3年前にマレーシアにてBulb. medusaeのクラスター株を入手し、これをヘリカルネットを円筒形にしヤシガラマットを巻いた支持材に株の要所々をミズゴケで押さえながら取り付けました。入手後半年を経たクラスター株の開花が写真1です。この株が3年後には写真2のように360°隙間なく生い茂りました。このようなクラスターになった場合、問題は株が上方に向かって伸長してゆくため古いバルブは下部に、新しいバルブは上部に集まる傾向があり、また花茎は新しいバルブに発生することから花は主に支持材の上部に開花するようになります。多輪花で花が株一面を覆うような景色にするには、クラスターを適度なバルブ数単位で細断し、それぞれのバックバルブからも新芽を発生させ、支持材全体に新しいバルブが行き渡るようにする必要があります。
写真3, 4は今回写真2の株を支持材から取外し、1m長の特大ヘゴ板に植え付けを行った写真です。この新しいヘゴ板取り付けの葉付バルブ数は150ほどで写真2の約半数を使用しました。特にBulb. medusaeは葉が固く、強く当たるとポキッと音がして容易に折れてしまいます。また1mの大型ヘゴ板はかなりの重さとなります。このためバルブ数を高密度で取り付けるにはかなり高度なテクニックが必要で、非常に神経を使います。この規模の植え替えとなると1日掛かりの大仕事です。植え付け当初はミズゴケが見えますが、3ヶ月程経つと緑色のコケが着き、落着いた景色になります。さらに2年程でヘゴ板が隠れる程にバルブ数が増えると思います。
クラスター株(元株は1株ですが、これを細断した分け株の集まりのため、厳密に言えばクラスターではありませんが)を、最近はらん展や温室訪問者への展示用としていろいろと仕上げています。その背景は、原種を専門に販売するブースは、カトレアやシンビジウムなど改良種の華やかな雰囲気とは異なり地味であり、自然の生息様態に可能な限り近づけた姿と、原種の神秘的で迫力ある景色が見せられれば面白いのではとの考えからです。



