Dendrobium rindjanienseの栽培

 桜の咲くころから現在まで、Den. rindjanienseの新芽(昨年秋から今年に新しく発生したバルブ)の成長が活発です。下写真1-5の5株は昨年8月に入荷した株で、写真2と写真3の2株に見られる10葉以上が付いた長い茎は入荷時点で若芽が出ていたものです。長さは2倍以上に伸長し、その他は浜松にて順化後および今年発生した新芽です。6月から現在までは特に雨天が多く、温室内は比較的多湿であり若芽(茎)の成長が活発です。なおDen. rindjanienseは比較的高輝度を好みます。低輝度と高輝度下で比較すると新しい茎の成長はかなり異なることが分かりました。写真6は5月中旬に入荷し炭化コルク付けのDen. tobaenseの新芽です。

 昨年8月入荷ロットのDen. rindjanienseはサンシャインおよび東京ドームにて多くの方が購入されました。同様な状況と思いますが、もし下写真のような若芽の発生が無く、また購入時から新芽の成長が余り活発でない場合は栽培環境が適していない可能性があります。本種はLombok島標高2,000m程に生息の中温タイプのため夜間平均温度は可能な限り20℃以下(昼間の温度は30℃を越えても良い)が好ましく、この条件を満たしていないか、コルク付けの場合、根が乾燥気味であるか、あるいは輝度が低すぎないかをチェックする必要があります。特に環境の良し悪しは新芽の発生や伸長が重要な指標となり、昨年から東京ドームラン展までに購入した株であれば、これまでに開花を含め、新芽の発生があって然るべきです。

 これまで3年間で50株以上の本種の栽培を通して見えてきた成長が芳しくない一つの可能性は、根の完全乾燥を伴う環境です。ミズゴケに触れてみて全く水分が感じられない根の周りの乾燥状態が、かん水から次のかん水の合間にサイクリックに繰り返されるとダメージを受けます。夜間の湿度が常に80%以上と高ければそれでも問題はないのですが、ほとんどのデンドロビウムや胡蝶蘭等の原種の成長はこの夜間の高湿度化が課題です。本種は15℃以下の低温環境でない限り、常に根が濡れているというよりは湿っている状態が好ましく、これが容易に出来るのはコルクやヘゴ板付けで、幾ら大量の水を与えても数時間は濡れていますがやがて取付材や植え込み材のもつ保水力で湿った状態が長く続きます。

 空気が乾燥気味で、湿り気が続くよりは乾燥する方が早い環境では 垂直支持材のミズゴケを多めにした植え付けを行い保水力を高める対策があります。しかし朝にかん水をし、夕方には根の周りのミズゴケ表面がほとんど水分の無いサラッとした状態て、夜間の湿度は60%程度が精々といった環境では、まず垂直取り付け材は適しません。むしろこうした環境ではポット植え以外手段は無いように思います。一方、ポット植えは垂直取り付け材以上に、根腐れを如何に防ぐか、かん水量に対する気遣いが求められます。夕方にかん水をし、早朝には水滴が幾分か葉上に残っており、昼間にはそうした水滴は消えている。この繰り返しが早春から梅雨期、また晩夏から晩秋までの期間の最も成長に有効な環境で、もし前日のかん水の水滴が昼頃まで残るようであれば、その夕方のかん水は不要といった目安が一つの対応です。 Formosae節も、特に中温タイプの多くの種に関して早春から梅雨明けまでに新芽の発生が見られない場合は、同じ問題が背景にあることが多く、手でミズゴケを軽く抑えたとき手に水分が付く状態ではなく、湿り気を感じる程度の状態を如何に長く保つことが出来るか、新しい植え込み材での植え替え、夜間湿度など環境改善が必要です。

写真1 Dendrobium rindjaniense
写真2 Dendrobium rindjaniense
写真3 Dendrobium rindjaniense
写真4 Dendrobium rindjaniense
写真5 Dendrobium rindjaniense
写真6 Dendrobium tobaense