Aerides magnifica (Aerides odorata Complex)

 Aerides magnificaはフィリピンCalayan諸島生息で、2014年に固有種として登録されました。9月末現在、Aerides magnifica, magnifica albaおよびAerides quinquevulneraがそれぞれ、浜松温室にて同時に開花しているため、それらを撮影した画像を並べて見ました。マーケットを見るとオークションでAerides magnificaが24,000円となっていますが当サイトの現在の価格は野生栽培株でその約1/5の5,000円、大株で8,000円です。albaタイプでも20,000円です。Aerides Complex、特にAerides magnificaAerides inflexa などを扱う入手ルートは限られている上に管理がずさんで、これらのロットにはAerides odorataquinquevulneraなど一般種が頻繁に混在し、園主とはFace to Faceで花を確認していることを条件に入手する必要があります。

写真1 Aerides magnifica
写真2 Aerides magnifica f. alba
写真3 Aerides quinquevulnera

Coelogyne moultonii

 ボルネオ島キナバル山を中心にSabah標高1,100-2,400mのコケ林に生息するセロジネCoel. moultoniiが開花中です。2014年3月にCoel. clemensiiCoel. hirtellaCoel. kinabaluensis等と共にマレーシアから入手したものです。入荷時は20cm程の線形葉長でしたが、成長するとバルブがバスケットをはみ出すため、4-5バルブ毎に株分けしながら5年以上経過しました。下写真は葉長48cm、幅8cmとなった株で、24輪が開花しています。バルブは円柱形で長さ28cm、断面はやや楕円形状で長軸1.8cmです。中-低温室にての栽培となります。

Coel. moultonii
Coel. moultonii
Coel. moultonii

スマトラ島、スラウェシ島、ボルネオ島など熱帯常緑季節林や熱帯雨林帯のFormosae節の栽培について

 マレーシア訪問が、現地ラン園のGeting Highlandsでの造園が遅れていることから、行きそびれています。それまでは時間に余裕があるため、現時点では温室の片隅の南米の蘭を始め、特にspとされた種名不詳種を中心に植え替えをしているところです。そこで多くの趣味家が栽培に困っているDen. tobaenseやDen. toppiorumなどFormosae節について考察してみました。7,000文字以上のレポートなのでこのページでは長文過ぎるため、下記のページに記載しました。ご参考下さい。

 マレーシア訪問が、現地ラン園のGeting Highlandsでの造園が遅れていることから、行きそびれています。それまでは時間に余裕があるため、現時点では温室の片隅の南米の蘭を始め、特にspとされた種名不詳種を中心に植え替えをしているところです。そこで多くの趣味家が栽培に困っているDen. tobaenseやDen. toppiorumなどFormosae節について考察してみました。7,000文字以上のレポートなのでこのページでは長文過ぎるため、下記のページに記載しました。ご参考下さい。

現在開花中のArides magnifica albaとDendrobium dianae alba?

 今年2月入荷のArides magnifica albaが開花しました。Aerides magnificaは淡いピンク色の花フォームをもつフィリピンCalayan諸島の固有種で、2014年まではAeries quinquevulneraの変種あるいはAerides odorata Calayanタイプとも呼ばれていました。下写真1の今回開花株はそのアルバで、2月の入手時はalbaではなく、Aerides magnifica whiteとなっており、一部にピンク色あるいはリップに薄い黄色が残っているではないかと推測し、Aerides magnifica albescense(albaに似た)として数株販売しました。しかし写真に見られるようにセパル・ペタルおよびリップの全てが純白色のalbaでした。

 一方、中央はDen. dianaeのalbaともflavaともとれる花が開花しています。本種は薄黄色をベースにリップ基部の側弁辺りに茶褐色の斑点が入るフォームと、ドーサルセパルとぺタルに赤いラインの入る2つのフォームがあります。本種は前者に近いフォームですが、リップ基部に斑点がなく全体が薄緑の単色です。下写真2が今回開花した花で、写真3は一般フォームです。

写真1 Aerides magnifica alba
写真2 Den. dianae alba / flava?
写真3 Den. dianae common form

Dendrobium nafisae

 3日前の9月18日発行のドイツOrchideenJournal Vol.7-2に掲載された新種Dendrobium nafisaeが、当サイトのデンドロビウムページにあるsp8と同種の可能性有りとの情報を知人より頂きました。本種は2015年12月にスマトラ島生息種Den. fitrianumに混じって入手したもので、歳月記2017年2月と2018年1月に紹介しています。

 現在当サイトで在庫するデンドロビウムやバルボフィラムにはかなりの種名不詳のsp種や未開化株があり、こららの中には新種や希少種の可能性もあり、これまで花がなかなか咲かないsp種は温室の片隅に忘れ去られ、やがて枯れ落ちていくこともあるため今秋には新たに植え替えをし、もう少し日の当たる場所に移そうと考えているところです。

Sp8 (Den. nafisae)
Sp8 (Den. nafisae)
Sp8 (Den. nafisae)

Vanda arcuata

 北スラウェシ島低地生息のVanda arcuataが入荷して3年経ち、ようやく開花しました。同時に入荷した同じ北スラウェシ島のVanda devoogtiiは今だ開花待ちです。下写真がVanda arcuataで、バニラのような良い香りがします。国内マーケットをネットで見る限り取り扱いがないようです。下写真が19日、浜松温室にて撮影の本種です。5㎝サイズでセパルペタルの薄黄色をベースに赤錆色の斑点とのコントラストが映え、かなりの存在感があります。

Vanda arcuata
Vanda arcuata

Dendrobium igneoniveum

 下写真1に示すようにDen. igneoniverumはセパルペタルが白のベース色にリップの基部が赤く、人気のあるスマトラ島生息のFormosae節デンドロビウムです。しかし本種についてorchidspecies.comには生息地の標高や輝度データがありません。このため果たして本種が高温タイプなのか中温タイプなのか不明です。おそらく今年の猛暑で、春に現れた新芽を無くした栽培者が多いのではないかと思います。当サイトでは本種の栽培を始めて6年程経ちますが、これまでの栽培経験から前記した同じスマトラ島のDen. tobaensetoppiorumと比較してより低地生息と推測できます。では高温で良いのかと云えば毎年、夏季に入ると元気がありません。栽培難易度としてはFormoae節と云うこともあり中難度と云ったところです。そこで今回の猛暑では一部を中温室に移して観察していましたが、現時点の結論としては中温室の方が明らかに新芽に勢いが見られます。

 とくに夜間温度が25℃を超える熱帯夜が長く続き、且つこの高温時期に株周りを乾燥気味にすると新芽が萎れ落ちる可能性が高くなり、この対策として中温タイプとしての取り扱いが必要となります。しかし東北、北陸、北海道エリアではそれほど神経質になる程でもないと思います。むしろこうした地域では冬季の最低温度を15℃以上とすることが必要です。栽培経験から生息地は標高800-1,000m程と推測され、熱帯モンスーン気候のスマトラ島のこの標高は熱帯常緑雨林帯で、最低平均温度19℃、最高平均気温は30℃∓2℃です。

 本種の当サイトの栽培は、バスケット植えと、炭化コルク取付で、炭化コルクでは厚めにミズゴケを敷き、常時湿った状態になるようかん水をしています。下写真は写真1の花写真を除いて、全て18日現在の撮影です。9株の新芽を選びました。 大株にするにはバスケットが良いと思います。本種はDen. tobaensetoppiorumと同様に植え付け後1-2ヶ月を経過すると、一部の根はミズゴケ表面から飛び出してきます。これを空中に伸びたまま放っておくと、5㎝程の長さに伸長した頃に根冠の緑色が茶色に変色し止まります。このため2-3㎝になったところで空中に出た根はミズゴケで覆います。この処理は胡蝶蘭原種とは異なります。胡蝶蘭では着生する根は表裏で機能分化があり、半面は空中に晒すことが好ましいため、ミズゴケで覆うことはせず、根に柔軟性があれば空中に伸びたあるいは伸びようとする根は、1mm径アルミ線で根冠部が支持材に接触するように押さえ留めます。根冠が緑色の段階であればFormosae節でも、ワイヤーで支持材に接触するように押さえることで根は伸長を続けます。株を元気に保つには、こうした些細な処理も時として有効です。

写真1 Den. ingneoniveum
写真2 Den. ingneoniveum new growths in 2019 summer
写真3 Den. ingneoniveum new growths in 2019 summer
写真4 Den. ingneoniveum new growths in 2019 summer
写真5 Den. ingneoniveum new growths in 2019 summer
写真6 Den. ingneoniveum new growths in 2019 summer
写真7 Den. ingneoniveum new growths in 2019 summer
写真8 Den. ingneoniveum new growths in 2019 summer
写真9 Den. ingneoniveum new growths in 2019 summer
写真10 Den. ingneoniveum new growths in 2019 summer
写真11 Den. ingneoniveum new growths in 2019 summer

Dendrobium lancifolium名で入手したDen. sp

 昨年の8月にマレーシアPutrajaya花展にてDen. lancifolium名で入手した下写真のデンドロビウムが開花しています。葉や疑似バルブ形状からDen. lancifoliumでないことは分かるものの、写真に該当する花とバルブ形状が今のところ見当たりません。Calcarifera節と思いますが、花サイズも左右のペタルスパンで3.5cmあり多輪花であることから良く目立ち、現時点で種名が無いとは考え難く、今後の調査待ちです。(後述:Den. calicopisの可能性有りとの情報を頂きました)

Dendrobium tobaenseとDen. toppiorum subsp. taitayorumのつぼみ

 15日現在、20株程あるDen. tobaenseの半数が蕾を付けており、来週から10月1週目にかけて開花が始まります。浜松温室でのDen. tobaenseは年2回開花し、一方Den. toppiorumは5月入荷で6月から今日まで4-5輪が途絶えることなく順次開花しています。いずれもスマトラ島北部Ache州の生息です。orchidspecies.comのサイトではDen. tobaenseの生息地をボルネオ島Sabahとしていますが間違いと思います。30年近くラン原種を扱っているマレーシアラン園園主も本種のボルネオ生息はこれまで聞いたことがないとのことです。またリップが黄色のDen. toppiorumボルネオ島Sabahとありますが、現在は生息地がパームヤシ・プランテーションですでに絶滅しているとマレーシアの趣味家から聞きました。確かにこれまで4年間ボルネオ島生息種を注文してきたのですが入荷はありません。

 これらの栽培では昨年から鉢植えを止め、ヘゴ板あるいは炭化コルクにミズゴケで根を覆った植え付けをしており、通年でミズゴケが湿った状態を保つ管理をしています。また中温栽培として冬期夏期に関わらず最低平均温度を15℃以下にはしないことで、冬季にかん水を控えると云った対応は一切しておらす、かん水量は通年で同じです。これで作落ちや枯れる株はありません。もともとこれらの種の生息地の標高は1,000m程ですが赤道に近い熱帯常緑季節林であり、また熱帯モンスーン気候としての2ヶ月程の乾期があるものの、この乾期とは熱帯雨林の降雨量に対する相対的表現であって、東京の6月雨季の降雨量167mmよりも多く、また通年で最低平均温度は20℃±2℃です。言い換えればそもそも生息地には冬季はなく、またCAM植物としての生理的な休眠期間もありません。よってこうした最低平均温度が保たれた温室栽培である限り、かん水を控え株周辺を乾燥気味にすることは、CAM植物として夜間に呼吸を行う際に株の体内組織から水分を奪うことになり、逆効果であり成長を阻害します。

 下写真は蕾を付けたDen. tobaenseDen. toppiorumをそれぞれ9株示したものです。Den. tobaenseの新芽発生状況は今月本サイトで取り上げました。Den. tobaenseおよびDen. toppiorumいずれも今年5月入荷株であり、2ヶ月の順化期間を待たずDen. toppiorumは6月から開花を始めていますが、Den. tobaenseは今回が入荷後初めての開花となります。写真は18枚いずれも15日の撮影です。

Den. tobaense
Den. tobaense
Den. tobaense
Den. tobaense
Den. tobaense
Den. tobaense
Den. tobaense
Den. tobaense
Den. tobaense

Den. toppiorum subsp. taitayorum
Den. toppiorum subsp. taitayorum
Den. toppiorum subsp. taitayorum
Den. toppiorum subsp. taitayorum
Den. toppiorum subsp. taitayorum
Den. toppiorum subsp. taitayorum
Den. toppiorum subsp. taitayorum
Den. toppiorum subsp. taitayorum
Den. toppiorum subsp. taitayorum

現在開花中の花

 13日現在、下写真の花が浜松温室にて咲いています。写真1はボルネオ島Sabah高地生息のClctn. merrillianumで、45輪の同時開花です。写真2のSulawesi島生息種Den. klabatenseは現在浜松での中温室では10株ほどを栽培しており、全株で開花中です。写真3はニューギニア2,000m生息のDen. subclausumです。

 写真4はボルネオ島低地生息のDen. kenepaienseで、ネットで見る限り国内マーケットでは当サイトのみのようです。写真5はスマトラ島Den. toppiorum subsp. taitayorumで2010年登録の新種とされます。こちらも取り扱いは当サイトのみのようです。写真6はフィリピンルソン島1,000m生息のDen. robinsoniiと思われます。中温室にてほぼ2-3ヶ月間隔で咲き続けています。

 写真7はモルッカ諸島標高1,200m生息のDen. sulawesienseです。Den. glomeratumとも呼ばれます。一般タイプの花色はやや明るい赤紫色ですが、今回開花の花は青味が強い紫色のフォームです。写真8はニューギニア生息種でDen. lawesiiと思われます。Den. lawesiiは赤色か、写真3のような先端が黄色の2色フォームが一般色ですが写真8のような白色をDen. lawesii whiteとして掲載された海外での画像が見られます。写真9はフィリピンPalawan生息のDen. albayenseです。Palawanからの本種の入荷は1年半前ですが当サイトが国内初と思います。

写真1 Clctn. merrillianum
写真2 Den. klabatense
写真3 Den. subclausum
写真4 Den. kenepaiense
写真5 Den. toppiorum subsp. taitayorum
写真6 Den. robinsonii
写真7 Den. sulawesiense
写真8 Den. lawesii white
写真9 Den. albayense