Coel. hirtella名で1昨年8月末にボルネオ島生息種として入荷したセロジネが今年6月に開花し先月の本ページの「現在開花中の花」にCoel. hirtellaとして取り上げました。2株目が現在開花中です。そうしたところ、いつもアドバイスを頂いている常連さんから写真のセロジネについてCoel. hirtellaとの相違点についてご指摘を頂きました。下写真はその株と花です。そこでCoel. hirtellaとの違いを整理してみました。
これまでorchidspecies.comに見られるようにCoel. hirtellaは黄色ベースのリップ中央弁に基部から先端に向かって2-4本の滑らかな棒状突起がある一方、入荷種(以下spという)は写真2が示すように中央弁は茶色をベースに縮れた様な凹凸突起であり、またリップ側弁の模様もCoel. hirtellaは波状のラインであるのに対し、spは一部が網目状となっています。またセパルペタルはCoel. hirtellaの白色に対し、spは薄緑色です。こうした花フォームの違いに加え、バルブはCoel. hirtellaはやや卵形に近い円錐形に対しspは細長い円錐形です。
Coel. hirtellaはTomentosae節であり、その中にspと似た花フォームを探してみると、リップ上の突起が縮れた形状の種にCoel. tomentosaがあり、この種には個体差として薄緑色も見られます。しかしもっとも大きな違いはspの花茎は直立であるのに対してCoel. tomentosaは下垂型であることと、花茎はsp種のように新葉(バルブ先端)から花茎が発生しておらずバルブ元です。バルブもspのような細長い円筒形ではありません。一方、Coel. asperataはリップフォーム形状や、新葉の中心(バルブ先端)から花茎が出る点で似ているものの、花茎は直立ではなく多くは弓なりで、バルブは扁平卵形でsp程、細長くありません。Ceol. chloroptheraは側弁フォームが異なります。またCoel. lentiginosaは花茎はバルブ元から出ていることと、ボルネオ島生息種ではありません。仮に花茎の発生個所や直立性またリップ形状などのAND条件が満たされた株が上記のいずれかの種あるいは節から見つかればspは既存種の地域差あるいは変種となるかも知れませんが現時点ではそうした情報はありません。
そこで再びsp株の入手時の状況を調べてみたのですが、2017年7月にマレーシアのサプライヤーから本種の画像メールが当サイトに送られており、そのメールにはCoelogyne newと書かれていました。おそらく出荷書類上の対応から種名を定めなくてはならず、生息地が同じで似た種としてのCoel. hirtellaの可能性もありとして、その名がアサインされたものと推測します。多数のセロジネを栽培しているアドバイザーからは現時点では新種の可能性が高いのではとのご意見です。栽培はクリプトモスミズゴケミックスで中温室です。次回マレーシア訪問でその後の状況を聞き、希少性が高いようであれば実生化を図りその一部を戻すことも必要かと考えているところです。



