8月の歳月記にフィリピン固有種であるBulb. socordineを取り上げました。Bulb. frostiiに似た花形状ですが、Bulb. socordineはBrachyantha節に対してBulb. frostiiはCirrhopetalum節で節がそれぞれ異なります。今月に入り2016年末にマレーシアCameron HighlandsでBulbophyllum spとして主にパプアニューギニアからのバルボフィラムが栽培されている株の中から持ち帰った株が開花しました。写真1がその花です。写真2はBulb. socordineです。花サイズはBulb. socordineと同じように1輪が1cm弱の小型です。花数は初花と言うこともあり、種別の要件にはなりませんが、花形状は色を除いて極めて類似しています。一方、今回開花の株の葉は長楕円系でバルブはやや球体に対し、Bulb. socordineの葉は細く、バルブはやや長く、花形状と葉の厚みを除けばそれぞれは異なる種に見えます。しかし種名が不詳のため、Bulb. socordine complex (complexとは近縁種あるいは同類種の意味)としました。
もう一つの疑問は、Brachyantha節は主にインド、ヒマラヤ、雲南、ミャンマー、ベトナムなどの大陸の生息種で、大陸以外ではフィリピンのBulb. socordineが唯一です。こうした情報からは今回の開花種がニューギニアとは考えにくく、キャメロンハイランドのこのラン園は同時に雲南省のバルボフィラムも僅かですが栽培していることから、混ざってしまった可能性もあり、これは次回訪問時に確認予定です。いずれにしても未開花のキャメロンハイランドからのBulb. spは10株以上と多数あり、こうした種名同定問題は今後も益々増えそうです。

