下写真1に示すようにDen. igneoniverumはセパルペタルが白のベース色にリップの基部が赤く、人気のあるスマトラ島生息のFormosae節デンドロビウムです。しかし本種についてorchidspecies.comには生息地の標高や輝度データがありません。このため果たして本種が高温タイプなのか中温タイプなのか不明です。おそらく今年の猛暑で、春に現れた新芽を無くした栽培者が多いのではないかと思います。当サイトでは本種の栽培を始めて6年程経ちますが、これまでの栽培経験から前記した同じスマトラ島のDen. tobaenseやtoppiorumと比較してより低地生息と推測できます。では高温で良いのかと云えば毎年、夏季に入ると元気がありません。栽培難易度としてはFormoae節と云うこともあり中難度と云ったところです。そこで今回の猛暑では一部を中温室に移して観察していましたが、現時点の結論としては中温室の方が明らかに新芽に勢いが見られます。
とくに夜間温度が25℃を超える熱帯夜が長く続き、且つこの高温時期に株周りを乾燥気味にすると新芽が萎れ落ちる可能性が高くなり、この対策として中温タイプとしての取り扱いが必要となります。しかし東北、北陸、北海道エリアではそれほど神経質になる程でもないと思います。むしろこうした地域では冬季の最低温度を15℃以上とすることが必要です。栽培経験から生息地は標高800-1,000m程と推測され、熱帯モンスーン気候のスマトラ島のこの標高は熱帯常緑雨林帯で、最低平均温度19℃、最高平均気温は30℃∓2℃です。
本種の当サイトの栽培は、バスケット植えと、炭化コルク取付で、炭化コルクでは厚めにミズゴケを敷き、常時湿った状態になるようかん水をしています。下写真は写真1の花写真を除いて、全て18日現在の撮影です。9株の新芽を選びました。 大株にするにはバスケットが良いと思います。本種はDen. tobaenseやtoppiorumと同様に植え付け後1-2ヶ月を経過すると、一部の根はミズゴケ表面から飛び出してきます。これを空中に伸びたまま放っておくと、5㎝程の長さに伸長した頃に根冠の緑色が茶色に変色し止まります。このため2-3㎝になったところで空中に出た根はミズゴケで覆います。この処理は胡蝶蘭原種とは異なります。胡蝶蘭では着生する根は表裏で機能分化があり、半面は空中に晒すことが好ましいため、ミズゴケで覆うことはせず、根に柔軟性があれば空中に伸びたあるいは伸びようとする根は、1mm径アルミ線で根冠部が支持材に接触するように押さえ留めます。根冠が緑色の段階であればFormosae節でも、ワイヤーで支持材に接触するように押さえることで根は伸長を続けます。株を元気に保つには、こうした些細な処理も時として有効です。










