似て非なるBulbophyllum sp Palawanとミスタグ混在種

 Bulbophyllum Cirrhopetalum節には、フィリピンではBulb. cummingii、マレーシアではBulb. lepidum(Ephippium節ともされる) complexが、同節の代表種として現地マーケットで頻繁に見られ、価格も廉価で入手も容易です。一方で、これらCirrhopetalum節は個体差や変種と思われる多様なフォームがあり、同種なのか他種なのかの同定が視覚的には極めて困難で、それ故に一般種なのか希少種なのかの判断も困難で、販売する上で悩ましい種でもあります。

 当サイトでは3年ほど前からCirrhopetalum節については、主にフィリピンPalawan諸島やミンダナオ島周辺の生息種を中心に集めてきましたが、それら地域から入荷する種のほとんどが現地では種名不詳(sp)種として扱われ、持ち帰った後の栽培を通して得た開花株から種を同定してきました。このため花を確認するまでの期間は通常販売することが出来ず、こうしたsp種は、何が咲いても良いとするバルボフィラムコレクターに限って販売しています。sp種にはこれまで一般種が8割、地域的個体差が見られる種が1割、残り1割が新種(種名不詳)あるいは変種の可能性がある種となっています。しかしこうした割合は流通の稀なPalawan諸島やミンダナオ島ならではであって、ルソン島生息種には、sp名の中に新種や変種が含まれる可能性は1%も無いと思います。その1割の中の未登録と思われる種の中に、さらに似て非なるフォームをもつ極めて稀な種に出会うことがあります。下写真はBulbophyllum spとして入荷した3種で、いずれも一見、花は似ているものの、詳細にセパル、ペタル、リップのフォームを拡大してみると相互に異なる特徴が見られます。

 写真1は2016年、写真2は2017年末にBulb. sp としてPalawanから、また写真3はBulb. dolichoblepharonに混在(すなわちミスラベル)していた種でミンダナオ島スリガオからとされます。下段写真の花とリップ周辺の画像からは、写真1と写真2は同種で写真2は写真1のalbaあるいはflavaタイプと思われます。しかし写真2の種がalbaとすると、凡そ20株全てがalbaフォームとして入荷するとは考えにくく、一つのクラスター株を株分けしたと考えるのが妥当を思われます。一方、写真3は画像からは他とは異種との判断ができますが、実体を見る限りは、同種の変種のような印象を受ける程、視覚的な形状は似ています。問題は、これら3種は現時点でそれぞれ未登録の可能性があり、花を得ても種名が分からないことです。こうした様態がバルボフィラムにはしばしば見られます。

写真1 Bulb. sp Palawan, 2016
写真2 Bulb. sp Palawan, 2017
写真3 Bulb. sp Surigao Mindanao