2009年から2016年まで多数のVanda sanderianaを収集しました。その中で下写真1の左端はPOS (Philippine Orchid Society) Mid-Year Orchid Show 2016年のVanda sanderiana f. albaのブルーリボン賞 (優勝花) で、その右側はレッドリボン (3位) 入賞株です。また左から3番目は別年にレッドリボン賞を得たピンクカラーフォームで、右端が希少とされる黄色フォームです。2016年のPOSラン展では1位から3位入賞株を全て買い占め、浜松に持ち帰りました。albaのホワイトリボン(2位)は順化後に趣味家に販売しました。現地でのVanda sanderiana開花最盛期は8月となります。このことからミンダナオ島Davao市のワリンワリン祭は8月に開かれます。ワリンワリンとはVanda sanderianaの現地名です。2009年に訪問した時は展示会場には無数のVanda sanderianaが展示・販売されていました。しかしこの年の炎天下の会場には外国人にとって30分と居られない40℃以上の酷暑でした。同伴した会津若松の友人はこのワリンワリン祭でのalbaフォームの優勝株を入手しました。Vanda sanderianaはDavao Apo山に生息しDavao市を象徴する花であり、且つ本種名のついた祭りでの優勝花ですから、その年の世界トップレベルのVanda sanderianaであったと思います。
ところでこうした入賞株をどのようにして入手しているかですが、開会中は展示しなければなりませんから持ち出すことは出来ません。そこで展示会最終日に出かけ、花が気に入れば出品者と交渉し閉会と同時に持ち出すことになります。そこから前もってCITES申請を依頼していたラン園に持ち込み、植物検疫を経て日本に持ち帰ります。よってミンダナオ島となればマニラに持ち帰る行程もあり1日分の余裕が必要となります。
Vanda sanderianaの花の発色は環境によって大きく変化し、その主な要因は温度ではなく輝度にあります。濃色でコントラストのあるカラーフォームを得るには十分な輝度下での栽培が必要です。とは言っても葉が黄味を帯びる程の高輝度は許されません。そこで今年はこれら希少種を6月以降、常時70%寒冷紗の掛かった温室から移動し、葉が十分に茂った桜の木の下に吊るし、木漏れ日を浴びるような状態で3ヶ月間の予定で据え付けました。それが下写真1で、背景にある太い木は桜です。Vanda sandrianaの根は動きのある空気に触れていることが必要で、現地ではどこもベアールート(根をむき出しのまま)で株を吊るしておりポット植えは皆無です。国内において現地と同様なベアールート栽培を目論むには、昼夜を問わず高湿度が条件となります。しかし、軒下等に吊るしたまま散水をしても国内の湿度では2-3時間で乾いてしまいます。そこで本サイトでは防虫ネットのような風や散水時の水を透す布(農業用不織布)を根の周りに巻いて通気性と共に根の周りの湿度を幾分でも高める工夫をし、朝夕の散水を行って状態を観察しています。下写真は木製バスケットに取り付けていますが、バスケット内はクリプトモスのみで株を抑える程度の役割です。根のほとんどはバスケットの下に長く垂れています。現在マーケットで見かけるVanda sanderianaはほとんどが交配種や実生であり、野生株を得ることは極めて困難と現地では言われています。写真の株は出品者によると全て野生株からの分け株とのことです。左の優勝株には3茎の20㎝程に成長した子株があり2-3年後にはこれらを株分けし販売する予定です。



