Dendrobium papilioの植え替え

 本種はフィリピンルソン島標高1,200m生息のデンドロビウムで、その細長い茎(疑似バルブ)に似和わず、大きな花を付けることで知られています。これまで25-30cm長の炭化コルクでの植付でしたが、このサイズでは栽培結果から根張り面積が小さ過ぎることが分かり、今回45cm長の炭化コルクへの植え替えになりました。下写真1はその一部の35株程です。これらは2017年2月の歳月記に取り上げたロット株で、今後1年をかけ10cmサイズの開花を目指します。

 100株以上の栽培を通して分かったことは、下写真2や前記の歳月記写真に見られるように本種はその茎に比べて、多くのデンドロビウムと異なり、胡蝶蘭原種並みの太い根を持つことです。写真2は植付けから2年半経過した株を植え替えるため表面を覆っていたミズゴケを洗い流して根を露出させた活着の様態です。根は伸長する過程で活着場所を失うと、それ以上の伸長は止まる様態が見られ、30cmx10cm程の支持材では面積が不足です。細い茎や葉にも拘らず、この根を見ていると胡蝶蘭Phalaenopsis節(Phal. amabilisなど)並みの大きな花を複数輪開花することができるエネルギーの源がここにあるようで、根を充実させることが大輪花の要のように思われます。これまでの株からは根は湿度に対する正屈性が見られます。本種はその標高からコールドからクールとされます。当サイトではクールと中温室に分けて栽培をしてきましたが、成長は中温室が良く、今回から冬季(10月末から4月)は高温室に、それ以外の期間は中温室の比較的温度の高い場所、すなわち夜間平均温度が20℃以下を通年でやや下回る環境で栽培することにしました。

 写真3は8.5cmの花で、8-10cmの大きな花を得るには、前記2017年の歳月記にも記載したように、茎をしっかりと伸ばすために根張り空間を大きくとること、根周りを乾燥させないこと、また高輝度が必要です。この意味でコストを考えなくても良い場合は、炭化コルクよりはヘゴ板あるいは木製バスケットが好ましいことになります。

写真1 Den. papilio
写真2 Den. papilio
写真3 Den. papilio