Sumatra島からのBulbophyllum aeoliumとCymbidium lancifolium

 写真1~2は新たにSumatra島から入荷したBulb. aeoliumです。本種はBulb. kubahenseBulb. lasianthumなどと同様にバルブ間のリゾームが長く、植え付けには困ったバルボフィラムです。特にSumatra島生息種はBS株となると葉が大きくリゾームが固いため曲げてバスケットに収めることが困難で長い棒状の取付材が必要にになります。写真1は60cm x 9cm x 3cmの炭化コルクに取り付けたもので先端のバルブから30cm程の伸びしろを設けています。

 Bulb. aeolium自体は丈夫な種ですが、栽培がなかなか難しいとの意見をよく耳にします。この最も大きな原因はorchidspecies.comに記載されているようにその生息標高範囲が100m – 1,800mと広いことにあります。すなわちコールドから高温環境で育っており、これは低温から高温までの耐寒および耐暑性を意味するのではなく、その株それぞれの出所に応じた適温があることを示します。フィリピンのBulb. aeoliumは高温で良く開花するのだが、ボルネオ島由来は上手く育たないと言った原因はボルネオ島産はその標高から中温栽培が必要のためです。こうした栽培温度環境の違いは、同じ地域であっても標高が異なればその逆もあり得ます。この背景が分かるまでに数年かかりましたが、問題は株それぞれの出所がどの標高の株であるかがサプライヤーや現地栽培者に管理されていないため情報を得ることが難しいことです。解決は順化栽培過程において複数株を高温・中温それぞれの温度環境に置き、状態をチェックすること以外方法は無いように思います。

 一方、Bulb. aeoliumと似た花形状にBulb. uniflorumがあります。orchidspecies.comのBulb. uniflorumの記載を見ると間違いではと思われるのは、花写真のサイズが無調整であることは兎も角、標高表示が600m – 1,800mとされているにも拘らず高温マークのみが示されていることです。1,800mが高温とは考えられません。ちなみに昨年入手したボルネオ島生息のBulb. uniflorumは当サイトでは高温は適さず中温での栽培です。2つの種についての違いは葉形状が若干異なること(葉幅がBulb. aeoliumは広い)を2017年の歳月記で取り上げましたが、確定的なものではなく在庫株に葉形状の違いが観察されたことに基づいています。orchidspecies.comではBulb. aeoliumはココナッツの香りに対して、Bulb. uniflorumは嫌な(foul)匂いとされていますが、時折良い匂いがすると理解不能な表現となっています。画像検索から両者を形状比較すると花画像からはペタルのサイズが異なる印象を受けます。さて写真1~2の株ですが、2つの栽培環境でしばらく様子を見ての判断となります。花は大きくダイナミックであるだけにそれだけのコストをかける価値はあると思います。

 写真3~4は同じスマトラ島からのCym. lancifoliumです。本種は東南アジアのほぼ全域に生息し、日本ではナギランとして知られ、標高1,500m以上のクールタイプとなります。セパルペタルは薄茶から白色が見られますがサプライヤーからの花画像を見る限り入荷株は淡いピンク色のようです。

写真1Bulb. aeolium Sumatra
写真2 Bulb. aeolium Sumatra
写真3Cym. lancifloium Sumatra
写真4 Cym. lancifloium Sumatra