Phalaenopsis mariaeについて

 写真1, 2はフィリピン生息種のPhal. mariaeです。写真1の左3株は7月フィリピン訪問にて入手した大株で、右の一般サイズに比べて3倍近い葉長を持ち最も長い葉で40cmです。これまでの15年間、本種を千株以上現地で見てきましたが、これほどの大株は初めてです。50輪以上の開花を期待しています。

 再度Phal. mariaeを取り上げたのは、現在マーケットでの本種とされる画像が、Phal. bastianiiあるいはその交雑種である誤りが多いためです。E.A. Christenson著書Phalaenopsis a Monographでこれらについて3つの違いを述べています。Phal. bastianiiはセパル・ペタルはフラット、花茎は立ち性、リップ中央弁の繊毛は疎であるのに対し、Phal. mariaeはセパル・ペタルの縁が後方に反ること、花茎は下垂性、リップ繊毛は密であるとしています。

 ネットの画像を見ますと花茎が上に向かっている株が多く見られます。これらはPhal. bastianiiあるいはPhal. bastianiiPhal. mariae等との交雑種です。 本サイトではPhal. mariaePhal. bastianiiの違いを画像を用いてそれぞれ取り上げ、前記3点に加えセパル・ペタルの蝋質性と、リップ中央弁の竜骨突起の違いを指摘しています。また十分に成長した株では輪花数が全く異なりPhal. mariaeは多輪花で花茎当たり10輪以上が普通です。またPhal. mariaePhal. bastianiiと異なり植付けは下写真に示すような下垂が基本です。ポットの立ち植えでは、やがて頂芽が細菌性腐敗病(Bacterial crown rot)に十中八九罹ることになります。

 なぜこれほどミスラベルが多いかは、Phal. mariaePhal. bastianiiの人工交配が行われ、この交雑種が片親の名前、すなわちPhal. mariaeとしてマーケットに出され、これらがそのまま信じられているのではないかと、その狙いは花フォームは蝋質で光沢のあるPhal. bastianiiの花に似せる一方で、Phal. mariaeのような輪花数の多い品種の生産販売を目論んでいるためと推測しています。その品種は未だ実現出来ていないようですが。

写真1 Phal. mariae
写真2 Phal. mariae