Bulbophyllum sp (Bulb. nymphopolitanum complex)

 今月のページで「続バルボフィラムBulb.nymphopolitanum complex」に取り上げた6タイプのバルボフィラムの中で、Type1とType2は現時点のネット情報からは、該当する種が見られず、未登録の可能性も考えられることから、さっそく2017年頃までの主な吊り下げ取付材であった杉皮板から、2年半ぶりに炭化コルクへの植え替えを行いました。Type2は20株程在庫がありましたが、Type1は5株でした。これらは他のTypeや同じ時期に入荷したPalawanからの10種、合わせて20種ほどのBulb. spを、2018年のサンシャインシティラン展にて、それぞれ3,500円で販売しました。しかし当時、いずれも入荷して間もないことと、現地コレクターやラン園から花画像の提供が無く、ミンダナオとPalawanからのBulb. spとしただけのラベリングで販売したためか、購入された方がおられたかどうか記憶にないほどでした。

 その後、栽培を通しての開花を得て、これらの種の中には既知の種(Bulb. deareiBulb. maxillareなど)もあったものの、Palawan諸島やミンダナオ島生息種としての記録がこれまで無かった種や、既知の種とはどこか似て非なる種が多数含まれていることを確認することができました。見方を変えれば、コレクターは何も分からないまま適当にspとして現地ラン園に納品した訳ではなく、一応どこか異なる形状やフォームをもつ種との認識を基に、それぞれを分類してラン園に収めたことが分かりました。

 今月取り上げたミンダナオ島北部の生息種とされたBulb. nymphopolitanum complexはこうした状況において、特にType1および2の希少性(生息数)については不明であるものの未登録種と思われ、そうである限りは、同じType内でのSibling Crossによる実生化を図り、その一部をフィリピンに戻すことも必要と考えています。

 Type1と2のセパル・ペタルのサイズやフォームが最も類似する既知種は、Bulb. mearnsiiです。しかしリップ中央弁表皮の棘あるいはイボ状突起が無いことで別種と思われます。さらにType1 と2とは、セパル・ペタルのテキスチャー(線と斑点)およびリップ中央弁の表皮面の粗さが異なっており異種と思われます。下写真1, 4は、杉板から外し植え替えが終わったもので、写真2, 5および写真3, 6はそれぞれの花と蕾です。リップ形状についてはすでに今月の本ページに記載しました。

写真1 Bulb.nymphopolitanum complex Type1
写真2 Bulb.nymphopolitanum complex Type1
写真3 Bulb.nymphopolitanum complex Type1
写真4 Bulb.nymphopolitanum complex Type2
写真5 Bulb.nymphopolitanum complex Type2
写真6 Bulb.nymphopolitanum complex Type2