Den. hymenophyllumはインドネシアJavaおよびスマトラ島生息種で、セパル・ペタルが緑と赤色の2つのフォームが知られています。緑フォームにはさらに茶褐色の小斑点が入るタイプと斑点が全く入らないflavaタイプがある一方、赤フォームはダークマゼンタからレッドブラウン(あずき色)まで様々です。赤色フォームがより入手難です。昨年秋にDen. hymenophyllum redの注文を行いましたが、Den. jiewhoei (syn. Den. calcariferum) が誤ってロット単位で入荷してしまいました。なぜそれぞれがスマトラ島とボルネオ島の生息種、さらに前者は高温タイプ、後者は低-中温タイプであるのにミスラベルが起こるのか、希少性や現地取引価格から言えば2008年登録の新種でボルネオ島生息のDen. jiewhoeiの方がかなり高価であることから故意ではなく、おそらく株がよく似ているため2次業者のストックヤードでの取り扱いミスであろうと思われます。
Den. hymenophyllumの色フォームを株から判断する一つの手段として葉裏の色があります。この色と花色がよく一致するためですが前記したように、それは株がDen. hymenophyllumであることが前提で、蕾の無い葉と茎だけの株では、特にCalifera節と前記したようなミスが発生します。また蕾があればその色合でセパル・ペタルの色だけでなく斑点の濃度まで予測できます。下写真は現在開花中の株を撮影したもので写真1, 3は花、写真2, 4, 5はその蕾です。写真1, 2は一般的なグリーンに茶褐色の斑点が入るタイプ、写真3, 4は斑点の無いFlavaタイプです。蕾のドーサルセパル相当位置やSpur(後方に伸びた突起部)の色合いに違いがでます。
さて問題は写真5の蕾です。Den. hymenophyllum greenのロットの中から出ました。蕾のセパル・ペタルに当たる位置の色は赤色というよりはむしろ黒色に近く、しかしSpurは緑色です。蕾が赤褐色は一般的には赤フォームとなるのですが殆んどの場合、Spurも赤味が全体あるいは一部に現れます。もし開花まで写真の色合いが変わらないとすると、これまでの経験からはセパル・ペタルがほぼ黒に近い緑色の花が開花することになります。このようなフォームはネット上には見られません。果たして稀なフォームなのか、数日後の開花までに色褪せて、レッドブラウン色のいわゆる一般フォームに落ち着くか、しかし赤色フォームにしてはSpurの緑が鮮明過ぎます。




