下写真1および写真2は4年前の2015年歳月記に掲載した、1mを超える長い葉と花茎をもつ珍しいスラウエシ島生息のBulb. spです。下写真2の開花様態からはAltisceptrum節のようですが、現在もネット検索からは該当する種が見当たらず、4年間毎年注文をしているものの入荷ができません。花茎と花付が似たマレーシアやフィリピンミンダナオ島生息のBulb. penduliscapumとは葉形状が異なり、本種は下垂する細長い葉が特徴です。当時10株程入荷し半数以上を販売しましたが、初めて取り扱う種であることから栽培環境が分からず、高温室での栽培としました。しかしほとんどが1年程で葉を落とし僅かな新芽を残すのみとなりました。いわゆる秋・冬・春はなんとか現状維持は可能だが東京や浜松での夏は越せないと云った種です。昼間35℃程で熱帯夜が年間7割を占めるマレーシアラン園にも10株ほど在庫されていましたが半年後には殆どが落葉し、1年程で全て枯れていました。
そうした状況から中温室(15℃- 28℃)に移動しての2年間の栽培でようやく栽培条件が分かってきました。Bulb. penduliscapumもそうですが、環境温度は高温となっているものの高温下での栽培ではほぼ確実にじり貧状態になります。こうした情報と実態の相違は、たまたま入荷した株が高地であったという推測もできますが、Altisceptrum節は環境に敏感な種が多く、夜間温度の高温(25℃以上)と根が乾燥を非常に嫌うように感じます。
下写真1は2015年の入荷時の株で、中央はサプライヤーからの開花画像です。右は左に見られる入荷時の葉が全て2年間で落葉し、その後の中温室への移動によって九死に一生を得てリゾームや葉が発生・成長した株です。若葉は立性ですが葉長が40㎝位になる1年後から徐々に下垂し始めます。入荷当初は大株であったため杉板への取り付けでしたが、2年前に炭化コルクとヘゴ板に分けて観察した結果、本種はヘゴ板よりも炭化コルクの方が活着状態が良く、今回35-40cm x 12cmの炭化コルクに植え替えました。それぞれは子株ながらも11株となり今後の葉長の伸びを確認しながらの販売となります。


