下左写真は2015年東京ドームラン展に出店した時の当サイトのブース内に展示したPhal. stuartianaクラスター株です。これで1株です。また右は2016年同じくドームラン展にてブース内に展示したPhal. schillerianaクラスター株です。いずれも今日これだけの原種大株を入手することは難しく、現在フィリピン現地において再び探してもらっているところです。これらの株は残念ながらその後、半年程で作落ちがひどくなり、子株に株分けをせざるを得なくなり現在はありません。その原因はドーム出品の梱包から展示までの凡そ2週間余りの期間、胡蝶蘭原種にとって過酷な環境に置かれたことによるものでした。これだけの輪花数を同時開花している株にとっては相当の負荷がかかっていたところに、さらにドーム内でのメタルラックに触ると静電気でビシッと音がするほどの乾燥状態と共に夜間の低温に10日程晒されたことで回復不能となった訳です。特に2015年は本サイトにとっては出店初回で、場内がこれほどの乾燥と低温になるとは思っておらず初日から2日程はそのままで、3日目から散水を行うものの展示終了後の夜なってからの僅かな散水のみでした。これを教訓に2016年はやや小ぶりのPhal. schillerianaクラスターに替え、毎晩散水はしたもののこちらも半年ほどで株は弱まってしまいました。
こうした経験から、2017年のドームは出店を中止し、サンシャインラン展に切り替えました。こちらは開催期間が5日間と比較的短期間であることと、散水は朝と、来場者が少なくなったところを見計らっての昼間、また夜はたっぷりの散水を行うことで、戻り株を見ても出品した株での作落ちは見られなくなりました。今年のドームラン展は環境は従来と同じでしたが、そうした経験から毎日3回の散水を行いました。しかし毎日の胡蝶蘭原種の微妙な変化を見ていると、ドームの環境では据え付け日を含め5日が限度で今年は2月14日の搬送から18日の月曜日までとし月曜日の夜に胡蝶蘭原種だけを浜松温室に引き上げることにしました。今回の胡蝶蘭は特に希少な特大サイズの野生栽培株が数多く、危険と感じた訳です。そのため火曜日以降来られた方は当ブースにて胡蝶蘭だけは入手することが出来なくなってしまいました。当サイトにとってラン展は、販売は勿論ですが、実際栽培をしている状態そのもの(植付け方法、植え込み材、株の状態)を直に見てもらうことも大きな目的であり、海外ラン園に見られるように長期間保管販売するために透明紙で包んだり、ビニールパックに入れたりすることはしません。海外から国内への搬送と、ドームの環境下における販売、さらに輸出入検疫に対応するにはこうした出品方法が不可欠とは思いますが、当サイトは来場者が栽培の実体が見られることも重視しています。この結果、栽培場所からそのままを持ち出した形態であるが故に、購入された方にとっては持ち帰って自身の温室にそのまま据え付け、栽培を始めることが出来る反面、想定外の外部環境には影響されやすくなります。購入者の栽培環境と合わないような場合も当然想定されますが、胡蝶蘭原種対応のそれなりの温度、湿度、輝度、通風があり、ラン展会場のような環境でもない限り、春と秋の植え替え適期に栽培者の環境により合った植え替えを勧めています。
4年ほど前に本サイトでも取り上げましたが、上記のようなラン展出品の経験から、特に胡蝶蘭原種については初日から3日以内に入手するようにと勧めています。温度や湿度管理が十分で、かなりの栽培経験のある方は順化技術もあり問題ないと思いますが、4日以上遅れての購入は避けた方がよいかと思います。まして初心者にとっては最終日の購入はお金を捨てるようなものです。もっとも好ましいのはプレオーダーをし、初日あるいは2日目に受け取る方法です。プレオーダーは当サイトではラン展出荷日前日に梱包するため当温室からもっとも短期間で入手ができ、宅配便と変わりません。
よくラン愛好会の方と話をする機会があり、ラン展に出品展示されている見事に開花している株は、ドームラン展のような長期間の環境に置いてその後大丈夫なのかどうか伺うことがあります。十中八九作落ちが起こるとのことです。このため出品は覚悟をしなければならないそうです。同じような勢いで次の年も開花したケースはこれまで見たことが無いそうです。
話は戻りますが、もし下写真左のような開花株が再び得られれば、多くの方は開花している実物を展示会で見たいのではと思います。高温多湿の特別室でも用意して頂き、これまでに無い特大サイズのPhal. mariaeやlueddemanniaeなども含め、写真のような花に微風をあてて一斉に、胡蝶蘭由来の蝶が舞うが如く花が揺れる様子を演出できたら面白そうです。ワイヤーで弓なりに成形され微動だにしない慶弔用胡蝶蘭とは違った、そうした自然を映した光景から、これこそが野生ランの凄さと感じてもらう意味で、再び出品しようかとも思うのですが。

