通称名Aerides odorata calayanaとAerides odorata alba2種の新種名

 これまで現地ではAerides odorata calayana typeと呼ばれていたピンクの花色を持つ種と、そのalbaフォームは本歳月記の昨年10月に掲載しましたが、同種がCootes氏とW. Suarez氏らによりAerides magnificaとの種名で2014年に登録されていました。本サイトが入手したのは2015年の、登録された1年後でフィリピン国内のマーケットではかなり早くからAerides odorataあるいはquinquevulneraの変種として流通していました。いずれにしてもCalayanからの入荷は現在難しく入手難の種であることは間違いありません。現在それぞれ10株程を現地に注文中です。またミンダナオ島生息の2016年の新種Aerides migueldavidiiも同様に問い合わせ中です。下画像は本サイトに在庫中の新種名Aerides magnificaです。

現在開花中の多輪花種Dendrobium lasiantheraとBulbophyllum maquilingense

 現在開花中のDen. lasiantheraBulb. maquilingenseはいずれも多輪花で知られていますが、これらの中に異常なほど花数が多い株があり撮影してみました。前者は花茎が3本、後者は蕾を含めざっと数えたところ32輪でした。

Dendrobium aurantiflammeumとPhalaenopsis gigantea Sabahのさく果

 今年4月に交配し、先月さく果の画像を掲載しましたがその後の画像です。どうやら無難に受粉ができ、状態からすると胚のあるタネができる可能性が高まりました。Den. aurantiflammeumは通常の1.5倍程の花サイズをもつ株であり、Phal. giganteaはセパル・ペタルが黄色ベースの株です。特にPhal. giganteaは右写真に見られるように17㎝長と非常な大きさに発達しており、殆んどのタネをフラスコに撒いて実生化を図るとすれば数千の苗が採れると思います。両者共に希少変種であり、国内ではフラスコ苗の販売も視野に入れてはどうかと思案中です。

高温室で開花中の2点Dendrobium igneo_niveumとDendrobium anosmum alba Moluccas

 一つの花茎に10輪以上が開花したDen. igneo_niveumと ニューギニア寄りのモルッカ諸島生息のDen. anosmum albaです。後者は野生栽培株からの高芽か分け株のようで株自体は小型ですが開花株となっています。これまで開花した多くはセミアルバタイプでしたが今回の開花株はアルバフォームでした。

Den. igneo_niveum
Den. anosmum alba Moluccas

低温室で開花中の2点Dendrobium limpidumとDendrobium hasseltii

  パプアニューギニア標高1,500m – 2,100mのDen. limpidumと、マレー半島やスマトラ島標高1,500m – 3,000mのDen. hasseltiiは共にクールタイプのデンドロビウムです。いずれも多くのクールタイプの特徴である花寿命が1か月以上と長く、垂直型の支持材に取り付けています。本サイトでは前者がヘゴ板に、後者はバーク木片および炭化コルク付けです。

Dendrobium tetrachromum

  現在開花中のボルネオ島500m – 1,200m生息のデンドロビウムです。昨年の開花に続き2回目です。標高から栽培は中温あるいは低温とされていますが、入荷した株は30℃を余り越えない程度の場所で新芽を出し、開花もしていることから今回のロット株は比較的低地に生息していたのではと思われます。バスケットにミズゴケ植え付けとなっています。

Den. tetrachromum

Bulbophyllum medusae Cluster

 3年前にマレーシアにてBulb. medusaeのクラスター株を入手し、これをヘリカルネットを円筒形にしヤシガラマットを巻いた支持材に株の要所々をミズゴケで押さえながら取り付けました。入手後半年を経たクラスター株の開花が写真1です。この株が3年後には写真2のように360°隙間なく生い茂りました。このようなクラスターになった場合、問題は株が上方に向かって伸長してゆくため古いバルブは下部に、新しいバルブは上部に集まる傾向があり、また花茎は新しいバルブに発生することから花は主に支持材の上部に開花するようになります。多輪花で花が株一面を覆うような景色にするには、クラスターを適度なバルブ数単位で細断し、それぞれのバックバルブからも新芽を発生させ、支持材全体に新しいバルブが行き渡るようにする必要があります。

 写真3, 4は今回写真2の株を支持材から取外し、1m長の特大ヘゴ板に植え付けを行った写真です。この新しいヘゴ板取り付けの葉付バルブ数は150ほどで写真2の約半数を使用しました。特にBulb. medusaeは葉が固く、強く当たるとポキッと音がして容易に折れてしまいます。また1mの大型ヘゴ板はかなりの重さとなります。このためバルブ数を高密度で取り付けるにはかなり高度なテクニックが必要で、非常に神経を使います。この規模の植え替えとなると1日掛かりの大仕事です。植え付け当初はミズゴケが見えますが、3ヶ月程経つと緑色のコケが着き、落着いた景色になります。さらに2年程でヘゴ板が隠れる程にバルブ数が増えると思います。

 クラスター株(元株は1株ですが、これを細断した分け株の集まりのため、厳密に言えばクラスターではありませんが)を、最近はらん展や温室訪問者への展示用としていろいろと仕上げています。その背景は、原種を専門に販売するブースは、カトレアやシンビジウムなど改良種の華やかな雰囲気とは異なり地味であり、自然の生息様態に可能な限り近づけた姿と、原種の神秘的で迫力ある景色が見せられれば面白いのではとの考えからです。

写真1 Bulb. medusae
写真2 Bulb. medusae
写真3 Bulb. medusae
写真4 Bulb. medusae

Dendrobium dianae

 先月取り上げた本種名の同一ロットから、ツートンカラーのDen. dianaeが開花しました。2016年マレーシアにて趣味家から開花中の3株程を偶然に分けて頂いてから、マレーシア訪問の度毎にマレーシアラン園を通してインドネシアに発注を行ってきました。結果、2度インドネシアから入荷した株は全てDen. hymenophyllum Greenのミスラベルで今回やっと本物を得ることができました。文字通り3度目の正直です。2010年登録のボルネオ島Kalimantan生息の新種で、野生栽培株のツートンカラーは上記のように容易には入手できません。本種はボルネオ島、一方Den. hymenophylumはJava、スマトラ島で間違えようがないのですが、花でも葉でも似ていれば送ってしまえと言ったインドネシアサプライヤーのよくある話です。これまでの手痛い経験から、野生株であっても花を確認しない限り買うことのできない代表的な種の一つです。下写真は同じ花で写真1は開花3日後、写真1は1週間後の撮影です。日にちの経過とともに黄化してゆくのも本種の特徴です。

 2016年12月の歳月記に記載しましたが当時国内では16,000円の販売サイトがありました。現在は本種に関するマーケット情報は見当たりません。最初の入手は趣味家からの分け株であったため3,000円で販売をしました。僅かな株数でもあり、これらはサイトに紹介と同時に売り切れました。しかしその後の問い合わせも多く、2年間発注を続けたことになります。今回の株は野生栽培株からの株分けと思われ、趣味家からではなくインドネシアサプライヤーからマレーシアラン園経由の入手のため500円プラスしての販売予定です。同じDen. dianaeではあるものの緑単色とツートンカラーとの2つのフォームが混ざっているため、それぞれ花を確認しての販売となります。緑単色株も先月の画像に見られるように透明感のある優しいフォームであることから同じ価格での販売となります。

写真1 Den. dianae(開花3日後の撮影)
写真2 Den. dianae(開花1週間後の撮影)

Dracula3点

 大型のドラキュラ3点が開花中です。 今年3月からメタルリングへの植え替えを行いましたが、さっそくリングの隙間から花茎が伸びて花を着けました。ドラキュラは7月から販売予定ですが夏季となるため本格的な売買は秋からと思います。サイズは自然体でのそれぞれドーサル・ラテラルセパルの突起先端間の縦幅でDracula gorgona(写真1)が25cm、Dracula vampira(写真2)が21cm、またDracula gigas(写真3)が16cmとなります。

写真1 Dracula gorgona
写真2 Dracula vampira
写真3 Dracula gigas xanthina

Bulbophyllum incislabrum cluster

 スラウエシ島標高1000m程に生息する本種は2003年登録の新種で今年2月と先月の歳月記にも取り上げました。通常1株は5バルブ程で販売していますが、1昨年入荷した中にクラスター株が1株あり、この株はこれまで杉皮板に取り付けていました。花も5cmとそれなりの大きさで黄色に赤褐色の斑点をもつ見栄えの良いフォームであることから、展示会出品用にと1m長の特大ヘゴ板に移植しました。バルブ数は新芽を含め67バルブで写真2が今回植え付けをした株です。

写真1 Bulb. incislabrum
写真2 Bulb. incislabrum