Phal. lueddemannianaはフィリピン固有種でルソン島北部からMindano島までほぼ全土に分布しておりフィリピンを代表するランの一つです。今回入手した株はMindanao島Surigao生息で、Mindanao島から纏まって本種が入荷するのはこれまでの10年間で初めてです。他地域の花では赤い棒状斑点が白や薄黄色のベース色にストライプ状に並んでいますが、Mindanao島の株はこの棒状斑点が太く、重なり合うことが多く写真2下部のようなソリッドレッドに近いフォーム(写真は今回のロットの花です)が多いことで知られています。またルソン島北部の同種と比較し1.5倍程の葉長を持ちます。
ソリッドレッドフォームかストライプフォームが良いかは好みの問題ですが、Mindanao島からの野生栽培株は本サイトにとって2009年以降2回目となります。前回は数株でしたが今回は20株程です。ルソン島やPulilio島からの入手は容易ですがMindanao島生息株はかなり入手難です。写真1は順化に入る前の仮植え風景です。株は出荷に対してそれまでの支持母体から取り外されますがこの際多くの根が切られ、出荷までの数週間ベアールートに近い状態に置かれます。この結果、水分不足や現地ストックヤードでの高温環境によって葉は写真1のようにしな垂れてしまいます。入荷後に再び張りのある厚みを持った葉へ戻すにはかなりの時間が必要で、その間、根の切断状態にも寄りますが、古い葉は枯れ落葉します。写真2上部は仮植えから4日間で落葉した葉です。2週間程経つと落葉は収まり、細菌性あるいはカビ系の病気の発生がなく順調に栽培が進めば新しい根が現れたり、頂芽が動き始めます。それまでには植え付けから早くて3週間、通常は1か月を要します。
その後、葉に張りが戻り始め新根や頂芽も伸長が続きます。それぞれが1cm以上伸びたところで順化は完了です。出荷はさらに一ヶ月程落着かせてから、すなわち入荷から2 – 3ヶ月後が好ましいのですが。このように胡蝶蘭原種の順化期間は、デンドロビウムやバルボフィラム、Aerides等とは異なり長い時間を要します。また順化期間は入荷時の株の状態に大きく依存します。根のほとんどが無傷であるポットなどでそれまで栽培されていた、いわゆるEstablished plantと現地で言われる株であれば順化期間は不要あるいは精々1 – 2週間で良いのに対し、根が大きく切断された株では上記のような期間が必要となる訳です。
順化は不要なのですぐに購入したいと言われる趣味家も少なくはありません。順化栽培の経験が十分ある方には問題はありませんが、前記したように株の状態によっては歩留まりがかなり低下する場合があり、そこは慎重に検討されることが好ましいと思います。しかしあまり悠長なことを言っていてはいつか誰かが買ってしまい無くなっているかもしれないという心配もあります。本サイトではそのため予約済みのラベルを順化中の株に付けますのでそうした問題はありません。注文はメールでの予約を含めて早い人優先です。

