Bulbophyllum williamsii とBulb. sp

 Bulb. williamsiiはフィリピンミンダナオ島Surigao標高1,000m生息の固有種で、当サイトでは2015年末および16年夏に入手しましたが、その後は現地での入荷が無いまま今日に至っています。最初の入荷ロット株は杉皮板に、2回目は炭化コルクに植え付けました。本種は20株ほどしかなく、入荷時は花が未確認であったため、価格表には記載したものの、ラン展等に出品することもなく、そのままで温室を訪問される方に販売してきました。それから3-4年経ち株が大きくなり、植込み材も古くなったため今月植え替えを行いました。それが写真1の画像で写真2は拡大写真です。写真3, 4はその花です。今回本種の国内マーケットを調べてみましたが、バルボフィラムとしては5cmの大きな花でにもかかわらず、本サイト以外の情報がほとんどなく、希少性が高いのでは思われます。

 一方上記の入荷ロットの中に、僅かに写真5, 6の花が開花したことや、2017年にBulb. elassoglossumとして数株入荷した株がこの花に酷似し、2017年3月と2018年12月にこの花を種名不詳種として取り上げました。Bulb. elassoglossumにはサプライヤーから、写真8, 9の花の参考画像も送られてきました。ここで不可解な問題が2点あり、Bulb. williamsiiはミンダナオ島固有種とされる一方、Bulb. elassoglossumはルソン島中央部標高1,400m付近の生息種であり、この不明種がBulb. williamsiiのロットに混ざることは考えにくく、またorchidspecies.comに見られるBulb. elassoglossumとも異なります。送られてきたルソン島Nueva Viscaya地域のコケ林のような中でのin situ(自然界での生息場所)写真が正しいとすると、Bulb. williamsiiの中の不明種は、入手経路の過程で誤って混ざってしまったもので、またBulb. elassoglossumはミスラベルであったと考えるのが妥当ではないかと思います。Bulb. williamsiiと不明種の株を並べた写真が写真7です。写真7の中で左が不明種で、右2株はBulb. williamsiiです。外形上の違いはほとんど無く、不明種はバルブや葉サイズが小型でバルブにやや丸みがある程度です。 ではこの種名不明種は何かが問題です。現時点で未同定種なのか、すでにどこかで発表されているか分かりません。

 さらに困ったことは、Nueva Viscaya標高1,200mはBulb. pardalotumの生息地でもあります。これらの株形状は互いに瓜二つで、花を見なければ区別ができません。すなわちBulb. elassoglossum、不明種、Bulb. pardalotumは生息地、標高がほぼ同じの三つどもえ状態で、そこでこれまで写真8, 9の不明種を特定して発注したことが無いことから、敢えて現在、サプライヤーのin situ写真を添付し、この不明種を発注しているところです。ひょっとすると再三のミスラベルで今度は本物のBulb. elassoglossumが入荷するかもしれません。こうなれば笑い話になりますが、希少原種収集ではこうした混沌とした状況が頻繁で種の同定は購入者側でよろしくと云われているかのようです。

写真1 Bulb. williamsii
写真2 Bulb. williamsii
写真3 Bulb. williamsii
写真4 Bulb. williamsii
写真5 Bulb. sp.
写真6 Bulb. sp.
写真7 Bulb. williamsii and Bulb. sp.
写真8 Bulb. sp.
写真9 Bulb. sp.