本種は今年のOrchideen Journal Vol16_2 (2018年4月号)にフィリピンミンダナオ島Bukidnon標高1,300mの生息種として発表されたデンドロビウムです。新種名のデンドロビウムとしては珍しく大型の花で本サイトではその発表から3月後に入手し、今月にはその一部が開花しました。下写真が浜松にて6日に撮影した花です。また今後実生化を図るべく現地でシブリングクロスしてもらいタネを付けた株も入荷しました。
Den. deleoniiはネット画像で見られるDen. sanderae var majorと瓜二つで、果たしてどこが違うのかと一般の趣味家は感じるかも知れません。論文によると相違点が何点か取り上げられており、一つはリップの側弁(下写真のリップ奥の複数の赤いラインのある左右2枚の弁)が小さいこと、2つ目はリップ中央弁がやや短く幅広であること、3つ目は中央弁がDen. sanderae v. majorは側弁と中央弁の境目辺りから折れ曲がるように下垂しているのに対して、本種は下写真上段右に見られるように真っ直ぐ伸びているか、僅かにカーブしていること、4つ目は同一花サイズで比較するとリップの基部がやや狭いこと、最後に葉が本種はDen. sanderae v. majorと比べ小さく、余りカーブしていないことのそれぞれです。さらに論文ではBukidnonのローカルマーケット(おそらく露店販売)で長い間売られていたものが、上記のようにvar. majorとの相違点が分かり(Establish)、最初の撮影者の名前からこの種名に至ったとあります。
この花形状からはおそらく、ほとんどの人がDen. sanderae v. majorとの違いを理解することは出来ないのではと思われます。ルソン島からカラヤン諸島を中心に広く分布するDen. sanderaeは地域差や視覚上の個体差を持つ種に対しては、v. luzonicum、v. major、v. parviflorum、v. surigaenseなどこれまでDen. sanderaeの変種として位置づけてきました。本種もDen. sanderae v. majorやv. surigaenseが存在する中で、果してDen. sanderaeとは別種とすべきかは疑問です。地域固有の形状が認められるとしても、上記程度の相違であれば、例えばDen. sanderae v. deleoniiとする名称がより適切な気がします。
今後のマーケットにおいて危惧することは、その類似性からしばらくの間、新発表種であるが故の高額販売が見込めることからDen. sanderae var majorをDen. deleoniiと偽って販売されないかです。これほど類似する種の購入にはまず花を確認すること、花付でなければその株、あるいは同一ロットの花写真、特に下写真の上段右のような側面画像を、さらに重要なことは株の出所(生息地域)を確認することです。言い換えれば、販売する側も出所が不明な本種名の株を取り扱うべきではないと思います。また現実問題として現地2次・3次業者が両種を同定する知見があるとも思えません。Den. deleoniiはミンダナオ島Bukidnon、一方、Den. sanderae v, majorはルソン島コルディリェラ・セントラル地域、さらにDen. sanderae v, surigaenseはDen. deleoniiと同じミンダナオ島で、スリガオ州です。これらはDen. sanderae v. majorでのネット画像検索からも分かるように、葉や正面からの花形状からはDen. deleoniiに類似するフォームが多数あり、相当な栽培経験者であっても判別は容易ではありません。その同定には出所に加え、前記論文の特徴点の5つ全てのand条件(全てが合致すること)が必要です。
Den. deleoniiの花は大きく純白のセパル・ペタルにblood redのラインの入るリップをもつ美しく整った種です。開花株があれば来月10日からの全蘭サンシャインシティラン展の本サイトのブースにて展示します。価格は株サイズにより5,000円 – 7,000円を予定しています。
