Phal. philippinensisの開花が始まりました。本種は葉がPhal. schillerianaやPhal. stuartianaと同じような大理石模様のため、花の無い株形状だけでは同定が困難です。Phal. stuartianaはレイテ島とミンダナオ島、他はLuzon島の生息であることから、生息地が分かれば、Phal. schillerianaとPhal. philippinensisのいずれかとなります。またPhal. philippinensisは1,200mの高地生息種のため、標高を含めた詳細な地域情報があれば、これらも区別できますが、現地ラン園でも標高までは曖昧で、しばしばPhal. philippinensis名の株の中にはPhal. schilleiranaが混在していることがあります。その逆はこれまで経験がありません。昨年入荷した本種のロットにも夏期に1株Phal. schilllerianaが開花しました。現地ではPhal. schillerianaと同時入荷であったため、取り扱い過程で混入したものと思われます。そうした背景から昨年は開花確認まではと、このロットの販売を中止していました。下写真1, 2が今回開花した花でIsabela地域生息です。
通常本種のセパル・ペタルは全体が白色で、ラテラルセパル基部に赤い斑点が入ります。下写真では白色ベースのセパルペタルの基部に淡いピンク色が乗り、黄色の側弁とも調和して優雅さがあり美景です。下写真の花を見ると、本種をPhilippinensisと国名をつけた理由も分かるような気がします。 往々にしてこうしたピンクが混じる場合、台湾などで作られたPhal. schillerianaとの交雑種ではないかと疑うのですが、リップや側弁形状に、Phal. schillerianaの要素が見られず、純正のPhal. philippinensisであることを確認しました。
写真3はPhal. philippinensisの株それぞれで、全ての株で花茎が伸びており、今月末から来月にかけてが開花最盛期となります。葉のテキスチャーがそれぞれ異なるのは野生栽培株の特徴です。写真4の右端の株の葉は大理石模様が隠れた、本種としては極めて稀な紫檀色のソリッドタイプ、一方、写真3の右端の株の葉は濃緑色のソリッドタイプです。葉色の変化はPhal. sanderianaによく見られますが、花色と関わることがあり開花が待たれます。



