新しい植え付け方法によるAerides leeanaのその後

 Aerides leeanaは同属の中では極めて入手難な種の一つで、確か2016年の東京ドームラン展にPurificacion Orchidが花付株を10株ほど出品し完売していました。これまで3年近く現地ラン園に発注していましたがようやく今年2月に50株ほど纏まって入荷し、3月に植え付けを完了しました。トレーに入れた多数の花の付いた植え付け前の株を2月の歳月記に掲載し、また4月歳月記では題目「従来の習慣とは異なる植付け」にて、炭化コルクへの植え付けを取り上げました。植付けから5か月が経過し現在の株の状態が下の写真です。

 本サイトでのAeridesは、通常行われるベアールート吊るし、あるいはバルボフィラムやデンドロビウムのように根をコルクに乗せその上からミズゴケで覆う取付ではなく、炭化コルク上に薄く一様にミズゴケを敷き、その上に根を置いて1mm径のアルミ線で縛っているだけです。下写真1からは全ての株で若い芽(明るい緑色)が勢いよく伸長していることが分かります。一部を拡大した画像が写真2と写真3です。写真2はAerides leeana、写真3は大きなAerides odorata albaです。また写真4はAerides leeanaの下部を撮影したもので、多数の太い根が空中に伸びていますす。

 これまでAeridesやVandaなどの属種の植え付けは、根が通風のある気相を必要とする種と、乾湿のサイクル(濡れた状態と乾燥状態が繰り返される)を嫌う種があり、前者は小さなプラスチックバスケットに株を固定しべアールートで空中に吊したり、後者は乾燥を避けるため大粒のバークを用いてポットに植える方法が一般的です。しかし前者は国内の環境では湿度不足気味となり株が徐々に痩せていくリスクが、一方後者は限られたポット内では空気の流れが無く、かん水量や植え込み材の粒度によっては根腐れや、根の伸長が阻害され、株の成長に勢いがないとか花付が悪いなど、また販売する立場からは、株の形状とポットのサイズに依るものの他の属種と共に梱包するには取扱い難いことなどの問題があります。現地では湿度が高くAerides leeanaを含めAerides属はほぼ全種がベアールート栽培で、ポット植えは見られません。そこで、こうした問題を軽減するためコルク付けにすることで一部の根の表皮をミズゴケ上に置き、植え付け時は根の表皮の5割程がミズゴケに接触しているものの全ての根の表皮の一部あるいは全面は動きのある空気に触れさせ大きな気相を確保します。またコルク等の板付けは水を幾らかけても一定量しか留まらず過水の心配がありません。この結果、栽培上の利点としては他の植物と同居する場合、種毎のかん水量に気を使う必要がなくなり、全て同量の散水が期待できます。さらに炭化コルクはヘゴ板の1/10のコストであり梱包や発送にも軽量で有利です。

 いずれにしても、そうした植え付け栽培が良い結果をもたらすかどうかが全てであり、結論を得るには少なくとも1年間の成長と開花のサイクルを確認する必要があります。これまでの5か月間は従来の植え付けに比べ下写真に見られるように順調に成長しています。入荷時に見られた葉の乾燥による皺は完全に無くなりました。ちなみに写真に見られる株の配列は、僅かに高さをずらし葉が隣と接触しない位置関係と、前後の空間は極力狭くしています。これは画像には見えませんが右手前上に首振りモードの扇風機があり、それぞれの株への均等な送風と、1ヶ所(前面)から全ての株に均一なかん水をするためです。株間を狭くしたのは根周りの空中湿度を高めるためです。ほぼ同じサイズの同じ種を数多く栽培することで出来る配置で、趣味家にはあまり実践的な手法ではないかも知れませんが、ベアールート栽培種の問題点とその対処法の一例として、先のVanda sanderianaに用いた農業用不織布栽培と共に取り上げてみました。

写真1 Aerides leeana
写真2 Aerides leeana
写真3 Aerides odorata alba
写真4 Aerides leeana