Dendrobium cinnabarinum var. angustitepalum

 2月の歳月記で取り上げた同一株で2回目の開花が始まりました。前回の開花は2cm程の小型の花でしたが、今回は期待通りの3.3cmのサイズに変化しています。株が環境に馴染み安定すればサイズが大きくなるのではと期待していましたが、ほぼその通りになりつつあります。一般タイプのDen. cinnabarinumの花径は5-8cmとされますが、これは左右ペタル間のスパン長で、本種のようにセパル・パタルが下方に垂れているものは一つのラテラルセパル長が花サイズとなります。言わば花の上下の長さです。この結果2.5cm-4cmがこの変種のサイズと言ったところでしょうか。下画像写真1, 2は今回の花、写真3は初花と同サイズの花、写真4は今回の花と初花との比較を示すものです。

写真1 Den. cinnabarinum var. angustitepalum
写真2 Den. cinnabarinum var. angustitepalum
写真3 Den. cinnabarinum var. angustitepalum
写4 Den. cinnabarinum var. angustitepalum

Dendrobium olivaceum green

 昨年4月の歳月記にDen. spとして本種を取り上げました。ボルネオ島生息種でDen. lamrianumDen. piranhaと同じDistichophyllum 節です。本サイトではこれら3種を栽培しており、昨年10月に入荷したDen. lamrianumは今月花芽を付けたところです。Den. piranhaは5株在庫して全て順調に成長しているものの、これまでの4年間今だに開花が見られません。このため、これまでの中温ではなく低温に移し替えたところです。

 一方本種ですが、緑色がこれほど鮮明な花はネット上に見られないことから開花から枯れるまでの間に一般色である薄茶に変化するのではないかと昨年注視していましたが色の変化はありませんでした。albaフォームなのか個体差なのかは分かりません。今月になり再び開花があり、やはり緑と白2色の同じ色合いが再現しました。となると希少なフォームである可能性もあり自家交配を行うことにしました。下画像は現在開花中のDen. olivaceumです。木製バスケットにミズゴケ植えで中温栽培です。

写真1 Den. olivaceum
写真2 Den. olivaceum

Dendrobium xanthophlebium II

 前回ミャンマー・タイ生息の本種を取り上げ、リップの朱色が開花時から徐々に濃く変化することを述べましたが、現在3輪が並んで開花しておりその変化が分かる画像を得ました。それぞれ花の左が開花3日、中央が20日、右が12日目となります。これから本種の花寿命はかなり長いことが分かります。

Den. xanthophlebium

現在開花中のParaphalaenopsis labukensisとDen. violaceoflavens

 写真1は現在開花中のParaphal. labukensisです。通常花色は栗色にオレンジ色の縁取りがあるフォームですが、下写真1はセパルペタルの中心部が栗色で先端に向かってオリーブイエロー色となる余り見たことのないフォームです。このParaphal. labukensisは2mを超える葉長を持ちます。

 一方、写真2は昨年2017年10月に入荷したDen. violaceoflavensです。リップが青いSpatulata節はこの他にDen. nindiiDen. williamsianumが知られています。本種は2ヶ月近く開花寿命があり、展示用に適しています。

写真1 Paraphal. labukensis
写真2 Den. violaceoflavens

現在開花中のDen. sutepense

 ミャンマー、タイの標高1,500mから1,900mに生息のDen. sutepenseが開花に入りました。炭化コルクやバスケットまで様々な大きさの株を植え付けており、それぞれで蕾が付いています。クールタイプとされていますが、本サイトでは中温での栽培です。

写真1 Den. sutepense
写真2 Den. sutepense

Draculaの植え付け

 猿面Draculaの植え替え作業が今月から始まり、ようやく最終段階に入っています。対象となるDraculaは、これまでの70種380株ほどと、これに先月預かったエクアドルの分を含め総数で400株を上回ります。下写真1の株数で約320株程です。今回古い株で2年半ぶりとなる植え替えを行ったのですが、9割以上の株で花茎が出ており、そのほとんどは植え込み材の中に埋もれて伸長していました。Draculaは花茎が鉢の上面に出るものは1割もなく、根と同じ下に向かって伸びて行く特性であることを改めて実感しました。このためこれまではスリット入りプラスチック深鉢で栽培していたため8割以上の株の花芽は植え込み材の中で枯れていたことになります。Draculaにとって通常の素焼き鉢やプラスチック鉢は育成には問題は無いものの花を観賞するためには全く適しません。

 こうしたことから今回の植え替えに当たって、全ての株を側面全体に穴の空いた穴鉢に植え付けようと鉢の選択をしました。しかし8cm以上のプラスチック穴鉢はいずれも野暮ったいデザインで気に入らず、いろいろとネットで穴鉢に代用できる素材を探し出しそれに手を加えた鉢を工夫することにしました。栽培株数が少なければ木製バスケットが最適ですが、400個のバスケットともなるとスペース、コスト共に現実的ではありません。Draculaの花茎は上部・下部・側面とあらゆる方向に延び、立ち性や下垂性もあることから全面が花茎にとっては解放状態でなくてはなりません。 しかし穴が空いていれば良いと言った機能性だけでなく、それなりの見栄えや汚れが経年変化で目立たないことも重要です。

 下写真2は今回用いたDracula用の鉢です。左は市販のメタルリングで鈎手が付いており吊り下げることが出来ます。驚くことにこの8cm内径のメタルリングは100円です。100円ショップで見つけたものです。これに別途裁断したトリカルネットを入れて(写真中央)、ここにミズゴケとクリプトモスミックスで植え付けたDraculaを植え込み(写真右側)ます。Draculaは左からDracula chestertonii、Dracula vampira、Dracula vespertilio です。このメタルリングに植え込む前に、写真1のようにメタルリングと同じ径のプラスチック鉢にそれぞれの株をミズゴケ・クリプトモスミックスで仮植えし、2日程置いて形を円筒形に整えた後に鉢から抜き取り、メタルリングに移し替え(はめ込み)ます。これをクール温室内に吊り下げることになります。400株ほどあるため大変な作業ですが、1年後はDraculaの展示会ができるほどになることを期待しての植え付けです。これらDraculaの販売は6月頃から開始予定です。気温が上がる時期となるため秋までは温室を訪問される方のみの販売となります。

写真1
写真2

エクアドルのラン

 東京ドームラン展での引き受け(預かり)株の植え込みが仮植えから1か月をかけてやっと終了しました。こうした処理の対価は一切頂いてはおらず、時間と植え込みコストを考えれば膨大な負担となる作業をなぜ行うのかと聞かれることがありますが苦笑いしかありません。敢えて言えば、ほとんどが知らないランばかりですが、一気に200-300株の植え込みをしていると属別だけでなく、茎、根また葉の特徴からそれぞれのランの性格が見えてくるもので、これが面白いからと言ったところです。またこれだけの多種多様な品種を購入することなく栽培できる機会は得難いことで、栽培を通して多くのことが学べます。これからはどこまで順化が捗るか2ヶ月程の栽培が重要です。

 5月17日からの池袋サンシャインラン展には本サイトも、Mundifloraも出店するため順化後の株をまた返すことになります。下写真はMundifloraが1/4ほど、3/4はEQUAFLOR-Aの株で合計400株程あり,ます。写真はこれで2/3で、これら以外にかなりのスペースを取る大型の品種が多数あります。僅かなカトレアを除き中温およびクール環境に置いています。

Dendrobium sp Green

 スマトラ島からのDen. spで他株と区別をするためGreenとの色名をつけて入荷した株ですが、緑色は開花時の2日程で徐々に黄緑色となり4-5日で下写真のような鮮やかな黄色に変わります。栽培環境に馴れると多輪花となるためこの黄色がよく目立ちます。昨年12月に本種をDen. compressimentumの可能性ありと記載しました。問題点はorchidspecies.comによるとDen. compressimentumの生息域は1,400 – 1,800mで低温タイプとされていることです。株の姿、特に葉形状から判断して全株を入荷時点の順化期間を含め現在までの4ヶ月間、高温温室(18 – 34℃)にて栽培しており、この環境で新芽の発生や開花が盛んに見られます。スマトラ島やボルネオ島の標高1,500m前後が果たして低温タイプの生息域なのか、あるいはより低地生息域の可能性についても調べる必要がありそうです。