透明感のあるBulb. laxiflorumの花

 1昨年撮影した写真を整理していたところ、花がガラス細工のような透明感のある画像を見つけました。Bulb. laxiflorumです。特にバルボフィラムの中には透明感のある花をつける種がしばしば見られますが、なかでも今回の画像は格別で繊細です。Bulb. laxiflorumはタイからマレーシア、インドネシア、ボルネオ島などに広く分布し、結果、高温から低温と生息環境も多様です。当サイトはすべてフィリピン生息種で30株ほどを高温環境で栽培しています。一般種でも透明感の度合いは様々ですが似たフォームはよく見られます。ここで透明感と表現しているのは、透明度が高いと言う意味ではなく、セパル・ペタル表面での複雑な光反射によってガラス細工のように見えることから”度”ではなく、視感の”感”とした訳です。下写真はその花画像です。種名にaff.としたのは、一般種に比べセパル・ペタルの長さがやや短く、その表皮全体にある細毛状の凹凸も短く、またリップが純白でalbaフォームのように見えることで、こうした違いは地域差の可能性が高いと思われるものの、取り敢えず他株の花を調べ終わるまで、Bulb. laxiflorumの類似種としました。栽培している株はPalawanの比較的狭いエリアでのコロニー形成株と思われ、他にも同じようなフォームがあるのではと期待しています。ちなみに当サイトでは栽培株の大半が葉付10バルブ以上ですが、写真3の葉付6バルブ程の株の場合、栽培による伸びしろ面積を大きくするため、30cm x 9cm x 3cmの炭化コルク付け仕様にして1株2,500円です。

写真1 Bulb. laxiflorum aff.
写真2 Bulb. laxiflorum aff.
写真3 Bulb. laxiflorum aff.

現在開花中の花

 11月12日現在開花中の花、9点を選んでみました。

Coel. usitana Philippines
Den. punbatuense Borneo
Den. lamellatum Java
Phal. bellina Borneo
Bulb. catenulatum Philippines
Scaphosepalum cimex Ecuador
Den. boosii Mindanao
Bulb. ankylochele New Guinea
Dracula felix Ecuador

現在植え替え中のバルボフィラムの一部

 現在、2-3年植え替えのなかったバルボフィラムを中心に植え付けをしています。従来の植え付けは杉皮板や炭化コルクでしたが、現在は炭化コルクに一本化しています。従来と異なるのはコルクのサイズを1.5倍程長くし、またミズゴケの使用量を素焼き鉢植込みのほぼ2倍程にしました。これは株の今後2年間の伸びしろ分を考えたことと、根を常に湿られておくためです。環境によってはその必要が無い場合もありますが、浜松温室ではこれまでの量では、季節によりかん水から次のかん水までの間にしばしば短時間ではあるものの乾くことがあり、特に新芽や根が張る成長期(春と秋)には、そうした、常時根が湿っている株には、成長の明らかな違いがあることが確認されたためです。下写真はBulb. auratumBulb. geniculiferumを除き、国内マーケットでは本サイト以外ほとんど取り扱いのない種を選んでみました。写真1のBulb. denopyllumは当サイトでは2017年5月入手ですが、登録は2018年の新種となっています。栽培情報が無いので加えますと高温タイプです。同じく写真3も高温タイプとなります。写真9のBulb. tollenoniferumは未開化であるため、花はリンク先でご覧ください。バルボフィラムとしては5cmの大きな花です。これらはすべて販売品で、こうした取り付けは若干コストアップとなりますが価格は従来通りです。

写真1 Bulb. denophyllum New Guinea
写真2 Bulb. unitubum New Guinea
写真3 Bulb. sp Papua New Guinea
写真4 Bulb. geniculiferum New Guinea
写真5 Bulb. inacootesii Mindanao
写真6 Bulb. auratum f. aurea Philippines
写真7 Bulb. othonis Palawan
写真8 Bulb. sp Sumatra
写真9 Bulb. tollenoniferum Papua New Guinea

Dendrobium spの開花

 1昨年Den. cinnabarinum angustitepalumを注文していたものの現地ラン園には入荷が無く、代わりにDen. cinnabarinumタイプのpinkの花との説明のDen. spを持ち帰りました。おそらくDen. cinnabarinumと同じボルネオ島生息であろうと思われ、中温室にて栽培を続けていましたが、この株が今月に入りはじめて開花しました。写真1, 2がその花で、写真3, 4は株です。確かに茎や葉はDen. cinnabarinumに似てはいるものの花は全く異なります。小型の花ですが、これまでに扱ったデンドロビウムには無いフォームです。花は美形で果たして未登録の新種かどうか該当する画像を調べる予定です。

(後記) 幾つかの情報を頂いており、その中で本種に似た画像はAntonu Van der EntのMount Tambuyukon-an intriguing mountain and its orchids Jan. 2012の論文にあり、ボルネオ島キナバル山に近いTambuyukon山の生息とされています。この論文ではこの種をA form of Den. cymbulipesとし、Den. cymbulipesの一つのフォームとしています。しかしDen. cymbulipes一般フォームとはラテラルセパルやリップ形状が異なっており、それらのSpur形状や疑似バルブ(茎)の先端に花芽が発生すること、花サイズが1.5cm程である点で近縁種であろうことは理解できますが、Den. cymbulipesのフォームの一つとは画像からは判断できません。これらが花の中央弁の中央部に、下写真に見られる赤色部分の4列の突起があればそれぞれが同種である可能性も高まりますが、ネット検索可能な画像の花のリップは閉じていたり、リップ中央弁表面の撮影がなく確認することが出来ません。現在のところ下画像の種は新種であると思われます。

写真1 Den. sp.
写真2 Den. sp.
写真3 Den. sp.
写真4 Den. sp.

現在開花中の花

 開花中の花18点を選んでみました。Den. tentaculatumをaffとしたのは葉形状が一般種が針形に対し、画像の株は葉が短く幅広で線形であるためです。Den. tobaenseはNS11㎝で4輪の内2輪が開花中です。

Bulb. loherianum Philippines
Bulb. gusdorfii Philippines
Bulb. brevibrachiatum Philippines
Bulb. cornu-ovis Sumatra
Bulb. inunctum Philippines
Bulb. auratum Philippines
Den. tobaense Sumatra
Den. intricatum Vietnum
Den. tentaculatum aff. New Guinia
Phal. violacea Blue
Phal. lindenii Philippines Luzon
Bulb. laxiflorum Philippines Mindanao
Phal. lamelligera Borneo
Bulb. jacobsonii Java
Bulb. corolliferum Philippines
Den. papilio Philippines Luzon
Acacalys cyanea Colombia
Oncidium fuscatum Peru

Bulbophyllum williamsii とBulb. sp

 Bulb. williamsiiはフィリピンミンダナオ島Surigao標高1,000m生息の固有種で、当サイトでは2015年末および16年夏に入手しましたが、その後は現地での入荷が無いまま今日に至っています。最初の入荷ロット株は杉皮板に、2回目は炭化コルクに植え付けました。本種は20株ほどしかなく、入荷時は花が未確認であったため、価格表には記載したものの、ラン展等に出品することもなく、そのままで温室を訪問される方に販売してきました。それから3-4年経ち株が大きくなり、植込み材も古くなったため今月植え替えを行いました。それが写真1の画像で写真2は拡大写真です。写真3, 4はその花です。今回本種の国内マーケットを調べてみましたが、バルボフィラムとしては5cmの大きな花でにもかかわらず、本サイト以外の情報がほとんどなく、希少性が高いのでは思われます。

 一方上記の入荷ロットの中に、僅かに写真5, 6の花が開花したことや、2017年にBulb. elassoglossumとして数株入荷した株がこの花に酷似し、2017年3月と2018年12月にこの花を種名不詳種として取り上げました。Bulb. elassoglossumにはサプライヤーから、写真8, 9の花の参考画像も送られてきました。ここで不可解な問題が2点あり、Bulb. williamsiiはミンダナオ島固有種とされる一方、Bulb. elassoglossumはルソン島中央部標高1,400m付近の生息種であり、この不明種がBulb. williamsiiのロットに混ざることは考えにくく、またorchidspecies.comに見られるBulb. elassoglossumとも異なります。送られてきたルソン島Nueva Viscaya地域のコケ林のような中でのin situ(自然界での生息場所)写真が正しいとすると、Bulb. williamsiiの中の不明種は、入手経路の過程で誤って混ざってしまったもので、またBulb. elassoglossumはミスラベルであったと考えるのが妥当ではないかと思います。Bulb. williamsiiと不明種の株を並べた写真が写真7です。写真7の中で左が不明種で、右2株はBulb. williamsiiです。外形上の違いはほとんど無く、不明種はバルブや葉サイズが小型でバルブにやや丸みがある程度です。 ではこの種名不明種は何かが問題です。現時点で未同定種なのか、すでにどこかで発表されているか分かりません。

 さらに困ったことは、Nueva Viscaya標高1,200mはBulb. pardalotumの生息地でもあります。これらの株形状は互いに瓜二つで、花を見なければ区別ができません。すなわちBulb. elassoglossum、不明種、Bulb. pardalotumは生息地、標高がほぼ同じの三つどもえ状態で、そこでこれまで写真8, 9の不明種を特定して発注したことが無いことから、敢えて現在、サプライヤーのin situ写真を添付し、この不明種を発注しているところです。ひょっとすると再三のミスラベルで今度は本物のBulb. elassoglossumが入荷するかもしれません。こうなれば笑い話になりますが、希少原種収集ではこうした混沌とした状況が頻繁で種の同定は購入者側でよろしくと云われているかのようです。

写真1 Bulb. williamsii
写真2 Bulb. williamsii
写真3 Bulb. williamsii
写真4 Bulb. williamsii
写真5 Bulb. sp.
写真6 Bulb. sp.
写真7 Bulb. williamsii and Bulb. sp.
写真8 Bulb. sp.
写真9 Bulb. sp.

Phalaenopsis schilleriana

 現在100株以上のPhal. schillerianaをストックしており、その一部を撮影しました。2019年2月および5月に入手してからの順化栽培も終了し、凡そ4ヶ月後に開花最盛期を迎えることになります。これらは全て野生栽培株で、35-45cmx12cmx3cmの炭化コルク付けで葉サイズにより3,000円からの予定です。炭化コルク、植え付け材および取り付けコストを除けば、株本体の価格としては2,500円相当からとなります。この価格でも実生株と比べれば大きな株となります。実生株と異なるのは、野生栽培株は下写真に見られるように一つひとつの様態(葉形状、葉模様、色合いなど)が異ることが特徴で、これだけの株数があれば花サイズ、色濃度あるいは香りの有無など調べ、タイプ分けも良いかと考えているところです。

写真1 Phal. schilleriana
写真2 Phal. schilleriana
写真3 Phal. schilleriana
写真4 Phal. schilleriana

開花中の花6点

 11月現在、温室にて開花中の6点です。写真1の下部のAerides magnificaはalbaフォームです。写真2のDen. rindjanienseは現在4株が開花中ですが最盛期は2月前後となります。Den. toppiorumは6月からいずれかの株が開花しており絶えることがありません。写真4のPhal. mariaeは赤色斑点の大柄フォームを選んで撮影しました。Den. platycaulonは扁平な疑似バルブが特徴で、同じバルブ形状のDen. lamellatumと同時に開花中です。Vanda merrilliiは一般フォームです。

写真1 Aerides magnifica
写真2 Den. rindjaniense
写真3 Den. toppiorum subsp. taitayorum
写真4 Phal. mariae
写真5 Den. platycaulon
写真6 Vanda merrillii

Plurothallis tarantula

 全身が毛で覆われた黒い大型のクモ、タランチュラの名を持つランが浜松温室にて開花中です。コロンビアおよびエクアドルの標高1,500m – 1,900mの雲霧林に生息するクールタイプで、その花は言われてみれば葉裏に、じっと潜んでいるクモの姿に見えないこともないと云ったところです。しかし何度花を眺めてもランとして、どこがセパルやペタルなのかを見分けることが難しい奇妙な形状で、何故にこのような姿に進化し、また何を目印にポリネータはこの花に飛来するのか不思議です。下写真がその株と花を撮影したものです。これまで3年間ほどスリット入りプラスチック深鉢にクリプトモス単体の栽培で入手時から倍程の茎数に成長しています。下写真2は6枚の葉下で同時開花している画像です。現在、南米のランの販売準備のため植え替えを行っており、本種も間もなく植え替え予定です。

写真1 Plurothallis tarantula
写真2 Plurothallis tarantula
写真3 Plurothallis tarantula

Bulbophyllum gracillimum f. flava

 現在Bulb. gracillimumのflavaフォームが開花中です。このフォームはこれまで扱った200株(1株3バルブ換算)以上の中から出現した1株です。下写真1は今月植え替えをしたBulb. gracillimumの一部で写真2はflavaフォームの花です。写真3は一般フォーム、写真4は写真2の花を拡大したものです。

写真1 Bulb. gracillimum
写真2 Bulb. gracillimum flava form
写真3 Bulb. gracillimum common form
写真4 Bulb. gracillimum flava form