株サイズと顧客年齢と価格について

 本サイトではどのような属種についても同じ種であるのならば、より大きな株を入手し販売することをポリシーにしています。海外への発注でも当サイトの注文品は元株の大きさをそのまま保ち、細かく株分けしてはならない、それなりの大きさならばそれなりの価格をつければ良いと言い聞かせています。ラン取引ではコレクターやラン園を通過する間に株はだんだん小さくなり、最終的には株にとって生きていくための最小限度である、バルボフィラムならば3バルブ、ひどい場合には3年前のスマトラ島からの株に見られたように1バルブ毎に細断されてしまいます。野生株や野生栽培株が僅かそれぞれ3バルブ程を単位に成長していることはなく、多くはクラスターやコロニーを構成している筈です。細断は商売上の手段に他なりません。

 それでも4-5年前に比べてフィリピンやマレーシアラン園では当方の、小分けされた株は買わないという強い要望があることで、それ以前から比べれば当歳月記で頻繁に取り上げているように大きな株が入るようになりました。一方で、そうした当方の要望もあってか、すでにコレクターの段階で細断されてしまった株がある場合、購入されないのではと2-3株を糸で結んで大きくしたラン園の作業員にとっては気の毒なクランプ株がしばしば見られます。例えば最近のBulb. inacootesiiは新種で、その入手ルートも新規のため周知されておらず最初のロットではコレクターの段階で3バルブ程に細断され、2回目のロットでようやくバルブ数の大きな株が増えました。しかしそれでも3割程は小分けされ、これらは販売前に5バルブ以上になるよう炭化コルク上で寄せ植えとなります。バルブ数の少ない株については現地作業員も当方も何とも無駄な作業をしている訳です。細断を避ける理由は、大きさは、開花率、花数また花サイズに大きく影響するためです。また3バルブを10バルブ近くまで栽培環境において大きくするには、順調に成長したとしても種にも寄りますが、4-5年、自然界でも2-3年は必要です。その間の栽培コストのみならず、病気や害虫被害のリスクもあります。

 一方で1-2バルブ株は論外として細断された株であっても、3バルブもあれば花が咲かないことはなく輪花数やサイズにこだわらなければそれでも良いとする趣味家も多いと思います。要はサイズと価格のどちらを優先するかの問題です。これも小分されただけその販売価格がリーゾナブルに下がっていればですが。そこで最近は特に生息環境に大きく依存する葉サイズについては2割程は一般サイズも入荷するようにし、またバルブ数と価格の関係については温室訪問者に限りその場で価格を決める傾向が高まっています。具体的に言えば若い人にはオンライン価格に比べ可能な限り安価にするということです。

 一方で年配者の中には、展示会に出品できる程の多輪花で見栄えの良い大株を得たい、しかしそうなるまで自分で栽培するとして5年も10年も待ってはいられないないと、冗談か本気かは兎も角、そう言われる方も多く、温室を訪問される年配者の方にはラン展会場やオンラインではできない互いに話をしながらの売買が増えています。無論オンライン販売でのサイトカタログ価格はこれまでと変わりません。生体を扱う販売は一つ一つが日々その品質が変化し、また形、大きさ、植物では植込み方法などそれぞれが異なり、同一種であっても一律な価値を決めることが厄介な背景があります。