当サイトでのランの写真はキャノンEOS7dで撮影していますが、レンズと本体との接触不良で修理に出さざるを得なくなり、1週間程かかるそうでしばらく写真掲載を休むことになりました。5年間近くいつも高湿度下での撮影のため初めての動作不良止む無しのようです。しばらくお持ちください。
現在開花中の花6点
12月に入り、ここ浜松でも夜間の気温は5℃近くまで下がり、暖房器の稼働率が高まっています。温室内は高温タイプは15℃、低温タイプは13℃を最低温度としています。Phal. schillerianaやPhal. amabilisでは現在50株程で10-20cmの花茎を伸ばしています。下写真は現在開花中のデンドロビウムとバルボフィラムをそれぞれ3点選んでみました。その中で、Bulb. fritillariflorumはネット画像ではしばしばBulb. arfakianumや.Bulb. antenniferumと混同されています。下写真は本物です。またBulb. scotinochitonはBulb. mirumと花形状が似ていますが、Bulb. mirumの花サイズは3cmと小型であるのに対して本種は7-8cmと大きく、2005年Sumatra島北部で発見された新種で本種の栽培情報は余り知られていません.。3年間の栽培経験からはBulb. mirum程ではないものの、やや暑さを嫌うようで夏期において夜間温度が20℃を下回る環境が好ましいようです。写真3のDen. tobaenseはラテラルセパルのスパンNSサイズが11cmの4輪同時開花中の花です。






Bulbophyllum medusae
Bulb. medusaeは白く長い髪の毛のようなセパルが特徴で、タイからマレーシア、ボルネオ島、スマトラ島などに広く分布する低地生息域のバルボフィラムです。バルボフィラム趣味家であれば1株は持っているであろう最もポピュラーな種の1つであり、価格も5-6葉付バルブで2,000円前後と廉価です。当サイトではこの種の本領を発揮させるためには、クラスター仕立てが良いと考え、2つのクラスター株をつくりました。一つは1mヘゴ板(写真2)、他は60cm炭化コルク(写真3)を支持材としたものです。現在、前者は130葉、後者は65葉になっています。はたしてそろそろ一斉開花の滝のような壮大な景色となるのではと想像しているところです。写真1は現在2,000円の単体株に開花しているBulb. medusaeです。長く垂れたセパルの長さは18cmで、開花直後のため20cm近くに2-3日内には伸長すると思われます。本種はセパル基部に茶色のドットのあるフォームとアルバタイプがあり、写真のクラスター株は全てアルバタイプです。クラスター株も開花確認後には販売品となります。



歳月記のそれぞれのIndexへのリンク
これまで歳月記では、旅行体験、輸出入問題、原種、栽培、病虫害防除等など様々な話題を取り上げてきました。しかし10年を経て膨大な情報となり、振り返って興味のあるItemをこの中から見つけ出すのは相当な労力が必要になっています。そこで今月から、2009年以降、取り上げてきた上記の事柄等をそれぞれ分野別にリストにし、これまでの歳月記にpoint to pointでアクセスできるページの作成を始めました。 全体が出来上がるには2-3ヶ月かかると思いますが、まず2009年からの旅行体験記からリンク可能なIndexを作成しました。時代を反映して変化している内容もありますが、今後ラン生息国に出かけランを入手しようと考えている方や、EMS等での購入を計画している方に参考になるのでは思います。原種それぞれへのアクセスは今月末を予定しています。本サイトのトップページの中段右にあるメニュー ”歳月記Indexリンク” よりご覧ください。
Vanda roeblingiana f. flava
昨年11月に入荷し、丁度1年間の栽培を経てVanda roeblingianaのflavaフォームが開花しました。本種はルソン島中央部標高1,600m程に生息する中温タイプのVandaです。リンゴを切ったときに漂うフレッシュな淡い香りがします。ネット検索する限り本種のflavaフォームは本サイト以外見られず、現存する唯一のflavaフォームの可能性があることと、現地所有者の栽培環境は本種にとって気温が高く、成長や開花を得ることが難しく、当方で栽培管理し自家交配によるフラスコ苗を作った後、苗をフィリピンに戻すことで預かったもので、写真1, 2が今回開花のflavaフォームです。写真3は一般フォームの画像でW. Suarez氏から頂いたものです。本日(30日)下の写真を撮影した後、交配を済ませました。実生が市場に出るにはフラスコで2年後の予定です。



今月開花のDracula9点
11月は月数に合わせたように11種のドラキュラが開花しています。その中から9点を選びました。全てエクアアドル生息種で、名前の後の数値は生息地の標高です。こうした低温タイプで高輝度を好むと栽培コストは一気に上がりますが、幸いDraculaのほとんどが低輝度を好みます。現在60種程のページを作成中でその8割は2,500 – 3,000円となる予定です。









25日現在開花中の花
現在開花中の花を6点選んでみました。






Coelogyne rochussenii
Coel. rochusseniiクラスターの開花画像です。フィリピン訪問にもご一緒した長野の知人より送って頂きました。3年ほど前に購入された株でこれほどの密度で開花したセロジネを見るのは初めてです。写真のCoel. rochusseniiはフィリピン生息株です。しばしば開花情報を頂いていますが、他属を含め栽培技術については知人の中でもトップレベルで、それらはいずれも見事な景色であり展示会に出品すれば入賞間違いないものばかりです。


Dendrobium igneoneiveum
現在Den. igneoniveumが開花中です。本種はFormosae節で、栽培難易度は中レベルですが、Den. tobaenseよりは高温栽培が可能で夏の猛暑日が続くようであれば、涼しいところに移動する対応でよく、東北や日本海側のエリアでは特に温度には神経質になることはありません。これまで当サイトではバスケット、ポット、コルクへの植え付けがありましたが11月からは全て炭化コルク付けに替え、通年でかん水量を加減することはなく、根は常に湿った状態にしました。年間の最低栽培温度は15℃です。写真1は開花中の花で左が6輪、右が10月の本ページに掲載した花で7輪の同時開花画像です。この種は1か月以上の花寿命があり、白と赤のコントラストと共に一輪が5cm程のサイズと大きく、よく目立ち、展示会に向くデンドロビウムと思います。写真2-4はこれから開花する蕾です。撮影はすべて24日です。




ところでこの所、この歳月記の更新が途絶えていました。実は、5年前の頸部とは別の腰部の脊柱管狭窄で浜松医療センターに入院しており、14日に手術を行いました。数か月前までは、骨を削るだけで1時間の手術と1週間程の入院予定でした。しかし、この種の病は、動いた椎骨を削って脊髄の通りを広げる治療ですが、その後にしばしば近接する骨に負荷が移動して、それらに再発する確率も高く、これを防ぐため5年前の首の手術同様に削った後、チタン合金のボルトで椎骨を固定すると共に今回は、椎骨が滑るようにズレた頸部のケースとは異なり、傾いたことで椎骨間の距離が狭まっての脊髄への圧迫もあり、これにより椎骨間を元の距離に戻し、そこに人工骨を挿入して固定する高度な処置に変わり、首の手術に次ぐ3時間半の大手術となってしまいました。使用したチタン合金が新商品なのか、この製造業者が手術を見学したいとのことで製品開発に熱心な研究者であろうと見学許諾書にサインをしてあげました。
前回は携帯PCと多数の洋書でしたが、今回は大手術というのに、52cmx33cmスクリーンの大型PCやルーターを病室に持ち込み、手術2時間前までPCから離れず、手術後の翌日には鎮痛剤の入った点滴を含め体に3本の管を付けながら、メールの対応が忙しいのでとPCに向き合っている姿を見て医師は致し方なしと思われたのか、手術方法が変わり3週間となった退院予定を、半分の10日にしてもらい本日24日に退院することができました。ただ3ヶ月間は腰にかなり窮屈なコルセットを付けねばならず、しかし腰は体を動かす限り常に負荷のかかる重要な場所なので、3ヶ月間の装着だけは守らなければと考えているところです。一方で、マレーシアとフィリピン両国合わせて現在、70種およぞ800株を発注しており、徐々に集まり始めているとの情報も入り、気持はすでに海外に飛んでいます。浜松の最先端医療は世界でもトップレベルであると数ヶ月前偶然TVで紹介されていましたが、米倉涼子ドクターXの ”私、失敗しませんから” ではありませんが浜松医大を中心に神の手を持つ医師も多く、本サイトをご覧の皆さんで同じような病に悩まれている方には浜松での手術をお薦めします。
面白い組み合わせのデンドロビウムとポリネーター
現在2008年頃からの画像を整理し纏めようと取り組んでいます。その中で、会津若松での知人の温室でデンドロビウムスパチュラータの周りを飛び回っている多数のハチがおり、よく見ると日本ミツバチでした。面白いため撮影し2012年の歳月記に掲載しました。現在歳月記は2013年からとなってそれ以前の歳月記は未掲載のため、この画像を再度取り上げました。ハチの背中の黄色い点のようなものが花粉魂です。
2012年10月歳月記の記事から抜粋:
会津若松では最低温度が4℃となり、まもなく霜情報が出る時期となりました。11月に入ると晴日はぐっと減り、如何に温室を明るくするかが毎年の課題です。今月はPhal. hieroglyphicaとPhal. fasciataの開花最盛期となっており、一方でphal. bellinaも良く咲いています。
昨日、Dendrobiumを1,500株ほど栽培している友人の温室を訪問しました。そこで日本ミツバチがDen. albertesiiで受粉をしている光景を見たので写真を撮りました。この日本ミツバチとインドネシア生息のデンドロビウムの組み合わせが驚きで、Den. albertesiiは比較的強い匂いがあり、確かに果物のような匂いと言えばそうかも知れません。Dendrobiumはspurと言われる後部に突出した袋があり、ここに蜜を貯めると言われていますので蜂はこれが目的と思われます。
下に写真を掲載します。写真は左から右の順序で時間が経過しています。蜂の頭部寄りの背に黄色い花粉痕がついているのが分かります。







胡蝶蘭の受粉風景でないのが残念ですが、今だ胡蝶蘭については何を目的に昆虫(おそらく蜂やアブ)がやってくるのかを研究した文献等が見当たりません。まず胡蝶蘭には食用としての粉のような花粉はなく、硬い花粉魂ですので花粉を求めて訪れるとは思えません。
匂いはあるものとないものがあり、匂いが胡蝶蘭全体の共通した誘引物質なのかどうかも疑問です。Paphiopedilumは匂いと形状だそうです。色はこれだけ多種多様であると他の花と区別をする目的であっても、give and takeの要素ではなさそうです。蜜の可能性も低く、残るのは擬態とホルモンですが、擬態はPhal. appendiculataのようにリップが風で前後に揺れる品種はそれも有りかなと思われますが、こちらも全体で見れば形状はかなり異なり決定的とは言い難く、特殊な物質、すなわちリップのカルス辺りにその分泌物があり、これを前足で引っ掻いてオスが足の袋に取り込み、それに唾液に混ぜることでメスを誘引するフェロモンを生成すると言う仕組みです。しかし一部の南米のランでその驚くべき生態が発見されているものの胡蝶蘭でどうかと言えば、これも研究が見当たりません。今後の研究に期待したいと思います。