6月は害虫被害が目立ち始める月

 下写真1はDen. officinaleのナメクジ被害です。写真2とは別株ですが、本来ならば写真2のように多数の葉が伸長していた筈でしたが株の一つが2日間程で葉のほとんどを食べられ無くなってしまいました。ベンチ上には多くの他の属種があるにも拘わらず、ナメクジは他には目もくれず高貴薬となる鉄皮石斛Dendrobium officinale Kimura & Migoを集中的に食害するとは何事かと。まさか健胃薬となる本種をナメクジが食べることで一層ナメクジの胃が丈夫になり食欲旺盛になられては大変と、ナメクジ駆除にこの右に出る薬剤はないと思われるマイキラーをさっそく散布したところです。

写真1 Dendrobium officinale Kimura & Migo ナメクジ被害
写真2 Dendrobium officinale Kimura & Migo

 下写真4はParaphal. labukensisの葉内で孵化したオオランヒメゾウムシと思われる幼虫です。この被害については昨年8月の歳月記に”オオランヒメゾウムシによる被害と対策”として取り上げました。困ったことにこの害虫の被害はいつも後手にまわり、成虫あるいは齧られた痕を見つけての殺虫剤散布となっています。葉の一部が齧られるのであればまだしも、茎や写真のような円筒状の葉に卵を産み付け、やがてその幼虫によって芯部が食べられれば羽化する頃には、それまで食い尽くされた部位は腐り黒変しその先はやがて枯れ落ちます。 おそらく10年以上かけて伸長したであろう1.5m以上あったParaphal. labukensisが写真3のように20㎝ほどになってしまった被害は深刻です。

 ところで、この害虫に対しては昨年8月にオルトランとテルスター混合液が効果的ではないかと記載しました。その後、オルトランの250倍希釈をしばしば使用してきましたが、成虫に規定希釈のオルトランを散布した後、小さなビニールパックに入れ状態を見ていたところ1日経過しても死なず、はたしてアセフェート成分は接触では死なず、葉を食べる(吸汁)ことで効果が得られのかと。そこでもう一つのピレスロイド成分(速効的ノックダウン効果をもつ)を含むアディオン乳剤で同じように成虫に触れさせテストをしてみたところこちらの成分では10分程で死にました。この結果を得て、アディオン剤を定期的に散布する計画です。

写真3 Paraphal. labukensis のオオランヒメゾウムシ被害
写真4 Paraphal. labukensis のオオランヒメゾウムシ被害
写真5 Paraphal. labukensis のオオランヒメゾウムシ被害

Bulbophyllum 4点

 ラン展が終了したものの、現在は、その直前にフィリピンおよびマレーシアから入荷した400株相当の植え付けが始まっており、それまでの仮植えからポットや炭化コルクに取り付ける作業で、いつものことですが身動きがとれない状況が続いています。そうした中で、いくつかのバルボフィラムが開花しており、4種取り上げてみました。写真1はマレーシア生息のBulb. lobbiiです。通常開花サイズはorchidspecies.comによれば7.5㎝から10㎝とされていますが、ドーサルセパルが8㎝と大きく、その先端からラテラルセパルの下端までの長さは11㎝となり、このサイズの花はgiantタイプと呼ばれています。同じ種であっても一般サイズに比べ比較的大きな花の咲く株は多数見られますが、花の大きさは環境状態に依存する傾向が強く、大きな花を得るには十分な成長とその種に合った栽培が必要です。

 写真2はフィリピン固有種のBulb. basisetumです。ラテラルセパルの色が黒褐色5.5-6Gに近くこれまでの開花株の中では最も濃い色となっています。一方、写真3はグリーンセパルとして販売しているBulb. spの花です。葉の表面が濃緑色で裏面はやや赤味があることが特徴で2016年10月にマレーシアから入手したものです。問題は本サイトから入手された方々からの報告では花色が緑色ではなく、淡いピンク色であったり白色であったりと色が一様ではなく、本サイトにおいてもサプライヤーからの写真の緑色と同じような色が出たのは浜松に入荷後の1回(2017年2月)のみで、下写真のように緑味は見られるものの薄く、緑とは言い難い色合いです。では該当する種はあるのかと画像検索しているのですが今のところ見つかりません。環境による変化があるのか中温室に1年近く置いて様子を見ているところです。一方、写真4は1.5㎝程の小さなCirrhopetalum節の花です。ドーサルセパルおよびペタルが濃紫色で、ラテラルセパルが朱色、またバルブの赤褐色が特徴でフィリピンからの入荷株です。種名はこれから調査する予定です。

写真1 Bulb. lobbii
写真2 Bulb. basisetum
写真3 Bulb.sp
写真4 Bulb.sp

蘭友会サンシャインラン展

 23日から4日間サンシャインシティにてラン展が開かれました。多くの方々にご来店頂き有難うございました。今年のラン展会場には観葉植物の出品が増えたこともあってか来場者の年齢層が例年に比べ若い印象でした。本サイトは原種ランを専門としているため近年発表された新種や一般的には入手困難な大株を中心に出品しました。このためか常連さんが多く、こうしたラン展では最近の話題や栽培等について語り合う良い機会にもなっており楽しく過ごすことが出来ました。例年通り、近々海外に出かけることになると思いますが面白そうなランをはじめラン以外の植物も、それが若い人たちのランを始めるキッカケになればと本腰を入れて集める計画を立てているところです。

蘭友会サンシャインラン展

  明日23日から日曜日26日までサンシャインシティにてラン展が開かれます。22日は据え付け日で本サイトでは少量多品種とし、今回はダンボール20箱ほど、凡そ150種300株を出品します。デンドロビウムやバルボフィラムは2010年以降に登録された新種が多くを占めますが、今回初めて扱う種もそれぞれ3-4点含まれます。また胡蝶蘭原種は1株のサイズが大きな株を選んで出品します。マレーシア、タイ、南米等からの業者も参加するこの機会にぜひご来場ください。

梱包中の3点

 右はDen. pendulum、中央はDen. albayense Palawan、左はBulb. sp Irian Jayaです。Den. pendulumは2月の東京ドームに1本出品したところ即日で売れたため、今回は2株を出品です。Den. rindjanienseに似たデコボコの疑似バルブが面白いのではないかと思います。Den. albayenseは国内マーケット情報が無く、またPalawan生息株とのことで珍しいための出品です。左の3株はBulb. sp mini redの仮名で入荷したもので、Irian Jayaです。おそらく新種ではないかと思います。花画像はラン展会場にて。バルボフィラムは昨日およそ60種をラン展向けに梱包したところです。本日(20日)はデンドロビウムとなります。

Dendrobium sp

 下画像から想像できる属はタイに生息していそうなバルボフィラムですが、デンドロビウムとラン園主が言うので、本当かと再確認したら小さな白い花が無数に咲いた画像を送ってきてくれました。Irian Jaya生息とのことです。ラン展に5株ほどDendrobium spとして出品します。花画像は現場にて公開予定です。

Bulbophyllum tollenoniferum

 パプアニューギニアからのバルボフィラムです。orchidspecies.comによれば花は5㎝以上と大きく、これが葉元ごとに1輪づつ複数が同時開花するようでネット画像からは華やかさが感じられます。新しい種ではないのですがなぜか国内のマーケット情報が余りありません。下画像は20株入荷した内の3株で本日(20日)の撮影です。炭化コルクは50㎝長であり、一株の葉数が3-4枚であることから分かるようにリゾーム間隔は長く、伸びしろをかなり長く取っての植え付けとしました。こちらもラン展に出品予定です。

Bulb. tollenoniferum

Dendrobium officinale Kimura & Migo

 数年間注文をし続けていたものの毎年数株しか入手できなかった、中国の代表的な漢方薬(薬草)として知られたデンドロビウム鉄皮石斛です。クランプ形状と現地で言う、一株が20茎程からなるクラスター株が今回30株入荷しました。サンシャインラン展に3株程持って行きますが価格は初日まで未定です。写真はその一つでこれでBSサイズで且つ一株です。数株が開花中でした。入手された方は株分けしてもよく、また木製バスケットやヘゴ板に取り付ければさらに大株になると思います。下の花画像は18日浜松での撮影です。

Den. officinale Kimura & Migo
Den. officinale Kimura & Migo

Bulbophyllum sp

 Bulb. longicaudatumiに似た形状の黄色のバルボフィラムを今月の本ページに掲載しました。1昨年から販売をしているBulb. nasica yellowとは株形状が異なることから取り敢えずBulb. longicaudatum yellowとしたのですが、その植え付けが終わりました。しかしよく見るとバルブや葉形状はBulb. longicaudatumiとも異なるようです。Irian Jaya生息とのことで詳細は開花してからとなります。ラン展に出品しますが、入荷した株を3-4株に細かく裁断して販売するのは本サイトのポリシーではないので販売数には限りがあり興味のある方はラン展にて入手ください。