Phalaenopsis fasciata

 フィリピンルソン島からMindanao島まで分布する本種は入手難という訳でもないものの5年ぶりの入荷です。今回はMindanao島からの入手であり、これまでの実績からおそらくPhal. fasciataではなくPhal. reichenbachianaの可能性があります。下写真左は現在の仮植え状態の植え付け待ちです。いずれも丈夫な種であることから2-3ヶ月の間には開花があり確認できると思います。

 入荷から植え付けまでの間、バルボフィラムでよく行うようにトレーにミズゴケを敷きその上に株を並べ、根部分をミズゴケで覆う仮置きは胡蝶蘭原種にはできません。数日で細菌性あるいはカビ系の病気に襲われます。下写真のように根をミズゴケで巻きこれを吊るすことが必須で、この状態で微風を24時間当てます。こうすれば1株当たり3分で仮植えができ、1か月は保管できます。マレーシアラン園ではミズゴケを巻いた筒状の取付材に根を針金で留めて吊るす仮植えを行っています。いずれにしても葉の上や頂芽にかん水時に水が溜まるような姿勢で長期間置くことは避けなければなりません。

Phal. fasciata ?
Phal. fasciata
Phal. reichenbachiana

Phalaenopsis aphrodite f. alba

 今回のフィリピン訪問で知人からPhal. aphrodite f. albaを1株頂いてきました。こうした希少種はマザープラントとして本サイトで自家交配して実生化を図り、フィリピンに戻す考えです。そうした活動には受け入れ先としてフィリピンを含めマレーシアやインドネシアなど自国の希少生物に対してのex situ (生息域外保全)のための組織や施設の存在が必要であり、それぞれの生息国に期待しています。

Phal. aphrodite f. alba
Phal. aphrodite f. alba

Bulbophyllum sp Mindanao

 名称不明のバルボフィルムが相当数、今回のフィリピン入荷に含まれています。写真1はMindanao島Bukidnonからの1種、写真2, 3はLanaoからの2種です。花写真もなく開花するまでどのようなバルボフィラムか分かりません。現地では写真1のBukidnonからの株は紫色の花とだけの情報です。写真4は現地での栽培風景と思われます。写真1の炭化コルクに植え付けた株と同一種です。バルブ間のリゾームが長く、バルブは赤茶色で葉に厚みがあります。また赤味のある長く細い花茎が写真に写っています。こうした種はこれまで扱ったことが無くおそらく新種かマーケットにほとんど見られない種と思われます。写真2は葉は薄く披針形でLanaoからです。同様に写真3は葉が楕円形です。いずれも本サイトとしてはバルブ、葉、リゾームそれぞれの形状を総合してこれまでにない形状であり、種名を同定するには開花を待つ以外ありません。写真5は写真1~3の3種を一堂に並べて撮影したものです。最も長い炭化コルクは60 x 9.5 – 10cm、他は45 x 9 cmと30 x 8.5㎝でコルクの横幅から葉サイズが推測できるかと思います。取り敢えず左はBulb. sp Bukidnon A, 中央はBulb. sp Lanao A、右はBulb. sp Lanao Bと仮称して扱うことにしました。

写真1
写真2
写真3
写真4
写真5

大型Bulbophyllumの取り付け終了

 フィリピンMindanao島Bukidnon生息の大型バルボフィラム10株の取り付けが終わりました。5㎝厚の炭化コルクに1.5mm盆栽用アルミ線での取り付けです。これから順化栽培に入ります。右写真は本種の開花風景です。会員の方からBulb. penduliscapumの可能性ありとの情報を頂きました。現在、BukidnonやLanaoなどからの種名不詳のBulb. spが取り付け待機中で一両日中には終わりたいと休む時間も無い状態です。

Dendrobium christyanum

 5月に入荷したベトナムおよびタイ北部と中国雲南省に生息する中温タイプのDen. christyanumが開花しています。現在バーク木片と炭化コルクに取り付けた15株全株に揃って蕾がついています。5㎝とそれなりのサイズのやさしい雰囲気の花で現在の蕾の数からは1株に2-6輪程が開花するようです。それぞれの株が同じタイミングで開花し開花寿命も長いようなので次回の発注で10株単位の寄せ植えも良いかと考えているところです。本サイトでは株サイズにより炭化コルク付けで1,500円(5バルブ)から3,000円(10バルブ以上)としています。

Den. christyanum
Den. christyanum

タイから入荷のミャンマーおよびタイ生息種を中心とした主なデンドロビウムその他

 5月以降2回に分けてタイからの直輸入で入荷した主なデンドロビウムその他は下記です。まずは一般種からとなります。2-3種を除き、バルボフィラムは一般サイズで1,500円、デンドロビウムは2,000円からとなります。現在多数のマーケット入手難の種や2000年以降登録の新種を注文中です。 

Aerides houlettiana 
Aerodes krabiensis
Aerides multiflora
Bulb. ambrosia
Bulb. blepharistes
Bulb. cruentum giant
Bulb. fascinator semi-alba
Bulb. moniliforme
Bulb. orientale
Bulb. spathulatum
Bulb. violaceolbellum
Cym. aloifolium var flava
Den. albosanguineum
Den. anosmum
Den. brymerianum
Den. christyanum
Den. chrysotoxym v. suavissimum 
Den. chysocrepis
Den. cumulatum
Den. delacourii
Den. devonianum
Den. lituiflorum semi alba
Den. moschatum
Den. palpebrae
Den. scabrilingue
Den. venustum
Den. virgineum
Phal. lowii
Phal. minus
Rhynchostylis coelestis blue
Thunia bensoniae
Vanda coeulescens

Phalaenopsis lueddemanniana Mindanao

 Phal. lueddemannianaはフィリピン固有種でルソン島北部からMindano島までほぼ全土に分布しておりフィリピンを代表するランの一つです。今回入手した株はMindanao島Surigao生息で、Mindanao島から纏まって本種が入荷するのはこれまでの10年間で初めてです。他地域の花では赤い棒状斑点が白や薄黄色のベース色にストライプ状に並んでいますが、Mindanao島の株はこの棒状斑点が太く、重なり合うことが多く写真2下部のようなソリッドレッドに近いフォーム(写真は今回のロットの花です)が多いことで知られています。またルソン島北部の同種と比較し1.5倍程の葉長を持ちます。

 ソリッドレッドフォームかストライプフォームが良いかは好みの問題ですが、Mindanao島からの野生栽培株は本サイトにとって2009年以降2回目となります。前回は数株でしたが今回は20株程です。ルソン島やPulilio島からの入手は容易ですがMindanao島生息株はかなり入手難です。写真1は順化に入る前の仮植え風景です。株は出荷に対してそれまでの支持母体から取り外されますがこの際多くの根が切られ、出荷までの数週間ベアールートに近い状態に置かれます。この結果、水分不足や現地ストックヤードでの高温環境によって葉は写真1のようにしな垂れてしまいます。入荷後に再び張りのある厚みを持った葉へ戻すにはかなりの時間が必要で、その間、根の切断状態にも寄りますが、古い葉は枯れ落葉します。写真2上部は仮植えから4日間で落葉した葉です。2週間程経つと落葉は収まり、細菌性あるいはカビ系の病気の発生がなく順調に栽培が進めば新しい根が現れたり、頂芽が動き始めます。それまでには植え付けから早くて3週間、通常は1か月を要します。

 その後、葉に張りが戻り始め新根や頂芽も伸長が続きます。それぞれが1cm以上伸びたところで順化は完了です。出荷はさらに一ヶ月程落着かせてから、すなわち入荷から2 – 3ヶ月後が好ましいのですが。このように胡蝶蘭原種の順化期間は、デンドロビウムやバルボフィラム、Aerides等とは異なり長い時間を要します。また順化期間は入荷時の株の状態に大きく依存します。根のほとんどが無傷であるポットなどでそれまで栽培されていた、いわゆるEstablished plantと現地で言われる株であれば順化期間は不要あるいは精々1 – 2週間で良いのに対し、根が大きく切断された株では上記のような期間が必要となる訳です。

 順化は不要なのですぐに購入したいと言われる趣味家も少なくはありません。順化栽培の経験が十分ある方には問題はありませんが、前記したように株の状態によっては歩留まりがかなり低下する場合があり、そこは慎重に検討されることが好ましいと思います。しかしあまり悠長なことを言っていてはいつか誰かが買ってしまい無くなっているかもしれないという心配もあります。本サイトではそのため予約済みのラベルを順化中の株に付けますのでそうした問題はありません。注文はメールでの予約を含めて早い人優先です。

写真1 仮植え中のPhal. lueddemanniana Mindanao
写真2

Bulbophyllum recurvilabre

 5月のサンシャインラン展で初日で売り切れとなったBulb. recurvilabreを今回10株入手しました。ラン展では開花中であったため、花を見ての人気であったと思います。今回は4-5バルブの普通サイズではなく可能な限り大株を、と注文していました。全て12バルブ以上でしたが、いずれも左右方向に2分岐した株で、これを長方形の板状支持材に取り付けると板が横向きの姿になり吊り下げタイプとしては不釣り合いとなるため分岐点で切断し、またその際に古いバルブを整理し葉の向きを揃え縦方向に一列になるように取り付けました。取付支持材は炭化コルクとバーク板です。写真1が取り付け後の画像3例で、写真2はサンシャインらん展で販売した株の本種の花です。

写真1 Bulb. recurvilabre
写真2Bulb. recurvilabre

Cymbidium sp BukidononとCymbidium aliciae

 Mindanao島からの出荷可能リストにデンドロビウムやバルボフィラムに混じって、Bukidnon生息のシンビジウムが2点含まれていました。それらの花形状はCym. aliciaeに似ているものの葉は細く、またセパル・ペタルがサーモン色と黄色の2種類のカラーフォームがあるとのことで園主としても始めて見る種とのことでした。それではとそれぞれ20株を入手しました。黄色のシンビジウムと言えば近隣のSurigaoにCym. chloranthum subsp. palawanenseが生息しており、またCym. finlaysonianumなども考えられるものの葉形状が異なることから、おそらく今回入手の株は新種か、これまでマーケットには見られなかった種であろうと思われます。写真1の手前左右の株がそれらで、それぞれ20株あります。奥の明るい緑色の幅広の葉の株はルソン島からのCym. aliciaeで別種です。一方、写真2はトレー内すべてがNueva Viscaya Kayapa標高1,500mのCym. aliciaeで、小株から大株まで写真1の株と同様に植え付け待ちの状態です。左のトレーの奥と同じ種ですが葉色が異なっており、サプライヤーも異なることから、おそらく地域差と思われます。

写真1
写真2