Den. dianaeはボルネオ島Kalimantanの低地生息種で2010年登録の新種です。昨年10月、マレーシアにて8cmx2cm程の木板に取り付けられたDen. dianaeを20株入手しました。入荷時の株の大きさは不揃いであるものの5cm前後で小さく、しかし実生とも思えない様態で、これらをミズゴケでスリット入りプラスチック鉢に移植しました。半年ほどで20-30cm程に急成長し、今年5月になり下写真左の、セパル・ペタルが透明感のあるグリーン一色の初花が咲き、6月にはツートンカラーの写真中央の花が開花しました。また同じ6月には何故か同一ロット内で2011年登録で同一生息域のDen. flos wanuaが開花しました。これらについては5及び6月の歳月記に取り上げました。再び今月には別株からDen. flos wanuaが咲き、続いて今回は下写真右のイエロー単色の花の開花です。
Den. flos wanuaとDen. dianaeの葉と茎は視覚的に区別が困難な程類似しているものの、リップ形状が大きく異なるため別種であることは確かです。なぜ混在したかは不明です。一方、単色フォームのDen. dianaeはCalcarifera節によく見られる、開花時がグリーンでやがて開花寿命に近づくに従って黄化する性質がありネット画像で見られるグリーンとイエロータイプは単に撮影時点の違いであろうと思っていました。しかし開花時点から黄色が強く、一両日で写真右のようなフォームをもつ株も現れました。株毎にこれほど不安定な色フォームは他に知りません。orchidspecies.comではセパル・ペタルはイエロー単色です。サイトで本種の画像を調べていたところインドネシアのサイトに、イエローフォームのDen. dianaeを変種としたDen. dianae var. yellowがありました。もしこの色違いを変種とするのであれば一般フォームの生息域であるボルネオ島Kalimantan州の内外のいずれかの地域に排他的に生息していなければならないことになりますが果たしてそれを周知の命名なのでしょうか?では一般フォームは何色なのかが問題となります。それにしても変種名をyellowとするとは、名前を見てついお茶をこぼしてしまいました。しかし変種であるなかれ、未開化株については本種もまた開花しなければ下写真にさらにDen. flos wanuaを加えて、どれが現れるのか分からないがよろしいですかと伺っての販売となる困った種の一つです。現在の販売価格は3,000円です。
ちなみに本種に関してネットではDendrobium dianaeとdianiaeのi文字が入る、入らない2つの名前がありますが同一種のようで、Malesian Orchid Journal Vol 6:57 2010 as D. dianae photo/drawingではiのない名前です。一方でCITESはiの入る名前です。つまり登録(学)名はDen. dianiaeでありCITESはdianiae名でなければ記載ミスとなり認可されないものの、通常使用される名はdianaeがほとんどです。どこでどうしてiが抜けたのか?推測するに論文の中にある花写真とスケッチ図につけた名前に論文名とは異なるiのないスペルミスをしてしまった?。しかし審査のある投稿論文でそれ程の基本的な部分でのミスは考えられず、こちらも本種の花色に似てよく分かりません。


