたシステムが他のラン園でも一般的に行われているのかどうかは分かりません。いすれにしても例年にない今回のような猛暑が続く中での海外からの新入荷種を求める際には、このような予約システムの利用が購入者側にとって有効と思われます。

 例年通常は、夏は暇な時期になるのですが、今年は年初の予定から1-2か月遅れの入荷が続いています。とりわけ量産栽培で出荷計画も容易な実生種とは異なる野生栽培株という原種であることと、相手あっての取引であり、なかなかこちらが希望するスケジュール通りには進んでくれません。さらに今年は入荷時期と記録的な猛暑時期が重なり例年になく多忙を極めています。

 この猛暑の中、間もなくマレーシアへの訪問です。 今月初めのフィリピン訪問では現地で汗をかいた記憶がなく、成田に降りたときは日本とフィリピンが反転したかのような気温で驚きました。この時期のマレーシアのSerembanでは日中32℃で夜間は24℃とのことです。ラン園やホテルのある場所を考えると3-4℃はこれより低く一方、訪問時期の成田での気温は37-39℃の予報ですからマレーシアには避暑に行くような気分です。ランに関わっていない人たちから見れば、この時期のランフリークの人たちはまさに「狂気の沙汰」を演じているのかも知れません。

Dendrochilum sp Surigao

 フィリピンミンダナオ島Surigao生息のDclm. spの取り付けが終わりました。この株も前記同様に垂直面に活着していたと思われる様態のため20株中、3株程はクリプトモスのポット植えで、他は炭化コルクへの取り付けとなりました

Dclm. sp Surigao
Dclm. sp Surigao

Dendrobium chrysotoxum v. suavissimum

 ミャンマー、ラオス、タイ、ベトナム等に生息するDen. chrysotoxumは花茎当た4-5㎝サイズのオレンジ色の花を15輪程同時開花します。一般種はリップの基部がややダークオレンジとなっているのに対して、var. suavissimumは下写真に見られるように、くっきりとした円形の栗色の模様があります。今回20株をタイから入手し、植え付けが完了しました。下写真左は取り付け後の本種で、右の花写真はサプライヤーからのものです。本サイトでは平均して葉付バルブ4本で2,000円の販売となります。

 Den. palpebraeも同様ですが、当初本種についてはポット植えを準備していたのですが、入荷した株を見たところほとんどがこれまで垂直な平面に着生していたことが分かりました。すなわち全ての茎の基部が植え込み材の上に出るように配置すると茎は基部の成長方向に伸長しているため、水平置きのポット植えでは茎は横向きとなり、これを立てるようにすれば株元の大半を植え込み材の中に埋めることことになります。その結果、本種も炭化コルクへの植え付けとなりました。

 国内ではマーケットでの販売形態のほとんどがポット植えである反面、現地では野生栽培株は当然ですが、ポットに植えつけた株は実生からの栽培品を除きほとんど見かけません。特に胡蝶蘭の野生栽培株やバルボフィラムをポット植えで栽培している現地の趣味家はこれまで訪問した中で皆無です。日本ではランは限られたスペース内での温室栽培となる事情があり管理上ベンチ置きが多く、ヘゴ板やコルクは扱いにくくなります。一方、これまでの経験からポット植えから垂直面への取り付けに替えた結果、その多くでそれまでにない成長と同時に病害が激減しています。こうした背景と株や開花時の花の姿勢を極力自然の生息形態に合わせる目的で、ポット植え込みの4-5倍の作業時間を要するものの原種については垂直面での取り付けが主になっています。

 ヘゴやコルクへの植付けの問題点は乾燥が進みやすいことです。数日間出張等でかん水ができない場合、展示会で購入される方に説明している対処法は、その間やや大きな素焼き鉢となるものの、鉢にコルクを立てて入れ鉢の底部(コルクの下部)に適度にバークやクリプトモスなどを詰めてコルクを安定させ、ポット受けには少量の水を張ることを勧めています。これで浸透圧によりコルク下部は長期間濡れた状態か湿った状態となり高湿度を保つことが出来ます。本サイトでは通常時でも胡蝶蘭のPhal. appendiculataのような種には一部こうした手法を用いています。 

Den. chrysotoxum v. suavissimum
Den. chrysotoxum v. suavissimum