サンシャインラン展で本サイトが出品していた炭化コルクの植え付けについて、多くの方から質問を頂きました。株とその周りをミズゴケで覆う際の取り付けに苦労されているようで、透明のテグス(釣り糸)あるいは紐(糸)で縛るものの本サイトのようにしっかりと固定しないとのことです。
糸やテグスは縛りつけることは出来ても局所的な塑性変形(押さえて戻らない)が困難で、巻いているとやがて緩んでしまいコルク幅が大きくなればなるほど細部をしっかりと押さえつけることが難しくなります。塑性変形ができるのは針金ですが、針金は反面、強く巻けば株の根や茎を圧迫して傷をつける可能性が高くなります。本サイトは多数の試行錯誤の結果、盆栽用アルミ線の1mm径を用いるのが最も有効との結論に至り、昨年7月よりこのアルミ線で株やミズゴケを留めています。重く大きな株の取り付けには部分的に1.5mm径のアルミ線を用いることもあります。
アルミ線にした理由は、銅線ではアルミ線に比べて硬く塑性力がやや強すぎ、絞めつけると根や茎に食い込む危険性があることと、巻き始めから錆びるまで線の銅色が目立ち過ぎます。いわゆる株やミズゴケを板に固定するには、針金には相矛盾する性質、”柔らかな塑性力”、が必要で取付け後、指で針金を押さえればそのまま戻らないものの摘まみ上げれば隙間ができる程の柔らかさが必要であることです。この点、盆栽用アルミ線は”盆栽用”とされるだけあって植物に優しく良くできています。
また盆栽用アルミ線は黒に近い茶褐色で、炭化コルクと同色であり目立ちにくいこと、一方、1mm径では半年ほどで曲がった個所が腐食して切れ始めますが、この切れる特性は、茎や根が縛られた圧迫からやがて解放されることであり、固く縛ったままでは根や株が成長し太くなる場合にはむしろ害になります。しかし切れるまでの期間が問題で、根の活着が早いか切れる方が早いかは一つの栽培結果を知る上でのバロメーターにもなるものの、根が張る前に切れるようであれば、ミズゴケごと落下する可能性が高まります。これまで数千株ある中でアルミ線がほぼ同時に多数の個所が錆びて切れ、株が落下したケースはありませんが、一部の巻き直しは数株あります。これは杉皮板取付でも同じです。
盆栽用アルミ線はホームセンターや園芸店で入手できます。一方、炭化コルク利用で重要な点は、購入し使用する前には必ず強いシャワーで表面を水洗いすることです。製造から販売までの間の梱包や輸送でコルク板が互いに擦れ合って表面の隙間に炭化粉が付着しており、この粉が残っていると水がコルク内に浸透しにくくなり保水力が低下します。水洗い前と水洗い直後の重さは保水で大きく変化し、持って比較するとその重さの違いがよく分かります。