フィリピン生息の本種はセパル・ペタルの斑点がヒエログリフ文字に似ていることから付けらた名前です。本種にはPhal. lueddemannianaと同様にルソン島からミンダナオ島までフィリピン全土に広く分布しており、またそれらの生息域も似ていることからそれぞれがもつフォームの一部が互いに混在する中間体と思われる種が多く存在します。詳細は本サイトのphal. lueddemannianaのページで多数のサンプル画像が見られます。
そうした中、12月ルソン島からの入荷株の中から典型的なPhal. hieroglyphicaの特徴をもつ株が開花しました。通常はセパル・ペタルのベース色はクリーム色か薄黄色が多いのですが、開花した花は白色をベースとする上品なフォーム(写真1)で、ヒエログリフィックな斑点を始め、リップ先端の剣菱形状(写真2)と、ラテラルセパル先端(写真3)が細く尖ったPhal. hieroglyphicaの典型的な形状となっています。E. A. Chiristenson氏はその特徴を、それらの形状以外にPhal. hieroglyphicaはPhal. lueddemannianaに比べ同時開花数が多いことも挙げており、またJ. Cootes氏は生息場所は低輝度と延べています。
本種の市場に見られるのほとんどの販売形態は素焼き鉢にミズゴケ植えです。こうした株の多くは実生と思われます。野生栽培株は昨年の歳月記12月の’胡蝶蘭原種大株’の標題ページに画像を掲載したように成長した株は下垂形状となりポット植えは適しません。苗の段階からポットに植付け、茎を上向きで葉を左右に展開する栽培法ではPhal. lueddemanniana同様に株は野生栽培株に見られるような大きさにはならずほぼ一定で、花茎は葉の下で水平に伸長することから花向きが定まらず雑に咲いている景色となり、長く垂れた葉の間から花茎が現れ、葉を背景に花が顔を出しているような優雅さは得られません。


