Phalaenopsis fimbriata

 Phal. fimbriataはインドネシアおよびボルネオ島Sarawakの、低地から標高1,300mの生息とされます。これまで本種は高温種とされてきましたが、近年高温環境での栽培が難しくなっています。晩秋から冬にかけての入荷株の植付けでは、晩春まで順調に新根や芽が伸びるのですが、夏を迎えるとやがて成長が止まりその後病気がちあるいはじり貧状態となり1年以上経った頃には株数が半減してしまいます。この原因と考えられるのは、おそらく近年の生息地におけるプランテーション開発により低地生息種はほとんど見られなくなり、現在はそのほとんどが高地産の入荷に替わっているのではないかと推測しています。最近入荷の本種は栽培温度で言えばDen. tobaenseと同じ中温環境が適し、夏季は山上げあるいは夜間平均温度として20℃以下が好ましいように思われます。生息域については現地ラン園にてですら正しい情報を得ることが難しく、しばしば従来知見(先入観)で対応されてしまい当てにはなりません。

 下写真の株は高温室にて1年以上栽培した結果、販売が出来なくなった作落ち株を1年程前に中温室に移動したことで回復した現在開花中の花です。このように胡蝶蘭だけでなくデンドロビウムやバルボフィラムも最近は同じような問題を抱えており、新たに入荷する株はまず生息標高情報をorchidspecies.com等でチェックし、その範囲が広い場合は低、中、高温の2つ以上に数株づつ分けて栽培し、新しい芽や根の動きを2-3ヶ月間観察し、適温と思われる温室に移すことが多くなりました。こうした作業も含む「順化」の重要性が一層高まっています。

写真1 Phal. fimbriata
写真2 Phal. fimbriata