ミンダナオ島SurigaoからのDendrochilum sp

 昨年7月に紹介したDendrochilum sp redが開花を始めています。現在5株程で花芽を付けていますが、その内1株がほぼ開花し、2株目が開花間近です。園主からの画像は赤味の強い花色でしたが、今回の初花の花色(画像左)はオレンジレッド色で、間もなく開花する花(画像右)はクリムゾン色のようです。花色はどうやらCoel. longirachisのように環境や状態で赤味が変わる性質があるのかも知れません。

Dendrochilum sp Surigao red
Dendrochilum sp Surigao red

2018年発表の新種Dendrobium annemarieae

 昨年OrchideenJournalで発表されたミンダナオ島Bukidnon生息種のDen. annemariaeが開花しました。同地区に生息するDen. deleoniiとは個体差の範囲と思われるほど類似しています。Den. deleoniiが標高1,300mに対し1,500mとされます。OrchideenJournal Vol.6.5 2018に両者の相違が書かれていますが、主な点を画像として取り上げてみました。画像は全て4月2日の浜松温室にての撮影です。

 多くの趣味家は2種の下画像を見ても一体何が違うの?と思われるかも知れません。OrchideenJournalには、中段写真でリップ中央弁がDen. annemariaeは途中から下に垂れているのに対し、Den. deleoniiの中央弁はほぼ真っ直ぐ前方に伸びていること、下段では中央弁を裏から見た形状がDen. annemariaeはSpur先端に向かって幅広(筒状)であることに対し、Den. deleoniiは中央から急に細くなっていることなどが解説されています。ではDen. sanderae var. major.はどうなのかこちらとも比較したいのですが開花期が異なるため撮影は開花待ちです。

 しかしこの程度の違いで別種として分類すべきか甚だ疑問で、個体差あるいは地域差、すなわち亜種、変種あるいはフォームの関係程度ではないかと考えてしまいます。微妙な形状違いで別種とするのであれば胡蝶蘭原種の遺伝子分析法のような、より科学的な視点からの分類を期待したいところです。

Den. annemariae
Den. deleonii

Dendrobium rindjaniense III 花柄(カヘイ)あたりこれまでの最大輪花数

 現在Den. rindjanienseの開花最盛期であることは前回記載しましたが、一つの花柄あたり23輪が開花しました。通常は8-12輪程度です。中温室栽培で3月末現在、温室内の気温は晴天の昼間で28 – 30 ℃ (曇日22℃)、夜間は15℃です。ちなみに胡蝶蘭が多い高温室では昼間32℃、夜間18℃で、また低温室では昼間23℃、夜間13℃です。すでに晴天日は夏季の温度コントロール下における環境と2℃程しか変わらない環境です。

Den. rindjaniense (23 flowers on one peduncle)

現在開花中の胡蝶蘭原種

 現在浜松温室では胡蝶蘭phalaenopsis節の5種が開花中です。撮影はPhal. schillerianaの25日を除いて30日となります。Phal. sanderianaは現在花芽が伸長している段階で、これらに1ヵ月遅れての開花となります。

Phal. amabilis Java
Phal. aphrodite
Phal. philippinensis
Phal. schilleriana
Phal. stuartiana
Phal. lueddemanniana Mindanao

Bulbophyllum obovatifolium

 こちらもCameron Highlandsにて2017年にBulb. spとして入手したバルボフィラムで、中温室栽培ではこれまで開花が見られませんでした。バルブの先端が伸びて空中に張り出していることから植え替えのため高温室に移動し待機中でしたが、1か月程経ったところで花芽が現れ開花しました。その結果、Bulb. obovatifoliumであることが分かりました。似た名前のovalifoliumではありません。下画像の種がBulb. obovatifoliumで正しいかどうかは昨年10月の歳月記で取り上げました。とりあえず同種と思われる花画像がネットで見られることからこの名前で取り扱うことにしました。ニューギニア生息の高温タイプです。これらの状況からこれまでの中温から高温室での栽培となりました。国内では本サイト以外マーケット情報が見当たりません。

Bulb. obovatifolium
Bulb. obovatifolium

Dendrobium rindjaniense II

 Den. rindjanienseの開花期はorchidspecies.comによれば秋とされていますが、これまで50株を超える本種を栽培した経験からは夏季を除いてほぼ通年で開花が見られます。3月現在の浜松ではDen. rindjanienseの開花最盛期を迎えています。本サイトでは本種を木製バスケット、炭化コルク、ブロックバークおよびミズゴケクリプトモスとスリット入りプラスチック鉢の4種類の支持材や植え込み材で栽培をし、その成長結果を調べていますが、成績が良いのはプロックバーク、炭化コルク、バスケット、ポット植えの順となっています。

 比較的大きな株はブロックパークに植え付けており、今月に入り花柄が11本もある株が現れました。一つの花柄当たり10輪程が開花することから1株で100輪以上となります。それが下写真1で撮影時は5分咲きですが蕾を入れて100輪以上となります。本株は昨年8月末に入手したもので、植え付けからおよぞ半年が経ちます。写真3はブロックバークで、ブロックの下部に伸長した根が活着している様子が見られます。肥料は全く与えていません。根が張る速度は炭化コルクにくらべてプロックバークが最も早いことが観測されました。こうした結果から、現在ミズゴケ・クリプトモスミックスの10株程を、近々発酵バーク・ゼオライトミックスでスリット入りプラスチックポットに植え替えて様態を観測することにしました。栽培温度は中温です。

写真1 Den. rindjaniense
写真2 Den. rindjaniense
写真3 Den. rindjaniense

Cymbidium lancifolium Sumatra

 東京ドームラン展に間に合わせるためマレーシアラン園の2代目に成田まで持ってきてもらったSumatra島生息とされるシンビジュームが開花を始めました。20株ほどの半数が一斉に低温室にて蕾をつけています。2月の本ページに紹介しましたが園主からの画像が要所を得ておらず今一つ花がよく分からなかったのですが、やっとWhiteフォームとされる花をみることができました。下写真が開花した花です。確かにorchidspecies.comの本種の花画像と比較すると白く美しく感じますが。本種はヒマラヤからニューギニアまで生息分布が広範囲で画像検索すると多様な色合いが見られます。Sumatra島固有の地域差のような特徴があるのかどうか、こちらもこれから検証です。現在ミズゴケクリプトモスミックスとスリット入りプラスチック深鉢ですが開花が終わったら発酵バーク・ゼオライトミックスに替える予定です。植え込み材の耐年性と、クール室では高温室と比べて植え込み材の蒸散速度が遅く、シンビジュームのような太い根への過かん水を避けるためです。

Cymbidium lancifolium Sumatra
Cymbidium lancifolium Sumatra

パプアニューギニアからのBulbophyllum sp

 2017年7月にCameron Highlandsで黒いバルブのパプアニューギニア生息とされるBulbophyllum spを入手しました。種名が不詳であり、Cameron Highlandsでそれまで栽培されていたことからおそらく中 – 低温タイプであろうと当初は低温エリアで栽培していたのですが、1年半程経過しても開花の様子はなく、しかし新芽は出て成長していることから中温室に移動することにしました。本日(27日)水撒きをしていたところ下写真左の小さな赤い花を見つけました。このサイズではそれまで見過ごしていたかも知れません。種名はこれから調べる予定です。株は写真右のように温室内で自然発生したコケに覆われていますが入手してから倍程の大きさになっているため2つに株分けし一つを販売する予定です。

Dendrobium mooreanum

 本種の生息地は、聞きなれない名前の地Vanuatu(バヌアツ)で、ニューギニアとニュージーランドの間を2分する位置、オーストラリアの東に点在する83の島々からなる共和国です。小さな島々からなるとは言え、3,000m級の山もあり、その半分が火山島で、年間平均気温は25℃- 29℃の熱帯雨林気候です。そうした地域から20㎝程の小株をどうやってマレーシアまで運んだかは分かりませんが、本種を入手したのは4年前です。2年程は素焼き鉢にミズゴケで開花も見られましたが、新芽が現れず3年目からじり貧状態となり、葉の無い僅かなバルブだけとなりました。そこでダメもとと炭化コルクに植え替え栽培を続けていたところ新芽が現れるようになり、今月に入り開花も始まりました。どうやら本種はコルクやヘゴ板のような支持材への取り付けが適しているようで、今回改めて余裕のあるサイズの炭化コルクに植え替えしました。またこの機会にと本種のマーケット情報をネット検索しましたが、当サイト以外見つかりません。確かに日本からはかなり離れたバヌアツ島からの本種の運送を考えれば無理もないかと。

 下写真は今月撮影したDen. mooreanumで、右はじり貧状態から九死に一生を得て、今回新たに植え付けた株です。栽培法が分かったので一安心です。

Den. mooreanum
Den. mooreanum