先月初めにフィリピンから持ち帰りの株の中にPteroceras spがあり、サプライヤーからの花画像を調べたところPteroceras unguiculataと分かりました。本種は昨年1月の歳月記にも取り上げました。サンシャインラン展でPurificacion Orchidsに数株が残り、これを5月のラン展まで預かりとし一部を販売し残りを戻しました。今回はミンダナオ島Lanao地域の生息種として入荷したものです。ミンダナオ島ではSurigao生息は知られていますがLanaoは初めて聞きます。
J. Cootes氏著書Philippine Native Orchid Speciesによるとマレーシア、ボルネオ島、スラウエシ島など広く分布しているようですが、フィリピン生息記録は最近とされます。本種に関するマーケット情報はほとんどなく、同書によると見つけることが難しい(seldom found above 500m)とのことです。orchidspecies.comのPlant and Flowerで4-5㎝サイズの花が8輪程同時開花している画像が見られます。美景です。非常に甘い香り(very sweet perfumed)があるそうです。前回の歳月記でも指摘しましたがマーケット情報が見当たらない最も大きな理由は、見つけにくいこともあるかも知れませんが、短命花であるため市場性が低いのではないかと考えています。前書によると1日花どころか6時間(lasting barely 6 hours)と書かれています。これ程の短命種は他に知りませんが、6時間では栽培者ですら開花タイミングによっては花を見るチャンスを逃してしまうかも知れません。全く展示には向かないランとなります。
しかし見方を変えればこれも考えようで、それ程の短命であれば世界中のほとんどの人が写真以外に実際の花を見ていない筈で、故にその香りも知らないことになります。周りの誰もが実体観賞のないその花と、ほとんど使われない”very sweet”と敢えて形容される程のその香りを得ることが出来るのは、栽培をする者の特権でこれはこれで幻の花の如き魅力を感じます。下写真は入荷してから1か月近く経ちましたが植付けが終わった本種です。コルク付けでサイズにより2,500円から4,000円を予定しています。
